機能性僧帽弁閉鎖不全に対するMitral Clipの効果

Percutaneous Edge-to-edge Repair of the Mitral Valve in Patients With Degenerative Versus Functional Mitral Regurgitation. Braun D et al. Cathet Cardiovasc Interv 2014 On-line です
以前もとりあげましたが、僧帽弁閉鎖不全に対するカテーテル治療の一つである、Edge-to-edge Repari (MitraClip)は期待されているディバイスの一つです。しかし、これに対する大規模試験であるEVEREST Trialでは、functional MR (FMR)は除外され、degenerative MR (DMR)のみ対象となりました。何らかの原因で心機能が低下し、これにより左室拡張期容量が拡大し、その結果起こる僧帽弁閉鎖不全は機能性僧帽弁閉鎖不全としてされますが、これによりさらに左心機能が低下する、という悪循環に陥ります。これに対してMitral Clipは有効であるか否か、これは大きな問題です。
ドイツ・ミュンヘンの high-volume centerからの single center retrospective observationです。このディバイスで治療された119名の患者さん(DMR: 72, FMR 47)を比較しましたが、対象とされた患者さんは、EVEREST試験よりも重症の患者さんが多かったようです。全体の成功(MRが一度以上改善)は 83.3%という高い患者さんで得られ、DMR/FMRで差はありませんでした。一年後生存率は、DMRの方が良く、FMR群では、Mitral Clip成功により一旦縮小した左室内径が、一年後には再び増加してくる結果でした。しかしながら、症例数が少なく、またfollow-up率も完璧ではありませんので、結論は徒に急ぐべきではありません。結論としては、FMRに対しても、DMRと同じ程度の成功率が得られる、というものでした。
単純に考えれば、FMRに対して Mitral Clipを行い、僧帽弁閉鎖不全が低下したとしても、根本的な心機能低下を起こした原疾患が改善せねば、再び心拡大が起こる、と考えられますので、FMRに対する根本的治療とはならないのでは? というのが僕の印象です。

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このページは、Dr_Radialist (KAMAKURA & SAPPORO)が2014年1月30日 13:17に書いたブログ記事です。

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