2014年2月アーカイブ

Pacing or Ablation: Which Is Better for Paroxysmal Atrial Fibrillation-Related Tachycardia-Bradycardia Syndrome? Chen YW, et al. PACE 2014; 00: 1-9.


頻脈・徐脈症候群は、洞機能不全症候群の中でもコントロールが困難で手を焼く病態ですね これに対しては、従来からペースメーカーを植え込み、徐脈に対して万全の態勢を整えて、頻脈発作に対しては、予防的強力薬物療法で無理やり抑えこみ、場合によっては抗凝固療法も併用するという古典的治療法と、「いやいや頻脈、特に心房粗動や発作性心房細動の発作を押さえ込めば、洞機能も改善し、自然と徐脈も起こらなくなるのだ」という信念から積極的にカテーテル・アブレーションを行う、という現代的治療法がありました
このどちらがその後の予後をより改善するか? についてはこれまで明らかではありませんでしたが、この論文では、膨大な症例数を振り返り、どちらかと言えば、後者のアプローチの方が優れているようである、と結論しています。もっとも統計学的有意差には達していません。
この論文は、僕も、中国の経皮的冠動脈インターベンション黎明期の1991年に初めて訪れて以来、何回も訪問している 北京市循環器病センターである、安貞病院からの論文です 現在この病院では年間経皮的冠動脈インターベンション症例数が15,000例に達しますが、カテーテル・アブレーションの数も膨大であり、この論文の中では、2009/01月 - 2012/06月の心房粗動/心房細動に対するカテーテル・アブレーションを行った2,003例と、同時期にペースメーカーを植え込んだ1,690例について比較しているのです
こんな膨大な症例数の解析というのは日本では到底不可能であり、さながら大陸的アプローチだと思うのです やはり日本はこのようなアプローチをしても勝てる訳がありませんので、もっと繊細で緻密なアプローチで物事当たらねばいけない、そのように思いました
Incidence of sudden cardiac death after ventricular fibrillation complicating acute myocardial infarction: a 5-year cause-of-death analysis of the FAST-MI 2005 registry. Bougoulin W. et al., Eur Heart J 2014: 35; 116-22.


今日の論文は、フランスにおける 2005年における223施設からの 3,670例の心筋梗塞を集めたコホートからの5年間追跡調査です
この調査に登録された基準は、STEME/NSTEMIを問わず心筋逸脱酵素上昇を認め、心電図変化があり、同意が得られた症例です
この中で入院中に心室細動(VF)を来した症例が 116例でしたが、VFを来さなかった症例群との間には、高血圧症や、高脂血症あるいはACI-I/ARB投与がVFを来さなかった症例で優位に少なかった他はあまり差はありませんでした

PCIはVFを来した症例の 71.6%で、そうでない症例の 63.4%で行われましたが、このPCIが再灌流療法として行われたのか否か、あるいは再灌流成功率については何の記載もありません 入院日数は、VF+で 12.3日、VF-で9.3日であり当然の如く入院中にVFを引き起こせば入院日数が延長しています また、入院中の死亡率も、VF+; 37.9%, VF-; 29.2%と心室細動がなければ有意に死亡率は低値でした しかしながらこんな30%にも達する死亡率なんてとても考えられない高い値ですね、日本でこんな成績であればその病院は急性心筋梗塞を受け付けるべきではないでしょう

さて、5年までの長期聖俗率ですが、これはあくまでも退院時に生存していた方だけを取り出した landmark解析の結果です それによれば、 VF+; 13.1%, VF-; 12.9%と両群間で突然死死亡率に差は認められませんでした

これらの結果彼らは、「急性心筋梗塞後入院中に心室細動を来せば、入院中の死亡率は高くなるが、一旦退院すれば心室細動が無い患者に比して突然死の率は変わらない」と結論しています。従って、入院中に心室細動となったからといって、それだけで退院に備えて予防的に ICD (植込み型除細動器)を植えこむのは妥当でない、と主張しています。

まあ言いたいことはたくさんありますよっ、何で再灌流成功と、不成功を分けないの? とか、primary stentingをした群としてない群を分けるべきだ、とか そもそも死亡率が異常に高すぎる とか、
まあそれでも、心室細動となったからといって、むやみにICDを入れるべきではない、という警鐘を発する意味はありますね。
Should duration of dual anti platelet therapy depend on the type and/or potency of implanted stent? A pre-specified analysis from the PROlonging Dual anti platelet treatment after Grading stent-induced Intimal hyperplasia studY (PRODIGY). Valgimigle M., et al. Eur Heart J 2013; 34: 909-19.


この論文は正直面白い内容のものではありませんでしたし、本当に統計学的に正しい解析なのかどうか疑わしく思いました イタリアからの論文です
2,013例のBMS(金属製ステント), ZES-S(Endeavor Sprint), PESあるいはEESを植えた患者さんを植込み後 30日の時点で、二重抗血小板療法継続期間を6ヶ月で中止するのか、あるいは24ヶ月継続するのかを無作為化し、死亡・心筋梗塞・脳血管障害からなる composite endpointが、主要評価項目とされました
PESが加わっているので想像できるように、登録期間は 2006/12月から2008/12月と比較的古いものです
結果としては、この主要評価項目発現頻度は、ステント間で優位な差は認められませんでしたが、ZES-S群においては、24ヶ月DAPT継続よりも、6ヶ月継続の方が有意に少ない結果だったのです
論文中では、何故 ZES-S群において、このようなあり得ないような結果となったかについての考察はありませんが、結論として 「DAPTの最適期間については、個々の薬剤溶出性ステント毎に決定されるべきであり、晩期内径損失(Late Intimal Loss)抑制効果とは無関係である」と述べています
本当にこんな結論が引き出せるのかどうか僕としては甚だ不同意です そもそもステント植え込み患者を最初に4群に無作為化し、その後 DAPT投与期間にもとづき2群に無作為化していますので、少なくとも Bonferroni's Correctionに従って、まず優位水準を 0.05/4 = 0.0125にすべきであり、更にそれを2群に無作為化しているので、ここからは自信ありませんが、多分 p * p = 0.00015625が有意水準となるように考えます だとすれば、この論文は何の結果も出なかったことになります
そもそも、統計検定の部分で、症例数設定根拠が示されておりませんし、常識的に考えれば、一律に6ヶ月投与に短縮することの倫理性や合理性が示されていませんので、よくぞ倫理委員会承認が得られたものと驚愕します ということで本論文は面白くないっ!
本日は毛色が代わり、ここ最近マスコミ科学記事で一番の話題の STAP細胞の話です 世界を驚かせた論文がこれです

Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Obokata H, Wakayama T, et al. NATURE 2014; 505: 641-7.

現在京都大学在籍の中山先生がノーベル賞を受賞したきっかけの、iPS細胞とは、induced pluripotent stem cellsのことであり、直訳すると 「万能性を誘発された幹細胞」のことです。動物の体細胞は特に、神経細胞や心筋細胞では分化の頂点に達してしまっており、それ以上変化していくことはありません。しかし、幹細胞は、体のどの組織にもなり得る能力(これを万能性、英語では pluripotencyと称する)と自己増殖能力の両者を持っています。
これまで、人参などの植物では分化した細胞が幹細胞になることは確認されていたのですが、動物細胞ではこれまでそんなことは起こらない、とされてきたのです。このため、中山先生は 4種類(その後実はこの中の3種類のみで良いことが証明された)の遺伝子(中山4因子 と呼ばれます)を細胞に組み込めば、その細胞が幹細胞となり得ることを発見したのです。この意味で革命的であり、実際の治療にも応用できる可能性が示されました。しかし、このiPS細胞の問題点として指摘されているのは、体細胞からiPS細胞に変化するには、3週間以上かかり、実際の治療で用いる場合には、予め作成しておかない限り困難である、ということと、遺伝子組み込みのために、ベクター・ビールスが必要であり、将来発癌化しない保証が無い、さらには、iPS細胞となる確率が低く、膨大な手間がかかる、などです。
これに対して今回の STAP細胞は、根本的に、「獅子は我が個を千尋の谷に落とす」という諺を地で行くようなものなのです。分化の頂点に達した細胞も、甘やかさず痛めつければ、その本来の能力を発揮し、幹細胞になり得る、これを複雑な複数の実験の末に証明したのです。しかも、このSTAP細胞への変化は、刺激後2日間もあれば十分であり、その過程で、ACTH (副腎皮質刺激ホルモン)を培地に加えると、自己増殖し爆発的にその数を増加することが出来、また、奇形腫をモデルに行った実験でも、50のサンプルで全く癌化しなかったことも確認され、培養条件を変化させることにより、内胚葉にも外胚葉にも分化し、どのような組織にも分化し得ることが証明され、それがこの論文に全て記載されているのです。
いわばこの論文は、これまでの生命の秘密を全て解き明かすような論文、いわば聖書のような論文なのです。
しかも、この研究の最初から、普通の人では思いつかないような工夫、たとえば、幹細胞になった可能性がある、というシグナルとして、Oct4という遺伝子発現をマーカーにしているのです。正直論文の中身は、その道の専門家でないと、理解するのは困難です。しかし、その本質は、分化した体細胞と言えど、ある程度痛めつければその本質を発揮し、万能細胞となり得るということです。実際に使われた「痛めつけ条件」は、pH 5.7という弱酸性培養条件でした。この条件では脾臓から採取したリンパ球の4/5は死滅してしまいます。しかし、生き延びた細胞の半数が STAP細胞に変化するのです。これ以外にも、細胞膜に穴を開けたり、色々な痛めつけ方法が試されて、そのほとんどが有効であることが示されています。だから、STAP (Stimulus-triggeredacquisition of pluripotency: 刺激により誘発され獲得された万能能力)と命名されたのです。
これらのことから、僕が学んだのは、生命というのは、とても強い、そして、過酷な環境にいなければその本来の能力を決して発揮できない、というものです。これはまさしく、「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」というものではないでしょうか?
日本人はかねてより本番に弱い、とも言われています。予め想定内の練習ばかりして、結局本番では全く力を発揮しないのです。僕は破天荒な人生が好きです。




Oral Rivaroxaban for the Treatment of Symptomatic Pulmonary Embolism. The EINSTEIN-PE Investigators. N Engl J Med 2012; 3646: 1287-97.

少し古い論文です。リバロキサバンは、凝固系第Xa因子阻害薬として、心房細動による塞栓症予防に従来のワーファリン治療よりも有効であり、出血性合併症が少ない薬剤として脚光を浴びています。まあ、夢の薬の一つとされてきました。ただ、最近ではこれによる間質性肺炎の発症に対してアラートが出されていますのと、薬価が高価というのが問題です。
本試験では、急性症候性肺塞栓症(症候性深部静脈血栓症を伴っていても、伴わないでも良い)を対象として、これまでのワーファリンによる治療と無作為化して、有効性(肺塞栓再発抑制/死亡抑制など)および、安全性(出血性合併症)について比べたものです。
ただ、基本的な研究デザインは、ワーファリンに対する「非劣性」を証明する、という形で組み立てられています。非劣性試験の場合、「どれだけの違いまで同等と見做すか」というマージン(統計学ではδ: デルタ と呼びます)をどのように設定するか?が何時も問題となります。この設定は、あくまでも研究者達の常識から設定されるのです。
恣意的にδを設定すれば、最悪の場合、非劣性であるのに、優位性検定(通常の統計学検定)では有意差が出る、なんてこともできてしまうのです。
本試験では、両群2,500名足らずの方々が無作為化されました。結果は、有効性では優位性で有意差無く、非劣性で有意に同等である、ということが証明され、安全性では有意にリバロキサバンが安全である、という結果となりました。
ワーファリンによる治療はあくまでもスタンダードな治療であり、また有効な治療ですので、このように有効性で同等であり、安全性で優れている、というのが新しい治療法の存在価値を示すのに有効な方法なのですね。

Platelet reactivitiy and clinical outcomes after coronary artery implantation of drug-eluting stent (ADAPT-DES): a prospective multi center registry study. Stone GW, et al. Lancet Published online July 26, 2013.

薬剤溶出性ステント植込み後の二重抗血小板療法 (DAPT)はステント血栓症抑制のために、非常に重要です。しかしながら、不必要に二重抗血小板療法を継続すれば、重篤な出血性合併症を併発するリスクが高まります。
また、DAPTとしては、アスピリン+クロピドグレル (Plavix)の組み合わせが一般的ですが、クロピドグレルは、体内で代謝を受け、それにより血小板凝集能を低下させます。この代謝において銃用な役割を演じるのが肝臓にあるCYP2C19という酵素なのですが、アジア系人種、特に日本人には、遺伝的にこの活性が低い人が多く(20%ぐらいの人)、この結果クロピドグレルを服薬していても、実際には血小板凝集能の抑制がかからないことが問題となっています。これに対して、近々発売される日本で開発されたプラスグレルは、作用発現に、CYP2C19を必要としないので、このような作用変動が無い、とも言われており期待されています。
さて、この論文では、8,500人余りの薬剤溶出性ステント植え込み患者さんを前向きに登録し、実際にアスピリンによる血小板凝集能抑制の程度と、クロピドグレルによる血小板凝集能抑制程度を VerifyNowという測定器で測定し、それとステント血栓症/出血性合併症の発現を1年間追跡調査したのです。
結果は、明らかにクロピドグレル耐性の人において、2倍から3倍 ステント血栓症が発現しやすく、しかもステント血栓症を起こせば、生命予後も悪化することが分かりました。しかし、同時にクロピドグレルが有効な症例において、多く出血性合併症が発生していました。このことから、筆者達は、決めの細かい症例ごとの管理を行い、出血性合併症が少く、しかもステント血栓症を起こさないように、二重抗血小板療法を管理せねばならない、と主張しています。

しかしながら、データを良く見れば、ステント血栓症のほとんどは、植込み後2ヶ月以内に、出血性合併症は植え込み時にほとんどが発生しているのです。ということは、ここでの結果は、二重抗血小板療法云々よりも、経皮的冠動脈インターベンションにテクニックにより依存している可能性が高いのです。明らかにされているデータでは、経大腿動脈的冠動脈インターベンションが 95.4%で用いられ、経橈骨動脈的冠動脈インターベンションに至っては、たった4.4%の症例でしか用いられていないのです。流石に後進国アメリカですね。良くも堂々とこんな結果をLancetに掲載できたものです。
Twelve-Month Results of a Randomized Trial Comparing Mono With Dual Antiplatelet Therapy in Endovascularly Treated Patients With Peripheral Artery Disease. Strobl FF. et al. J Endovasc There. 2013; 20: 699-706.

この論文は既に発表されている MIRROR試験の結果評価を12ヶ月後まで延長してみた時の結果です。
SFA (浅大腿動脈)、膝窩動脈に対してBMS (金属製ステント)をバックアップとして用いた EVT (血管内治療)後に、六ヶ月間 Clopidogrelを投与することが、長期成績に及ぼす影響を、placebo群を対象として前向きに試験されました。全例、アスピリンは6ヶ月以上ずっと継続でした。
症例数は少なく、Clopidogrel群40例 vs Placebo群40例でした。患者背景に若干の違いが認められました。また、POBAの頻度は、C群 37.5% vs P群 52.5% (p=0.498)でした。
前回 MIRROR試験 6ヶ月後の結果では、C群でP群に比して再狭窄率などが有意に低値だったのですが、12ヶ月後には全く差が認められませんでした。
まあつまらない結果ですが、筆者達は、「最狭窄率が高いと予想される病変などでは、6ヶ月以上二重抗血小板療法を継続した方が良いだろう」と、結論しています。

しかしながら、この研究は、
  1. 症例数が少く、しかも Power analysisがされていない
  2. 実はClopidogrel中止後に再狭窄などか増加したのは、ステント血栓症かも知れないのに、ステント群単独での解析がされていない (もっとも Power不足でしょうが)
ということで、あまり何も言えない研究でしょうかね。
Determinants and Outcomes of Acute Transcatheter Valve-in-Valve Therapy or Embolization. Makkan RR. et al. J Am Coll Cardiol 2013; 62: 418-30.

この論文は、PARTNER Trial (米国での SAPIEN TAVI認可のための pivotal trialでした)のデータ解析です。
SAPIENは一度埋め込みに行けば、途中で引き下がることは原則できません。これが CoreValveとは大きく異る点です。この結果、SAPIENが深すぎれば、左室内に落ち込み、浅すぎれば、上行大動脈に飛んで行きます。また、飛ばないまでも、そのことが起因して、大動脈弁閉鎖不全が起こり、これらの結果、そのままもう一つの SAPIENを植えこまざるを得ない事態にもなります。また、時々、SAPIENの弁がきちんとしまらない不全が起こり、重篤な大動脈弁閉鎖不全となってしまい、この結果、再度 SAPIENを植えこまざるを得ないことにもなります。この論文では、これらの Valva-in-Valveや Embolization (SAPIENが外れて飛んでいくこと)を起こした症例の予後を調査した最大級のものです。
2,554例の連続症例の中で、63例 (2.47%)が Valve-in-Valveを受け、26例 (1.01%)がValve Embolizationを起こしました。結果としては当たり前と言えば当たり前ですが、これらを起こした症例の予後はそうでない症例よりもものすごく悪く、特に Valve Embolizationを起こした症例です、1年後死亡率は 50%に達しました。
これらを起こす予測因子としては、施設経験症例数が少ないとか、比較的弁輪径が大きい場合に多い、とされています。
まあ、当たり前の結果でした。
しかし、僕が一番興味を惹かれたものは、患者さんの術前データでした。対象がアメリカ人でありますので、一般的に日本人よりも体格が大きいと考えられ、実際、平均体表面積は 1.8 square metersを超えます。僕らが現在対象としている日本人患者さんでは、この値が 1.4を切り、場合によっては、1.2ぎりぎりとなります。
しかるに、弁輪径は、意外と小さく、平均19 - 21mm (TTE/TEE)なのです。そして、使用された SAPIENも、23mm/26mmだけだったのです。
もっとも、SAPIENには世の中、23mm/26mmしか存在しないらしいのですが・・・
何れにしても患者さんのイメージとしては、日本人患者さんと異なり、体格が大きい割に、弁輪は小さめで、多分バルサルバ洞は大きく、ST (Sino-Truncal) Junction径も大きく、冠動脈の高さは高く、まあ、単純に SAPIENをさっさと植え込んで問題無い症例である、ということなのです。でも、日本人の患者さんに対しては、そうは行きません。もっともっと慎重な手技が必要なのです。
Schmidt M, et al. Cryoballoon versus RF Ablation in Paroxysmal Atrial Fibrillation: Results from the German Ablation Registry. J Cardiovasc Electrophysiol 2014: 25; 1-7.

本日の抄読会は、ドイツのカテーテル・アブレーション・レジストリからのデータで、発作性心房細動に対するCryoballoonと通常の RF ablationとの比較です。2007/01月より2011/08月にこのレジストリに登録された ドイツの 55施設からの、連続3,775例についての解析です。
Cryoballoonは Hot Balloonと並んで、発作性心房細動/慢性心房細動に対するカテーテル治療法として、手技を簡単にし、手技時間や放射線被曝量を少なくするものとして、期待されているものですが、今だ日本では認可されていません。
ドイツでは、心臓治療はセンター化されており、多分55施設というのはドイツ国内でカテーテル治療を行っているほぼ全施設になると勝手に思っていますが、正直な話、そこでの4.5年間の合計症例数が高々4,000例にも達しない、というのは少なすぎると思います。ということは、そもそもこのレジストリがあまり機能していないのでは? と愚考しています。そういう前提でデータを解釈せねばならないのですが・・・

結果
  1. 2,870例が RF ablationで、905例が Cryoで治療され、LVEFが40%以下の症例は RF群で多かった
  2. 急性期成功率は RF群で高かった
  3. 透視時間、線量は RF群で著明に低かった
  4. PNP (Phrenic Nerve Palsy: 横隔膜神経麻痺)を合併する頻度は Cryo群で多かった
ということで、Cryoballoonには著しく分の悪い結果でした。
"The Impact of Renal Artery Stenosis on Outcomes After Open-Heart Surgery". Philip F, et al. J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 310-6.

再び RAS (腎動脈ステント植え込み術)に関連する話題です。開心術術後の予後に、術前腎機能が悪影響を及ぼすことは分かっています。しかし、術前に動脈硬化性腎動脈狭窄症 (Atherosclerotic Renal Artery Stenosis: ARAS)がある場合、ほとんどの場合には腎機能に悪影響を及ぼしていない訳ですが、そのような場合に、ARAの存在そのものが開心術術後予後に悪影響を及ぼすか否か、について検討した論文です。Cleaveland Clinicからの、2000/JANから2010/APRまでに、術前腎動脈エコーを受けた 714例の開心術患者さんを対象としています。ARAの定義は、ドップラーで、 >200cm/secの方です。
29%の方が ARASを保持し、その内の 79%が片側、残りが両側の ARASでした。 ARASを有すれば PAD (Peripheral Artery Disease: 末梢動脈疾患)を合併する率が高く (P = 0.004)、LDLも高値 (p = 0.04)でありましたが、術後の GFR変化、透析の必要性、在院日数、死亡率とは関係ありませんでした。
こうなってくると、やはり無闇に RAS(腎動脈ステント植え込み術)を行うべきではやはりありませんね。

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