Propensity Score Matching

Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor, Angiotensin Receptor Blocker Use, and Mortality in Patients With Chronic Kidney Disease. Molnar MZ, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 53: 650-8.


CKD (慢性腎臓病)を有する患者さんに対して血圧コントロールのために、ACE-I (ACE阻害薬)や、ARB (アンギオテンシン受容体遮断薬)の投与が予後にどのように影響するかを調べたコホート研究です コホートとしては、アメリカ退役軍人で、これまで ACE-I/ARB治療を受けたことが無く、透析を受けていないCKD患者さん 141,413名が選ばれました
この中で、26,051名において ACE-I/ARB治療が開始されました もちろんACE-I/ARB治療が行われた群と、行われなかった群では、様々な背景因子で有意な差がありましたので、まず行われた解析が、「ACE-I/ARB治療実施」を従属変数として、ロジスティック回帰分析を実施し、いくつかの独立変数のオッズ比を求めました これにより、各背景因子の重みが分かりました
そして、それを用いて Propensity Matchingが行われ、結果的に ACI-I/ARB治療群 20,247例と、非治療群 20,247例が 1:1で抽出されました
この両群間には、様々な背景因子で多くの違いが個々にはありますが、全体として Propensity Scoreが同程度なので良いのでしょう
何れにしてもこの抽出群で、生存解析が行われ、結果としては ACE-i/ARB投与群では、死亡率が有意に低下した、という結果でした
この結果を持って、非透析CKD患者さんに対して ACE-I/ARB投与するとこにより死亡率を低下させることができる、と結論しています

しかしながら大きな疑問を呈します そもそもこの論文の Table 3で ORが示され、これにより Propensity Score Matchingが行われている筈です それなのに、そのようにして20,247例ずつ抽出されたマッチング群は Table 2に示されるごとく多数の背景因子で大きな有意な差があるのです ということは、マッチングが正しく行われていないことを意味しますので、その後の解析には何の学問的意義がありません まったく疫学研究のプロがデータをこねくり回しているだけです

正直昨今の、ARBにまつわる臨床研究のいかがわしさがありますので、本当かな? という思いです また、これまでに同等の患者群に対して行われた無作為比較試験では、ACE-I/ARB投与によって死亡率低下効果は認められない、というものですので、やはり簡単にこの研究結果を受け入れることは問題です
この研究は、10万例以上の母集団を用いたものすごく大きな研究ですので、その数で圧倒した力で攻めてきているのです そして、複雑な統計解析を用い、まあ、一般の臨床医が読んでも良く分からない、そのような論理展開をしているのです
でもやっていることは、大したことはなくって、本来であれば、「一年後生命予後」などを従属変数として、ロジスティック回帰分析を行えば良いのでは? と思います ああ 難しい

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このページは、Dr_Radialist (KAMAKURA & SAPPORO)が2014年3月26日 09:03に書いたブログ記事です。

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