Carotid Artery Stenting in Patients With Left ICA Stenosis and Bovine Aortic Arch: A Single-Center Experience in 60 Consecutive Patients Treated Via the Right Radial or Brachial Approach. Montorsi P, et al. J Endovasc Ther. 2014; 21: 127-136.

Bovine型の左総頚動脈分岐奇形 (Bovine Arch Configuration)に関しては、その発現率はやはり民族の差異により異なり、全人口の 10%程度から、20%程度まで報告されていますが、最新のレポート (What is the true incidence of anomalous bovine left common carotid artery configuration? Ahn SS, et al. Ann Vasc Surg. 2014; 28: 381-5) によれば、何と 35%にも上り、その中の type I (左総頚動脈が Brachiocephalic Arteryと同じ入口部で分岐する)が、78%そして、type II (左総頚動脈が Brachiocephilic arteryから分岐する)が、22%とされています。

僕自身はあまり、CAS (Carotid Artery Stenting: 頸動脈ステント植え込み術)という手技がどうしても好きになれず、これまで行ったのはたったの1例のみです。そんな僕が言っても説得力はありませんが、左内頚動脈狭窄症に対する CASにおいて、この Bovine奇形は技術的に非常にやりにくいのです。通常 CASは経大腿動脈的インターベンションで行われることが多いのですが、Bovine奇形においては、下肢からアプローチすると、ガイディング・カテーテルに強い屈曲を必要とするので、大変なのです。

これに対して、右橈骨動脈あるいは、右肘動脈からアプローチすれば簡単に行けるのでは? などということは少し気の利いた Interventional Cardiologistならば思いつきますよね

この論文では、イタリアのある大学病院で行われた CASの中で、Bovine anomalyに対して、右肘動脈あるいは、右橈骨動脈より行った 60例について検討しています。60例? そんな少ないの? と思うことなかれ、これでも世界最大規模の経験数なのですね。

まあ結果は簡単なもので、1例が経大腿動脈的インターベンションに移行したのみで、他の59例は成功した、ということで、この方法の優位点について検討されています。筆者らは、右上肢から行えば、
  1. 大動脈弓にワイヤーもカテーテルも入れずに手技が行える
  2. 解剖学的にやりやすい
  3. Mo-Maを含め、各種の近位保護ディバイスを用いることができる
  4. そもそも合併症が少ない
  5. 終了後すぐに歩行可能である
といった利点を挙げています。

何故この論文? と言えば、その中の引用文献 19に僕が、何と1999年という昔に publishした結構有名な論文 (Influence of the ratio between radial artery inner diameter and sheath outer diameter on radial artery flow after trans-radial coronary intervention. Saito S, et al. Catheter Cardiovasc Interv. 1999; 46: 173-178.)が引用されているので、少し嬉しくなったのですよ。

それにしても今朝の抄読会で皆が疑問に思ったことは、「何故 Bovineと呼ぶのか?」ということでした。Bovineとは「牛」のことです 牛の角のように見えるから? あるいは、牛の頸動脈がこのような解剖なのかな? インターネットで調べても分かりません どなたかご存知の方がいらっしゃればご教授下さい

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このページは、Dr_Radialist (KAMAKURA & SAPPORO)が2014年4月 8日 10:39に書いたブログ記事です。

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