2014年6月アーカイブ

Long-term clinical outcome after intracoronary application of bone marrow-derived mononuclear cells for acute myocardial infarction: migratory capacity of administered cells determines event-free survival. Assmus B, et al. European Heart Journal 2014; 35: 1275-1283,

心筋再生療法というのは夢の一つですよね 心筋梗塞で壊死した心筋が再生してもとの元気な心臓になれば何て素晴らしいのでしょうか 心筋が再生すれば効果の判定が行い易いので昔からこの方面の研究? が行われてきました

臨床試験を昔から行って盛んなのはドイツであり、この論文もドイツからです 良くマスコミを賑わす話題ですよね 特に暗いニュースが続くような時に、無難なニュースとして報じられることが多いようです

心筋梗塞して再灌流した患者さんを対象に、心筋梗塞後4日目ぐらいに患者さんの自己骨髄細胞から抽出した単核細胞を冠動脈内に OTW-balloonを挿入して近位部を閉塞した状態で 心筋梗塞環流冠動脈に投与するのです それだけです

こんなのどう考えたって細胞は流れていってしまって局所にとどまらないに決まっています 実際これまでの臨床試験ではことごとく効果が認められていなてのです

さて、この論文では、「効果があった」「特に遊走細胞に限定すれば死亡率だって有意に減らした」と主張していますが、そもそもの本試験では、「死亡率」「心不全率」などには有意な差が認められていません

これもサブ解析なのですよ

まあ眉唾ものです
Comparison of Outcomes in Patients With ST-Segment Elevation Myocardial Infarction Discharged on Versus Not on Statin Therapy (From HORIZON Trial). Larsen AI, et al. Am J Cardiol 2014; 113: 1273-1279.

この論文は急性心筋梗塞に対するBivarirudin (トロンビン直接阻害薬)のヘパリンに比較した有用性を調べた HORIZON Trialのサブ解析です HORIZON AMI試練というのは、薬剤 Bivarirudinがヘパリンと同様の安全性を持ってPCIを行うことができることを示すのが主目的でしたが、そのついでに、薬剤溶出性ステントである TAXUSがBare-Metal Stentに比して安全である、ということを検証した ある意味ずるい試験です
最も植えこみ後3年経過した時点では、AMIに対するTAXUS群では BMS群に比して決して良くは無かったのですが・・・

本論文では急性心筋梗塞に対してPCIが行われ、生存して退院した患者さんについて、退院時にスタチンが投与されていた 3,294例と、スタチンが投与されていなかった 219例について 3年間の予後を比較したものです

その結果、スタチンが投与されていた患者さんの方が、非投与の患者さんよりも三年の時点で予後が良かったことが示され、多変量解析でもスタチン投与が死亡率に関して HR 2.30 (1.41-3.77)と有益であった、と主張しています

この手のサブ解析で何時も問題になるのは、そもそもの試験がスタチンの投与・非投与に関して無作為化されていないので、患者背景が異なる可能性があることです 実際に論文の中の Table 1, 2においては両群間で、患者背景(重症度などなど)や他の投薬に関して著しく異なります これにい対して筆者は多変量解析の結果 独立因子として抽出されたのが、スタチン投与有無である、と高らかに宣言しているのですが、何しろ一桁以上群別標本数に差があるので、正確には数学的に証明できませんが、多変量解析の時にほとんどの因子が消去されたのでは? と思います

まあ結論としては多分正しいのでしょうが・・・・

Causes of Early Stent Thrombosis in Patients Presenting With Acute Coronary Syndrome. Nakano M, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 2510-20.

この論文は経皮的冠動脈インターベンション特に、薬剤溶出性ステント植え込み病理の世界的権威であられる Virmani先生のラボからの報告です このラボには日本人がたくさん留学しています Virmani先生ご本人はインド人の女性であり、20年近く前に北京で初めてお会いした時には、とてもこわい先生のように思えたのですが、実際にはとても優しい先生です

この論文では急性冠症候群でステントを植え込んだものの30日以内に亡くなられた 59例の剖検心臓に対して、合計67個のステント (37 DES/30 BMS)が植えられた冠動脈を3 - 4mm毎にスライスして合計124+175+252スライスを調べたものです そして、それらを、血栓を認めたステント37個 (19 DES/18 MBS)と、血栓を認めなかったステント30個 (18 DES/12 BMS)に分類し、さらに、血栓を認めたステント299個の 124スライスを、血栓があるスライス124と、血栓の無いスライス175に分類したのです これだけ聞いても気の遠くなるような話ですね

-------- きっと、朝から晩まで顕微鏡を見て、スライスを調べ表にしたりしているのでしょうね いやはや何ともご立派です

結果として、stent malappositionと血栓形成が関係ある (OR = 1.8; p<0.001)ことが判明しましたが、これは以前より言われていることですよね、それとnectoric coreがステント内にプロラプスしている程度が大きいほど血栓症が多い (OR = 2.3; p=0.006)、まあこれも当たり前のような話ですよね、急性冠症候群でステント植え込んだ後、ステント内がケバケバしている所見は、「あっ、ヤバい、血栓できないか心配だな」と思い、色々と対策 (ヘパリン持続投与とか、再度の後拡張など)を講じますからね、
新しい所見としては、中膜が裂けている現象 (Medial Tear)の存在が血栓症と関係ある (OR = 1.8; p=0.001)ことでした

まあここまでは良いですよ 新しい発見 素晴らしいですね

しかし、問題は結論部分なのです そのまま引用すれば
まずは、本文での Conclusionです

Our autopsy study revealed that underlying thrombus burden and suboptimal stenting leads to greater NC disruption, medial tear, and imcomplete stent apposition, which are important factors in the induction of early ST.

といものです 赤字は僕が強調したものです 「何で suboptimal stentingが、greater NC disruption, medial tearと結びつくのでしょうか? 本文の discussionでもそれを証明していません suboptimal stentingと、imcomplete stent appositionが結びつくのはもちろん分かりますよ、こんな自ら示したデータから論理的に証明できないことは、Discussionに書くべきであって、Conclusionに書いてはいけません これではまるで小説であって、科学論文とは言えません
さらにもっと驚くのは、Abstractでの Conclusionです

The current autopsy study highlights the impact of thrombus burden and suboptimal stent implantation in unstable lesions as a trigger of early ST, suggesting that improvement in implantation technique and refinement of stent design may improve clinical outcomes of ACS patients.

となっています ここでまた主張の論理的飛躍があります 何の証明がなされずに主張されているのです どうしてステント植え込みテクニックの改良が、血栓症を減らす(もちろんこのことに関しては僕も同意しますよ)と、この論文の中のデータから言えるのでしょうか??? これではまるで小説であって、科学論文とは言えません ああ 少し TAVI 1例目と 2例目の間で興奮してしまいました 冷静にならないといけませんね

Pivotal Trial to Evaluate the Safety and Efficacy of the Orbital Atherectomy System in Treating De Novo, Severely Calcified Coronary Lesion (ORBIT II). Chambers JW, et al. J Am Coll Cardiol Intv 2014; 7: 510-8.

これは Orbital Atherectomyと呼ばれる全く新しい血管内治療ディバイスに関する臨床試験の結果報告です このディバイスはロータブレーターのように、細かい工業用ダイアモンドが表面に貼付されているディバイスを高速回転 (高速回転といってもロータブレーターのように 一分間20万回転以上ではなく、せいぜい数万回転という回転数です)させることにより、血管内の石灰化病変を細かく削り、風船やステントなどでは十分な拡張を得ることができない病変も十分に拡張させ、その後に薬剤溶出性ステントを植え込み、良好な長期予後を得ようというディバイスです

ロータブレーターは石灰化病変に対して現在日本で用いることのできる唯一有効なディバイスですが、特に石灰化病変が欧米のPCIの現場よりも多い、とされてい日本の現状ではいくつかの重大な欠点があります それらは

  1. 切削できる半径毎にディバイスを入れ替える必要がある
  2. 太い径を切削しようとすると、太いガイディング・カテーテルが必要となる
  3. 用いられるガイドワイヤーの性能があまり良くない
  4. 何しろ非常な高速回転なので冠動脈穿孔なども起こりえる
  5. 日本国内では厳しい施設基準が設けられ、PCIの全場面で用いることはできない
などでしょうか これに対して、このディバイスは、1, 2, 3, 4の欠点は全て克服しているように思われます 5に関しては、今後どのようになるかは私の範疇ではありません

さて、このような新規ディバイス、臨床現場ではその出現が非常に待たれているものではありますが、そのようなディバイスの有効性を科学的に検証するのは、一筋縄では行きません 何故ならば、対象となるこれまでの治療法あるいはその成績があまり存在しないからです また、倫理的にも実際の症例数という点からも無作為化比較試験を行うことが事実上困難です

このような時に持ちられる手段が、これまで得られたなるべく多くの論文から、このディバイスに対して求められる性能 = Performance Goalというものを十分な検討の上で求め、その PGに対して、統計学的に 95%の確率で、同等あるいは優位である、という結果を求める試験を行う、というものです

本 ORBIT IIでもそのようにして臨床試験が組み立てられました その結果、非常に重篤な石灰化を伴う冠動脈病変に対して、このディバイスは手技急性期においても、30日目の成績においても、臨床結果は問題なく良かった、という結果を出したのです 日本国内で早期に導入できることが期待されます

TRIの現場では主として石灰化を伴う冠動脈や、病変のために、頻繁に子カテなどを用いて無理やり薬剤溶出性ステントを植えこむことが行われています 実はこの子カテに関しては、何の臨床試験も行われておらず、その安全性や有効性に関しては、「きっと安全で有効である」としか背景が無いのが現状です このディバイスはそのような現状を変え、特にTRIの現場では革命的な手技変化をもたらすものと予想しています



Five-Year Outcomes in Patients With Left Main Disease Treated With Either Percutaneous Coronary Intervention or Coronary Artery Bypass Grafting in the Synergy Between Percutaneous Coronary Intervention With Taxus and Cardiac Surgery Trial. Morice MC, et al. Circulation 2014: 129: 2388-2394.

これは、TAXUS DESによるPCIと、冠動脈バイパス手術の効果を前向きに無作為に比較した臨床試験である Syntax試験の結果にサブ解析です ここでは、左主幹部に対して、TAXUSを用いたPCIと、冠動脈バイパス手術の5年間の治療成績が比較されました これまでにも 1年間の治療成績が公表されており、それでは、脳心血管重大事故 (MACCE)では両群間に有意な差は無いが、脳卒中発症頻度では冠動脈バイパス手術群でよる多く発症していたのです

この傾向は 5年間追跡しても全く同様の結果であり、数字のみを信用すれば、左主幹部の治療においてはむしろPCIの方が冠動脈バイパス手術よりも優れている、そのように結論できます

ただし、この論文の中でも解析されているように、解剖学的にPCIにあまり向いていない、とみなされる群では、やはり冠動脈バイパス手術の方に分がある、というまあ日常臨床の現場では常識的な結論が裏付けられた結果となっています
Association Between Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Risk of Major Cardiovascular Disease Events: A Systematic Review and Meta-analysis. Rizos EC, et al. JAMA 2012; 308: 1024-1033.

動脈硬化予防のために、日本では保険償還されているためか比較的良く用いられている不飽和脂肪酸製剤が本当に効果があるか否かを、これまでに発表された無作為化試験の結果から調べたメタ解析の結果です
メタ解析の結果からは、オメガ3不飽和脂肪酸投与をしても、全死亡率、心臓死、突然死、心筋梗塞、脳卒中の発症頻度を低下させる効果は無かった、というものです

本解析では、成人に対して行われた無作為化試験のみが対象とされました 結局、20の臨床試験での、68,680例が解析され、対象症例では、7,044例の脂肪、3,993例の心臓死、1,150例の突然死、1,837例の心筋梗塞、1,490例の脳卒中という何れも解析には十分な症例数のイベントがありました この中には日本で「エパデール」を用いて7,503例: 7,478例の被験者を対象として行われ、2007年に Lancetに結果が発表された JELIS試験も含まれました

結果は先ほど記したように、全てのイベントにおいて、不飽和脂肪酸投与は有効な効果を示さなかったのです まあ、所詮青魚の油ですから・・・
Underexpansion and Ad Hoc Post-Dilatation in Selected Patients Undergoing Balloon-Expandable Transcatheter Aortic Valve Replacement. Barbanti M, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 976-81.

この論文はとても実践的な論文です
現在日本で用いられている経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI/TAVR)のディバイスとしては、Edward Sapien-EXしかありません 「しかありません」という言葉を用いましたが、これでもアメリカに先駆けてこの先進的ディバイスを独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は認可されたのです 感謝感激です

さて、Sapien-XTはとても良い強いステントですが、それが故に、規定の(23mm/26mm)径以上にはまず絶対に拡張されません inflation volumeを増やしても拡張圧が高くなり、石灰化マスを押し広げるだけです これが故に、大動脈基部破裂をきたすこともあるのです

かといって、小さい径のディバイスを植え込んだならば、絶対に大きくならないので、残存大動脈弁閉鎖不全がひどく残ることになります

臨床的には、ジレンマです 大動脈基部破裂は怖いし、かといって小さなバルブを植えれば大動脈弁閉鎖不全や、ディバイスの遊走が起こります

そこで、臨床現場ではこれまで、規定の inflation volumeから 1ml/2ml少なくして拡張し、様子を見る、そのようなことが行われてきました この論文ではこの戦略の妥当性を検証し、YESという回答を与えたのです

とても実践的役に立つ論文で、こんな論文書きたいものです
Very long-term outcome after initially successful catheter ablation of atrial fibrillation. Steinberg JS, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 771-776.

心房細動に対するカテーテル・アブレーションは治療手技として確率し、ほとんどの病院ではその初期成功率は 90%以上となっています 患者さんの立場から見れば、今や問題はその成功がどれだけ持続するか? ということでしょう これについてもっとも多数の追跡が行われたのがこの論文です
心房細動に対するカテーテル・アブレーション後、1年の時点で心房細動再発が無かった 225例の患者さん (この中の 87.9%が一回の治療で完結)を平均 66.0 +/- 34.0ヶ月経過観察しました
平均 40.7 +/- 27.0ヶ月で全体の 21.8%の症例が少なくとも一回の心房細動再発を経験しまたが、大多数は無症候性でしたし、特に再発に伴う合併症も認められませんでした
心房細動の再発に対する予測因子としては、そもそもカテーテル・アブレーションの対象となった心房細動が慢性持続性心房細動であったことと、高血圧症の合併でした

心房細動に対するカテーテル・アブレーション、なかなか良いですね 感覚的には発作性心房細動であれば、一度カテーテル・アブレーションに成功すれば、10年間の再発率は1/4ぐらいに抑えられる、ということのようです
Ablation of Rotor and Focal Sources Reduces Late Recurrence of Atrial Fibrillation Compared With Trigger Ablation Alone. Narayan SM, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 1761-8.

これは心房細動に対するカテーテル・アブレーションの話です ずっと昔は心房細動のメカニズムとして、心房内の無限の場所でさざなみのように発火し、それにより心房細動となり、心房細動が維持される、という仮説 つまり Wavelet (=さざなみ)仮説が有力でした
しかしながら、実は肺静脈隔離 (Pulmonary Vein Isolation; PVI)を行えば、心房細動が停止することが臨床的に判明し、PVに起因した上室性期外収縮により、心房細動が誘発される、という現在の理論が構築されました
これに対して Rotorという概念は、心房細動の initiationはPVであるかも知れないが、その維持のためには、心房内で局所の小さな回転回路が形成されている、と考えるものです そして、その同定のためには、バスケット電極を用いて心房内の多数の場所の電位変化を同時に測定し、それを RhytmViewという機械(Software)を用いることにより同定する必要がある、と筆者たちは主張しています
そして、その主張の正しさを証明するために、CONFIRM試験というのを行い、PVIだけでなく、このROTORをカテーテル・アブレーションすることにより、長期予後が改善するのだ そのように主張した論文です
まあ正直僕にとっては「ああ そうなんですか」という程度の話ですが、言葉として知っておいたほうが得なのは、FIRMという言葉です これは Focal Impulse and Rotor Modulationの頭文字であり、要するに心房内で心房細動を維持する場所として小回路が形成されている局所のことを指す言葉のようです
そして、そこに対してカテーテル・アブレーションを行う方法が FIRM-guided ablationというものだそうで
ああ難しい
Insights Into Echo-Attenuated Plaques, Echolucent Plaques, and Plaques With Spotty Calcification. Pu Jun, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 2220-33.

本日はIVUS (血管内超音波)で見た所見と、死後病理学的所見の対比です 従来、IVUSで超音波反射波が戻ってこない部分 = Echolucencyとか Echo-attenuationとか呼ばれていますが、その部分には、脂肪を大量に含んだプラーク (lipid pool)や、壊死した組織 (necrotic core)があり、やがてその表面を覆う内膜側の繊維組織が薄くなれば (= Thin-Capped FibroAtheroma: TCFA)、そこからプラークの破裂が起こり、急性冠症候群となる、とそのように見てきたような物語が語られ、それがいわゆる IVUS屋さんと、アンギオ屋さんとの繊細さの違いのように語られてきました

ちなみに、Echo lucency vs Echo attenuationの違いは何でしょうか? IVUSで見た定義としては簡単なことです 透瞭像の後ろに外膜などの反射波が認められれば、それは Attenuationであり、全く後ろが透けて見えれば、それは Lucencyなのです これを普通に考えれば、Lucencyの方が、Attenuationよりも何か超音波散乱剤、あるいは超音波吸収剤が、多量に含まれている、そのように考えますよね

また、内膜側の石灰化で、90度以内のものをどうやら Spotty Calcificationと呼んでいるようなのですが、それだって少なければ多ければ安定化プラークであることは理に叶っている話ですよね

この論文では、何と2,294本の人間冠動脈を丹念に調べ、病理とIVUSの対比を行ったのです そして得られた結論は、我々の常識的な判断と同一の結論でした

さぞかし大変な仕事であった、そのように思いますよ
Profress to the Persistent Form in Asymptomatic Proxysmal Atrial Fibillation. Senoo K, et al. Circ J 2014; 78: 1121-1126.

長い間外来患者さんを診療していると、発作性心房細動であった患者さんが何時の間にか慢性心房細動に移行する例というのを時々見かけます。大概は年齢と共に、慢性化するような印象です。さて、発作性心房細動といっても、激しい症状を伴う場合もありますし、何だか何も自覚しないのにたまたま発作性心房細動が見つかる例もあります。印象としては、このような無症候性の発作性心房細動というのは、まあ、「風邪みたいなもの」であり、慢性化もしないし、あるいは心血管イベントもおこないのではないか? そのような予断がありますよね。

この論文では、心臓血管研究所の外来患者さんを丹念に追い、無症候性発作性心房細動であっても、かなりの確率で、慢性心房細動に移行するのみならず、心血管イベント発生率は、有症候性の発作性心房細動に比して、全く変わらない頻度で発生する、ということを報告したものです。しかも対象が日本人の患者さんですので、我々にとっては重い結果ですね。
ちにみに、発作性心房細動->慢性心房細動への移行は、症候性発作性心房細動では年率 8.6%、無症候性発作性心房細動では、年率4.7%であり、p = 0.015の有意差がありましたが、虚血性脳卒中発生率は、それぞれ 1.1%/0.6% (p = 0.113)、心血管死亡は、0.5%/0.4% (p=0.772)と差がありませんでした。貴重な研究ですよね。
In Vivo Diagnosis of Plaque Erosion and Calcified Nodule in Patients With Acute Coronary Syndrome by Intravascular Optical Coherence Tomography. Jia H, et al. J Am Coll Cardiol 2013; 62: 1748-58.

この論文では、急性冠症候群患者さんに対して OCTで観察し、その病変にはこれまで言われてきた Plaque Ruptureの所見のみならず、Plaque Erosionが多く認められ、さらに高齢者ではCalcified Noduleが多く認められるということを提唱しています。Plaque Ruptureであれば、血管内超音波検査 (IVUS)で明瞭に観察できまずか、Erosionとか、ここでいう calcified noduleというのは微小なものであり、IVUSでは分からない小さなものを指しているようです
それゃあ 原理的に解像度は音波を用いるIVUSよりも、光を用いるOCTの方が波長の長さの半分に比例して良いのですが、本当かな? とも思います
この論文は、128例の急性冠症候群患者さんを対してた観察研究であり、その中で plaque rupture = 43.7%, erosion = 31.0%, calcified nodule = 7.9%で認められた、ということです

Erosionとか Calcified Noduleとか言われればそうななのかな? とも思いますが、論文の中の Figure 3 = Erosionと Figure 4 = Calcified Noduleを見比べてもその違いが全く分かりません だからどうもこの論文の内容にはあまり感心しないのです

以前僕が提出したある雑誌の Editorial Reviewで書いた以下の文章を今でも真実だと思っています


What is essential for the clinical examination? From the standpoint of the information, it must be to retrieve information from the objects as much as possible. Especially for the diagnostic imaging procedures, it is essential to retrieve the image of the objects as accurately as possible. In order to perceive the image of the objects, we have to use some kind of waves. The 2 most common waves for us are light and sound. By using light wave, we can see the world through our eyes. By using sound wave, we can hear the world through our ears. Aside from these waves common for us, we use microwave in Rader to detect flying airplanes or cruising ships. We also can know where the earthquake was initiated and how strong it was by analyzing the earthquake wave using seismogram. The acquisition of any objects by using waves is generally limited by 2 factors: the wavelength and the sampling rate. In general, if we use the wave with longer wavelength (= lower frequency) to detect the objects, the wave can go through over the obstacles and reach the objects more easily, but the size of the objects which we can recognize is bigger, because the objects smaller than the wavelength can hardly reflect the wave. On the other hand, if we use the wave with shorter wavelength (= higher frequency), we can recognize the smaller objects by the reflected wave from those objects, but the wave can be reflected more easily by the obstacles between us and the objects, and reach the objects with bigger difficulty. In order to detect the reflected waves, we have to sample these waves (Almost all of the information is now processed by digital but not by analog ways). According to the fundamental theorem in the field of information theory: the theorem proposed by Harry Nyquist and Claude E. Shannon (Nyquist-Shannon Sampling Theorem), when sampling a signal, the sampling frequency must be greater than twice the bandwidth of the input signal in order to be able to reconstruct the original perfectly from the sampled version [1]. In other words, we can detect the wave only with the frequency lower than the half of the sampling rate. Thus, the acquisition of the objects is regulated at least 2 factors: the wavelength and the sampling rate. Since selective coronary angiography was first performed by Mason Sones on October 30, 1958 [2], it has been the golden standard in the in-vivo evaluation of coronary artery anatomy and pathology for almost 50 years. Gruentzig started percutaneous coronary angioplasty by using his own-made balloon catheters in human patients in 1977. He invented an on-the-wire balloon with double lumens: one lumen was for the balloon inflation and another for the pressure measurement. The pressure lumen opened distal to the balloon so that the distal intra-coronary pressure could be monitored. He utilized the information not only from coronary angiography but also from the intra-coronary pressure distal to the narrowing. However, the measurement of the distal intracoronary pressure had been soon abandoned after the introduction of the steerable guidewire and balloon catheter system, since its clinical significance had not been proved. For many years, coronary angioplasty had been performed based on the information obtained only from coronary angiography. From early 90's, intracoronary ultrasound (ICUS) examination had been developed and finally achieved the position as another standard to evaluate coronary artery anatomy and pathology especially during coronary angioplasty in mid to late 90's [3]. It is especially useful to evaluate the plaque distribution and morphology while doing directional coronary atherectomy. However, after new-generation stents were put into market, the easiness and efficacy of stent implantation had been gradually pushing away the complicated and troublesome procedures like directional coronary atherectomy. There have been several prospective randomized comparisons to test the usefulness of ICUS examination during coronary angioplasty. In OPTICUS (OPTimization with ICUS to reduce stent restenosis) study, 550 patients being planned to receive coronary stent implantation were prospectively randomized into either ultrasound- (252 patients) or angiography- (269 patients) guided stent implantations, and were followed up for 6 months post procedures. The results were striking to everybody who claimed the clinical significance of ICUS examination during angioplasty. They could not find any significant differences in 6-month restenosis rate, percent diameter stenosis or minimum lumen diameter between 2 groups [4]. The current ICUS system uses 40 MHz ultrasound. The wave speed of ultrasound in the body is defined as 1562.5 m/sec (ANSI standard). Thus, one wavelength equals to 39 microns. The ICUS system emits ultrasound pulses of 3.5 wavelengths in duration (= 137 microns). Thus, theoretical minimum spatial resolution will be 68 microns, which is much better than the minimum angiographic resolution (= 100 to 200 microns). We tend to assume, if the resolution would be higher, it would bring better clinical results. However, it was not true in OPTICUS study. Since the light used in optical coherent tomography (OCT) has shorter wavelength, the theoretical minimum spatial resolution is much higher than ICUS examination. In this journal [5], Diaz-Sandoval, et al clearly showed the better imaging ability of OCT in coronary arteries of human patients before and after coronary angioplasty. I am really looking forward to having a nice OCT system in my catheter laboratories. I want to see more precisely how is looking at the lesion, for which I am treating by angioplasty. However, I must be very careful for its real importance in clinical situation, especially in the era of drug-eluting stent. The tremendous clinical effect of drug-eluting stent may cover all of the fine possible effects of OCT in the real-world clinical situations. Reference [1] C. E. Shannon, "Communication in the presence of noise," Proc. Institute of Radio Engineers, vol. 37, no.1, pp. 10-21, Jan. 1949. [2] Proudfit WL, Shirey EK, Sones FM Jr. Selective cine coronary arteriography. Correlation with clinical findings in 1,000 patients. Circulation. 1966; 33: 901-10. [3] Sudhir K, Fitzgerald PJ, MacGregor JS, DeMarco T, Ports TA, Chatterjee K, Yock PG. Transvenous coronary ultrasound imaging. A novel approach to visualization of the coronary arteries. Circulation. 1991; 84: 1957-61. [4] Mudra H, di Mario C, de Jaegere P, Figulla HR, Macaya C, Zahn R, Wennerblom B, Rutsch W, Voudris V, Regar E, Henneke KH, Schachinger V, Zeiher A; OPTICUS (OPTimization with ICUS to reduce stent restenosis) Study Investigators. Randomized comparison of coronary stent implantation under ultrasound or angiographic guidance to reduce stent restenosis (OPTICUS Study). Circulation. 2001; 104: 1343-9. [5] Diaz-Sandoval LJ, Bouma BE, Tearney GJ, Jang IK. Optical coherence tomography as a tool for percutaneous coronary interventions. Catheter Cardiovasc Interv 2005: **; ***-**.

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