2014年7月アーカイブ

Comparison of lesion formation between contact force-guided and non-guided circumferential pulmonary vein isolation: A prospective, randomized study. Kimura M, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 984-991.


心房細動に対するカテーテル・アブレーションの話です もちろん PVI (Pulmonary Vein Isolation: 肺静脈隔離術)の時の話です 実際にカテーテル・アブレーションの高周波カテーテルが対象となる左房壁にきちんとコンタクトしているか否か、常識的に考えてそれがカテーテル・アブレーションの結果を作用するだろう、ということは分かります そして、そのためには ここからは無知な私の想像ですが、通電時の impedanceを測定すれば、きちんと接地しているか否かは分かるのではないでしょうか? インピーダンスとは交流電流の時の抵抗値なので、それが高い、ということは電流が良く流れていない、ということになりますので、その一番の原因は接地不十分と思われるからです

しかし、この論文では、既に市販されているらしいのですが、接地圧力を測定できるカテーテルを用いて、それが有用であるか否かが検証されました

その結果、このカテーテルを用いることによって、カテーテル・アブレーションの時間が短縮され、追加カテーテル・アブレーション回数も減少し、長期予後も改善した、と結論しています さらに、初めにこのカテーテルを用いてカテーテル・アブレーションのトレーニングをすれば、その後は、通常のカテーテル・アブレーションカテーテルを用いても同様の成績が得られる、とも述べています

確かに、左心房へのカテーテル接地圧力が重要であると思います あまり強く押し付ければ合併症起こすでしょうし、押し付けが足りなければ通電不十分に終わるでしょうし でも、そんなのカテーテルから返ってくる感触や impedanceで分からないものでしょうかね 何しろ僕はカテーテル・アブレーションしたこと無いのでコメントできません
Stent Thrombosis in New-Generation Drug-Eluting Stents in Patients With STEMI Undergoing Primary PCI: A Report From SCAAR. Sarno G, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 64: 16:24.

Sweden国内にはPCIを行っている施設は確か 16しか無かったと記憶しています しかもその全てが国立病院であり、そこでの診療記録はは全て登録されます PCIに関する登録は SCAAR (Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Register) と呼ばれています これまでにもDESの late stent throbosisについての問題提起をしたり、非常に業績のあるレジストリです

この論文では、STEMIに対するBMSと第一世代DES、そして第二世代DESについて成績が比較されました もちろん、この植え込みは無作為化されていませんので、多くのバイアスが入る可能性がありますが、何しろ大きなレジストリなので、別の言い方をすれば、限定された症例ではなく、実世界診療を表しているとも考えられます

結果は、早期/晩期ステント血栓症の発生は、BMSに比較して、第二世代DESでは HR 0.65 (0.43-0.99)、第一世代DESでは HR 0.60 (0.41-0.89)と少ない発症頻度でした そして、晩期ステント血栓症に関しては、BMSに比較して 第二世代 1.52 (0.78-2.98)、第一世代では HR 2.88 (1.70-4.89)と有意に第一世代DESで多く発生しました

このことから、STEMIに対して総合的に第二世代DES植え込みがBMS植え込みよりもステント血栓症リスクが少ないが、第一世代DESでは多いことが分かり、結果として現在のガイドラインは書き直しが必要である、と提言しています

まあ今さら第一世代DESを用いる施設や医者はいないと思いますがね・・・
Comaprison of transracial and femoral approaches for percutaneous coronary interventions: A systematic review and hierarchical Bayesian meta-analysis. Bertrand OF, et al. Am Heaert J 2012; 163: 632-48.

先日名古屋で CVIT2014が開催され、その中のシンポジウムの一つとして TRI vs TFIというのがあったようです 僕はメキシコに行っていて参加していませんでしたが、聞けば、Bleeding Complication -> higher mortality during PCIといのが証明されていないので、急性心筋梗塞(STEMI)に対しては、TRIでやろうが経大腿動脈的冠動脈インターベンションでやろうがどちらでも良い というような論旨が主流を占めた、ということです

これに対しては、正直 「何で今さら」と思います 過去に既にPCIと関係なく、

Yatskar L. et al. Access Site Hematoma Requiring Blood Transfusion Predicts Mortality in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention. Catheter Cardiovasc Interven. 2007; 69: 961-966.
では、NHLBI registryの解析から、 bleeding complicationとその後の mortalityの間には direct linkが存在すると言われ、また

Feit F et al. Predictors and Impact of Major Hemorrhage on Mortality Following Percutaneous Coronary Intervention from the REPLACE-2 Trial Am J Cardiol. 2007; 100:1364-9
上記の REPLACE-2試験でもそれは明らかです。

そして、急性心筋梗塞に対しては、TRIが経大腿動脈的冠動脈インターベンションに比して明らかに出血性合併症を減少させることが明らかです。ですから、できるならばTRIで治療すべきであり、少なくとも急性心筋梗塞に対してPCIによる治療を行おうと考えている循環器内科医は、普段よりTRIに習熟すべきなのです。

さて、この論文では、これまでpublishされた、TRIとTFIを比較した、無作為試験と観察研究を調べ挙げ、この問題に回答を出そうとしたのです。その結果、観察研究では、hard endpointにおいて、TRIがTFIよりも優れている、という結果が出来ましたが、無作為試験では、死亡や心筋梗塞といったhard endpointsでは両群で明らかな差が認められなかった、というものです

これは、当たり前のことです 何故ならば観察研究では恐らくは対象となる患者群が異なるからです その結果TFI群で分が悪い、そのようになるのでしょう 一方無作為試験群では、ここらが無作為化されますので、対象となった比較的少ない症例数では当然のことならが有意な差が認められないのでしょう だってもともと試験が 僕が2003年にpublishした TEMPURA Trialでも、hard endpointsで有意な差が出るように症例数を設定していないからです
しかし、強調すべきは、Bleeding Complications発現率に有意な差が出ています 全ての試験でそうなのです これは、hard endpointsの発現頻度よりも、bleeding complications発現頻度の方が10倍以上多いから 統計学的に検出し易いからなのです

だから振り出しに戻りますが、急性心筋梗塞の治療に対してPCIを行うのであれば、TRIですべきであります TFIで行いもしもbleedingが起こったならば、その全責任は術者にあります もっとも、橈骨動脈拍動が触れない場合は別ですよ その場合には再灌流時間短縮のために、速やかに動脈アクセスすべきなのです
Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients Undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation With Different Anticoagulation Management: Results from COMPARE Randomized Trial. Biase LD, et al. Circulation 2014; 129: 2638-2644.

心房細動に対するカテーテル・アブレーションは既に標準的治療法の一つとなっており、日本では健康保険診療下で日常的に行われています 心房細動患者さんに対しては CHADS2 scoreにもよりますが、ワーファリンないしNOACによる抗凝固療法が脳梗塞予防のために行われていますが、カテーテル・アブレーション手技中にはヘパリンが用いられますので、その時には経口抗凝固薬から一時的に切り替えねばなりません ところが、この時に、梗塞や場合によっては出血といった合併症が起こるのです

そこで、経口薬としてワーファリンか NOACかというのが議論になっていました ワーファリンの利点は Vitamin K投与により reverseが簡単に行えるのと、抗凝固能を簡単にモニターできる点でしょうか さて、この論旨に則ってワーファリンによる抗凝固療法をカテーテル・アブレーション前に行っていた場合、手技に移行する時に、ワーファリンを止めるのか、止めないで継続して手技に移るのか? それが現実的に問題となります この論文ではここに焦点を当てて臨床試験が組み立てられました

この論文では 1,584名のCHADS2 score >= 1の患者さんを、ワーファリン継続群と ワーファリン一次停止群に 1:1で無作為化して open-labelで行われました もちろん blindは不可能ですねよ だって INRとか測定せねばならないので服薬しているかいないかは自明ですから・・

結果は驚くべきであり、ワーファリン継続群では、2例 (0.25%)でしか脳梗塞が発症しなかったにもかかわらず、ワーファリン一次停止群では、39例 (5.0%)で何らかの脳梗塞が発症したのです これはももちろん掛率(OR) = 13 (3.1 - 55.6; p<0.001)という賭けにもならない程の確かさで、ワーファリン継続群の勝ちとなりました

というわけで現在のところ、多くの医師が、ワーファリンが効いた状態で、カテーテル・アブレーションなどの侵襲的手技を行うのをためらうにもかかわらず (言っておきますが、僕はためらいません だって Radialistだもん)、カテーテル・アブレーションに際してワーファリンを停止することは勧められませんね 

なお筆者達は、この結果は他の NOACに外挿することはできない、と言っています
Efficacy and Safety of Rivaroxaban Compared With Warfarin Among Elderly Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation in the Rivaroxaban Once Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K  Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF). Halperin JL, et al. on behalf of the ROCKET AF Steering Committee and Investigators. Circulation 2014; 130: 138-146.

NOACの一つである Rivaroxaban (日本での商品名 イグザレルト)は、腎機能低下例でも投与でき、また一日一回投与でも良いなど、NOACとして使いやすい特徴があります さらに、この Rivaroxabanの有効性をワーファリンに比して検証した大規模試験 ROCKET AFにより、Warfalinに比して、Rivaroxabanは心房細動患者さんでの脳梗塞予防効果において、劣っておらず、しかも、脳出血の合併症が有意に少なかった点から、その有効性が期待されています
また、日本人においても、国内第三相試験において、ワーファリンに対する非劣性が示された (どうも統計学的には有意な非劣性ではない?) ことから、日本人患者さんでも有効性が期待されています

特に、日本は世界の中でもダントツに急速な高齢化が進み、高齢化と共に心房細動患者さんが増加していますので、脳梗塞の予防と、かつ脳出血の増加抑制というのは重要な要求事項であります

さて、この論文では、 ROCKET AF患者群を 75歳以上の 6,229例と、75歳未満の 8,035例で、ワーファリンに対する Rivaroxabanの有効性を再解析したものです 正直論文に記載されていることは複雑怪奇であり、読んでいると誰しも眠くなり、あっ、この論文は新しい睡眠導入剤開発物語なのかな? と思ってしまいます

そういう訳で、筆者の言うとおりのことしか記載する元気はありません それによれば、75歳以上の高齢者における非弁膜症性心房細動に対しても、Rivaroxabanは、INRをきちんとコントロールしたワーファリンと同等の脳梗塞予防効果を示し、しかも脳出血の危険性は少なかった というものでした

これは素晴らしい結果であり、積極的に Rivaroxabanを使用したいと誰しも思います 僕もそうです というか、このような論文が出ている状況では、患者さんに Rivaroxabanでなく、ワーファリンを投与し続けることは罪でしょう

とは言っても、日本の急速な高齢化は色々な社会的別の問題をもたらします 何しろ、NOACはワーファリンに比して p<0.00000000000000000000000000001などという天文学的数字でもって有意に高額なのです さすれば、そのような高額の薬剤を収入の途絶えた高齢者が支払うことができるのか? これはある意味選別化とか、色々な問題につながるのかも知れません 時限爆弾のように社会に影響をもたらすのかも知れません
Importance of Guiding Catheter Disengagement During Measurement of Fractional Flow Reserve in Patients With an Isolated Proximal Left Anterior Descending Artery Stenosis. Aminian A, et al. Catheter Cardiovasc Interv 2014; 00:00-00.

FFR測定は、狭窄病変遠位の動脈圧と、ガイディング・カテーテル先端の圧との比率から計算されるため、仮にガイディング・カテーテルがwedge気味となり、ガイディング・カテーテル先端圧が低下すれば、それに見合った低下が狭窄病変遠位では起こらない (何故ならば狭窄の程度がガイディング・カテーテルのwedgeよりも、病変そのものの方が強いから なのだ) ので、このような状況下では、見かけ上 FFRが高く出ることになりますよね こんなこと考えれば誰だって分かりますよね
そこで、従来より入口部病変が存在する時には、ガイディング・カテーテルを浮かして FFR測定をすべきだ、と言われてきましたが、この論文では左冠動脈前下行枝近位部病変で、明らかな入口部病変が存在しない場合にはどうだろう、ということを調べたのです

まあ色々クチャクチャ書いておりますが、要するに結果は (ああ いけないいけない すぐに結果ばかり求めるのは良くないですね でも残された人生が皆さん方と違って短いのだから許してね、いや決して不治の病にかかっている訳ではないのですよ、ただ、人間の寿命について語っているのですよ、何を言っているのだか) 、そう結果は きちんとガイディング・カテーテルを外して FFRを測定しないと、正しい値が出ないよ、というものでした 特に、FFRが PCIを行うべきか deferすべきかの限界値の当たりです、ガイディング・カテーテルを外せば 問題なくPCIすべきになる、そのようにも解釈されました

そもそも人間は、デジタル的値に対して非常に弱いですよね、値があれば、それを決断の根拠に使用するのです とは言ってもカオス的自然界においては、デジタル的値そのものも 不確定要素に支配され、そもそも量子力学におけるハイゼンベルグという天才が最初に提唱した「不確定性原理」によれば、物質の運動量と位置を同時に正確に知ることは原理的に不可能であり、ことが FFRであったとしても、ガイディング・カテーテルが大動脈内でふわふわ動いている状況では、運動量から導き出される圧力も不定になるのだっ、だから FFRをそんなに信用しても仕方ない!! そのように主張することも可能かな?

まあこの論拠は典型的な似非科学ですね すみませんでした
Endovascular Treatment of External Iliac Artery Occlusive Disease: Midterm Results. Suero SR, et al. J Endovasc There 2014; 21: 223-229.

多分みなさんがた普通に EIA (外腸骨動脈)病変に対して、血管内治療を行っておられると思います そして、その有効性に関しては何ら疑問を呈していないと思います この論文は、連続した 99例の外腸骨動脈に対する血管内治療の中期予後 (Median = 27.5ヶ月) について後ろ向きに検討したものです

結果は、外腸骨動脈病変のTASC A/Bに関しては、血管内治療は素晴らしい成績を示すが、外腸骨動脈の遠位1/3に病変があると、予後はそれ以外よりも良くない 特に covered stentを用いた症例は予後が悪い というものでした

まあ何れにしても外腸骨動脈の病変に対して primaryに外科的手術という選択は既にあり得ないでしょうね まあ当たり前といえば当たり前の結果でした

ところで、論文中の Figure 1においては、ROC curveが書かれています そして、病変長 60mmと、ステント長さ 80mmが cutoff値としているのですが、その AUCがそれぞれ 0.65と 0.61なのですよ これっていいのでしょうか? ROC curveの AUCは別名 C statisticsとも呼ばれる値であり、それをカットオフ値の検出に用いるためには、少なくとも 0.8以上無いと意味が無いように聞いているのですが・・・
0.6なんて、要するにこの Figure 1でもそうですが、特徴無い曲線であり、そこからカットオフを取り出すなんてどう考えても無理ですよっ!!


Rapid Endovascular Catheter Core Colling Combined With Cold Saline as an Adjunct to Percutaneous Coronary Intervention for the Treatment of Acute Myocardial Infarction: The CHILL-MI Trial. Erlinge D, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 1857-65.

何とも大それたことを考えるものです しかも、それが実際の臨床患者さんに対して多施設で行われるのだからすごいものです 実際に行われたのは、Sweden, Austria, Denmarkなのです まあこれらの国々では急性心筋梗塞罹患率が高いので、このような研究にも寛容なのかも知れません

これまでに、急性心筋梗塞患者に対して低体温療法を施せば、心筋梗塞危険領域(MaR: Myocardium at Risk)と心筋梗塞サイズ (IS: Invarct Size)が少くなる、という報告がありましたが、この論文研究では、発症後6時間以内の 120名のSTEMI患者さんに対して低体温療法を施した群と、施さない群で無作為化試験が行われました

低体温療法群では、いくつかの薬剤前投薬の後、摂氏4度の生食を加圧バッグにより大腿静脈に挿入した 14Frシースから投与し、その投与総量は前壁心筋梗塞であれば、10ml/Kg そして、下壁心筋梗塞であれば、20ml/Kgすなわち 600 - 2,000ml投与されて成し遂げられました 目標体温は 33度であり、1時間持続されました

心筋梗塞サイズについては、MRIで MaRおよびISが測定されました

さてこんな大掛かりな試験ですが、全体としては、低体温療法を施そうが施さなかろうが、心筋梗塞サイズには差が認められませんでした きっとそんな結果では困る、と思ったのでしょうか? サブ解析が行われ、「再灌流時間の早い前壁心筋梗塞に限れば、梗塞サイズの減少が得られる」という結果が出ました

さて、結論としては、低温生食投与による低体温療法は臨床的に可能であり、安全である (残念ながら)梗塞サイズ減少効果は認められなかったが、心筋梗塞早期の前壁梗塞に限定すれば、有効な可能性がある、というものでした

さてさて、そもそも心筋梗塞患者さんに対して、生食を 600ml以上急速投与することには、僕は恐ろしさを感じるのですが、如何でしょうか? また、低体温維持のためには、麻酔が必要だと思いますが、それも僕は気に食わないですね そんなことよりも一刻も早く再灌流するように努力することの方がよほど重要だと思います
Medium-Term Effects of Septal and Apical Pacing in Pacemaker-Dependent Patients: A Double-Blind Prospective Randomized Study. Molina L, et al. PACE 2013; 37: 207-214.

僕なんてものすごく早い手技で昔はペースメーカー植えていたんだ そのスピードは一人術者で、縦に VVIであれば、3例、DDDであれば、2例の植え込みをしていたこともあるのです 「縦」とは何を意味するか? と言えば、心カテテーブル一つで患者さんを入れ替えて、という意味ですよ
如何に早かったか分かるでしょ? しかも一人術者ですよ
とは言うものの、最後の植え込みしてから既に 15年間が経過しています 何時の間にか心室pacingはきちんと心室中隔高位に pacing leadを植えこまねば罪のように言われるようになってきました もちろんこれは正常の房室電導を simulateするためで、非常に reasonableです しかし、理論と現実が異なる というのが大人の世界 実際には本当に中隔pacingが良いのか否かについては はっきりとした証拠が無かったのが現実です

それは何故かと言えば一つには、「心室中隔pacing」と言っても術者がそのつもりであったとしても、もちろん透視での位置決めですが、それにはvariationがあり、しばしば中隔ではなく心尖部や右室 free wall pacingとなるらしいのです
この論文では中隔pacingをRAO/LAO viewsで行い、確実に中隔に位置させる群と、心尖部pacingの群を比較しました 対象は房室ブロックに対して初めてペースメーカーを植えこむ患者さん 142例でした この中の 71例では 98%以上の頻度で pacingが行われましたが、その他の71例ではpacingに対する依存度が低かったので除外されました 前者の71例の内、34例が apical pacing、37例が septal pacingであり、この方たちの左心機能の推移が心エコーで追跡されました

結果ですが、6ヶ月後の心機能が 6分間歩行と、心エコー所見で判定されています 有意な差が出たのは、6分間歩行距離と、左室駆出率(LVEF)であり、圧倒的に中隔pacingにおいて心機能改善効果が認められました もちろんこの判定は、患者さんに対しても、判定者に対しても無作為化して行われたのです さらに一年間まで追跡すると、中隔pacing群ではさらにLVEFが改善しましたが、心尖部pacing群では1年後に LVEFが悪化していました

このことから、ペースメーカー依存患者さんに対しては、可能な限り中隔pacingを行うべきだ、と結論しています

まあ、その通りでしょう 頑張って中隔pacingしましょうね 僕はもうしませんが・・・・
Prospective Randomized Evaluation of the Watchman Left Atrial Appendage Closure Device in Patients With Atrial Fibrillation Versus Long-Term Warfarin Therapy: The PREVAIL Trial. Holmes Jr DR, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 64: 1-12.

心房細動に伴う塞栓予防に対しては、これまでワーファリンあるいは NOAC (Novel Oral Anti-Coagulation)が有効とされており、これが標準的治療法として確立しています これに対して、deviceにより塞栓予防を行おうとする試みが行われてきましたが、その代表が本論文で扱われている Watchman Deviceです このDeviceは心房中隔穿刺により、左心耳を閉鎖するものです 次に行われているものが、LARIATと呼ばれるものであり、経皮的に心嚢穿刺を行い、心房中隔より左心耳入り口に挿入した磁石をガイドに、心外膜側から左心耳を縫縮してしまう、というものです

Watchman deviceの有効性を検討するために、アメリカで行われた PROTECT AF試験では、このディバイスが心房細動に伴う脳塞栓予防に対して、ワーファリンによる内科的治療法に比して、劣らないことが示されましたが、その一方で手技に伴う合併症が問題となりました

この論文で結果が示された PREVAIL試験では、非弁膜症性心房細動患者さんで、CHADS2 score >= 2あるいは、 CHADS2 score = 1でかつ、他の危険因子がある患者さん 269名に対して、Watchmanで治療が行われ、2:1の 138名に対しては標準的ワーファリン治療が行われ、その長期成績が検討されました

18ヶ月の心事故発生率は Watchman 0.064, Warfalin 0.063と同等であり、非劣性は証明されませんでした 心配された手技に伴う合併症は Watchman群の 2.2%で発生しましたが、これは PROTECT AF試験での合併症発生率よりも有意に低値でした 

結果的には、Watchmanによる左心耳(LAA; Left Atrial Appendage)閉鎖術は、ワーファリンと比べて何ら良い点を示せませんでした この結果であれば、誰から見ても痛い思いをするよりも、薬を飲んでいたほうが良いでしょう

ただ、Discussionでも論じられているように、この試験ではワーファリン群で異様に脳梗塞発症率が低値だったのです 例えば NOAC vs Warfalinで行われた大規模臨床試験である ARISTOTLE, ROCKEF AF, RE-LYでは何れもワーファリン群での脳梗塞発症率は 1.7人年であったのに、この試験ではたったの 0.7だったのです これは、ある意味きちんとワーファリンで抗凝固をコントロールすれば、Watchmanに劣らない脳梗塞予防効果が獲得できる、ということになりますよね
Long-Term Follow-Up of Elective Chronic Total Coronary Occlusion Angioplasty: Analysis From the U.K. Central Cardiac Audit Database. George S, et al. on behalf of the British Cardiovascular Intervention Society and the National Institute for Cardiovascular Outcomes Research. J Am Coll Cardiol 2014; 64: 235-43.

BCIS (the British Cardiovascular Intervention Society)では、Englandと Walesで実施されている全ての心臓血管インターベンションをデータベースに登録しています。このデータベースの中から、 2005/01月から 2009/12月に行われた慢性完全閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション症例について、調べたものです 死亡については、他の国家データベースとリンクして判定したそうです
結果としては、この期間に慢性完全閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンションは、13,443人の症例に対して、14,439PCI行われ、成功は 10,199PCIで得られました
術後 4年間の経過観察において、CTO-PCIに成功した場合、死亡率が不成功の場合に比して、有意に低下 (HR 0.72; 0.62-0.83; p<0.001)しました
しかしながら、CTO部位がLAD/LCX/RCAのどの枝の成功であっても、生存率に差は認められませんでした

このことより結論として「CTOに対するPCIに成功すれば、長期生存率が改善する 特に完全血行再建に成功すれば、その効果は大きい しかし、CTOがどの冠動脈枝にあっても、死亡率に差は認められなかった 要するに、CTOがどの枝にあったとしても、CTOのPCIに成功することが重要である」というものでした

しかし、これって従来より言われている左冠動脈前下行枝の病変が一番生命予後に影響する、という重大な事実に大きく矛盾しますよね どう考えてもおかしい結果です
Durability of Class I American College of Cardiology/American Heart Association Clinical Practice Guideline Recommendations. Newman MD, et al. JAMA 2014; 311: 2092-2100.

これは大変毛色の変わった医学論文です このような論文が JACCや Circulationという ACC/AHAの機関誌に掲載されずに、ACC/AHAとは独立したアメリカ内科学会機関誌である JAMAに掲載される、ということがまたその背景などにきっと何かあるのかな? と想像するだけで面白いですよね? そのようには思いませんか?
たとえば、アメリカ内科学会会員の誰かさんが、訴訟にまきこまれ、その時の重要な証拠として、ACC/AHA guidelineが提出され、結果的に訴訟に負けてしまった ところが、数年してその guidelineは完全に書き換えられ 正反対のものとなった こんな事態がたくさん起こっているのかな? ウフフ

この論文では 独立した 4名の reviewersが、 1998年から 2007年に出された ACC/AHA Guidelineと、 2006年から 2013年に出された ACC/AHA Guidelineを見比べて、その内容がどう変化したか? それを調べたのです 特に、最初に有効な治療法あるいは検査法と分類された Class Iのものについて調べたようです

結果的には 619の Class I項目の中で 495 (80.0%)が、続く Guidelineでもそのまま採用されていました しかし、57 (9.2%; 7.0 - 11.8%)のものは、評価が下げられるかあるいは、逆の評価になっていたのです さらに、 67 (10.8%; 8.4 - 13.3%)では何と削除されていたのです
そして、その内容を精査すると、複数の無作為化試験の結果を受けて出された Class I guidelineであれば、90.5%のものがそのまま継続されているが、一つの無作為化試験か観察研究の結果で出されたものでは81.0%で、そして声の大きい人が勧めた結果の Class I guidelineでは 73.7%しか Class Iが継続されていなかったそうです そして、別の言い方すれば、複数の無作為試験結果に基いて発効されなかった Class Iであれば、Odds Ratio > 3.0以上の掛率でその後 無効化あるいは、根拠薄となるということです

結果として Class Iのガイドラインであっても、Evidence Level Iaあるいは Evidence Level Aでないと将来ちゃぶ台返しをされる可能性がある、ということですね
お久しぶりです 色々とバタバタしたり、精神的ショックなどのため、そして Qt programmingにハマり込んでいたり、安倍首相御一行様と同時にしかし、別にメキシコに入り、メキシコ政府保健省からこれまでの貢献に対する感謝状を贈呈されたり、保健省局長と今後の政府間プロジェクトの詳細について話しあったり 要するにそんなこんなでサボっていました これから頑張ってまた uploadします!! 約束し 宣言します という訳で まずは今朝の抄読会から

Drug-Coated Balloons vs. Drug-Eluting Stents for Treatment of Long Femoropopliteal Lesions. Zeller T, et al. J Endovasc There 2014; 21: 359-368.

さて、この論文は僕も慢性完全閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション指導で訪問したことがある、ドイツの Bad Krozingen心臓病センターと、がもう一つのドイツの病院の二施設で行われた後ろ向き研究です そのテーマは 大腿膝窩動脈の長い病変に対する、DEB (Paclitaxel)と DES (Zilver-PTX Paclitaxel)との成績比較です
さて、ここでタイトルに Femoropoplitealつまり大腿膝窩動脈とあることが問題なのです はっきり言って最初から Superficial Femoral Arteryとかに限定すれば良かったのです 何故ならば膝窩動脈に対してステントを植えこむことは特に、Zilver-PTXの場合には完全な適応外であり、そもそも DEBと比較対象とはならないからなのです それをこの論文ではその適応外のものを含めているのです ここに何らかの意図を感じます 要するに、最初の組み立て段階から DEB有利な世界なのです まあ、しかし、この論文では統計学的な「理論付け」を行っています それが、なかなか一般の我々が理解できない Propensity Score Stratification (傾向配点層別化)分析という 耳慣れない手法を用いているのですよ あーー 難しいですねーーー 如何にも「「科学的」」ですねーー
論文を見ると、色々な病変因子とか、患者背景とか、それらから Propensity Scoreを計算し、それを用いて DES群にマッチしない DEB群を除外して、いやいやあるいは DEB群にマッチしない DES群を除外したのかな? これをどちらの立場を採用するかで、結果が逆転しそうですね クックックッ
結果は、治療後一年間の MACEとか TLRとかでは、両群で差は無かったければ、どちらかと言えば、 DEB + bail-out BMS stentingが一番良かった傾向がある、というものでした この結果を受けて
「10CMを超える長さの大腿膝窩動脈病変に対しては、DEBも DESも従来の EVTの成績よりも良い結果をもたらすことが出来ることが分かった これを受ければ、現実の医療の中では、 TASC C (>15CM)および TASC D (>20CM)の病変に対する今後のEVTとしては DEB + Provisional BMS stentingがもっとも良いでしょう」というものでした

はい分かりました 素晴らしい ただねえ、最後の Acknowlegementの中に書いてあるように、この複雑な統計解析を行ったのは、DEBを世に出している M社の統計チームなのです これって、あの ◯◯◯バン の N社絡みの事件と同じ構図のように思いますが・・・
欧米では許されても日本では許されないのですね まあ内緒にしていたからでしょうか? 日本は寛容な国と思いきや 世界で一番厳しい国かもですね
という批判めいたことは止めにしましょう まあ、普通に考えれば現在のテクノロジーから考えてどう見たって 20CM以上のステント植え込みが良い結果をもたらすとは考えられないですよね そんな万能金属なんて未だ人類は作り出せていない筈です
Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials Comparing Short-Term Versus Long-Term Dual Antiplatelet Therapy Following Drug-Eluting Stents. El-Hayek G, et al. Am J Cardiol 2014; 114: 236-242.

冠動脈に対して薬剤溶出性ステント植え込みは標準的な治療として定着しています しかし、薬剤溶出性ステント(DES)を用いることにより 2006年以降、新たな「晩期ステント血栓症」という問題が浮上してきました これを受け、ACC/AHAあるいは ESCなどのガイドラインでは薬剤溶出性ステント植え込み後は 12ヶ月の二重抗血小板療法(DAPT)が推奨されています
しかしながら、二重抗血小板療法を不用意に続けると主要に出血性合併症(脳出血、消化管出血、輸血などなど)が増加することも明らかです 特に脳出血は重大な問題を引き起こします
これに対して、二重抗血小板療法を短くする試みが何度も行われてきておりますが、この論文では、これら発表された論文から主要なものを4つ選んで、Short DAPT(平均4ヶ月)と、Long DAPT(平均13ヶ月)について成績が比較されました
結論的には、Short DAPTは Long DAPTと比較して、主要心事故発生率に差は無かったが、主要出血性合併症発生頻度が低かった、というものです この結果は、不用意に二重抗血小板療法を続けることに対する警鐘ではありますが、何しろ 対象となっている母集団が大体は simple lesionなので成り立つ話だと思います
やはり症例に応じた tailored DAPTが必要なのかも知れませんね
まあ、現在 一ヶ月二重抗血小板療法を用いた臨床試験が走り、我々も参加しているので、その結果を待ちたいと思います
Direct TAVI using a balloon-expandable system: a novel technique to eliminate pre-deployment balloon aortic valvuloplasty. Davies WR, et al. EuroIntervention 2014; 10: 248-252.

これは実際にTAVIを術者として行っていないと分からない話だと思いますが、ある意味重要な話題の一つです 現在日本でも保険償還が認められている唯一のTAVIディバイスである SAPIENについての話なのです

SAPIENを大動脈弁に植え込むためには、何しろディバイスが大動脈弁を通過せねばなりません たのめにも、バルーンによる前拡張を行います ところが、バルーンを用いた前拡張の後、希にひどい大動脈弁閉鎖不全が起こり、ものすごく急いでTAVIディバイスを植えこまないと、あっという間に肺水腫となったり心原性ショックに陥ることがあります また、前拡張の時に、硬くなった弁の一部が剥がれて飛んでしまい脳梗塞を起こすかも知れません

このため、以前より特にヨーロッパでは前拡張無しで、直接 SAPIENを植えこむ手技が行われてもきました しかし、現実問題として、大動脈弁狭窄症で非常に狭小化した大動脈弁口を大きなディバイスを通過させることは困難であり、時には通過できずに前拡張を行う、そんな場合もあるようです

そこで、この筆者達は、今まに通過せんとしているが、ステント部分が硬くなった弁にひっかかり通過できない時に、2ml程度を拡張バルーンに注入し、先端部のみを拡張すれば、うまく通過するんだよ、それにより前拡張無しに植えこむことが全例で可能となるんだよ そのように主張しています

もちろん それはそうでしょう ただ、術者としての懸念が二点あります
  1. もしも、2mlで拡張したバルーン先端が硬くなって場合によっては尖っている石灰化に直接触れてバーストしたり、pin holeが開けば、その後のステント留置ができず、結果的にステントのmigrationがおこる可能性がある
  2. 通過させる時に、勢い余ってステント部分も全体が左心室内に落ち込めば、戻す時にステントが広がっていない石灰化弁にひっかかり左室内に脱落する可能性がある
そのように思います また、筆者らはCTで十分にそれは予測できる、と主張しているのですが、我々が前拡張を行う目的の主要部分は
  1. これから植え込もうとするステントのサイズの確認
  2. 植え込んだ時に冠動脈閉塞の危険が無いか そのチェック
という重大な使命があるからです

従って僕はこの方法をやるつもりはありません これまで通りにしっかりと前拡張してからSAPIENを植え込みます
Atrial Fibrillation in Patients with Cryptogenic Stroke. Gladstone DJ, et al. N Engl J Med 2014; 370: 2467-77.

虚血性脳梗塞には何らかの原因があります その中で主要なものは、アテローム性脳梗塞、ラクナ脳梗塞と、心原性脳梗塞です アテローム性脳梗塞とは、内頚動脈などが動脈硬化で細くなり、あるいは閉塞するために起こってくるものですが、ラクナ脳梗塞は、もっと細い脳動脈の動脈硬化で起こります 一方心原性脳梗塞は、心臓に由来する血栓が脳の動脈につまって起こるものです
さて、実際の虚血性脳梗塞の患者さんで原因を精査すると、6名の中の1名は明らかに心房細動による脳塞栓でありますが、4名の中の1名は原因不明 (= Cryptogenic Stroke)なのだそうです
問題は心房細動による脳梗塞であれば、その後の抗凝固療法が二次予防には有効であるので、抗凝固療法を行う必要がある、というところなのです

それでは、この原因不明の脳梗塞の中に、実は心房細動か隠れていて、なかなか見つけられていないのでは? というのがこの研究の仮説です

この研究では、特殊な器具を内蔵したベルトを胸に巻いてもらい、何らかの心電図上R-R間隔変動が起これば、その後の2.5分を自動的に記録する装置を患者さんに装着し、30日間観察したものと、通常の24時間ホルターしか行わない患者さんを比較して、隠れた心房細動が発見される可能性が上昇するか否かを調べました

結論だけ記しますと、55歳以上の、既に原因不明の (Cryptogenic)脳卒中あるいは一過性脳虚血性発作を起こした患者さんでは、発作性心房細動が多く認められ、そのような患者さんに対して、30日間モニターを行えば、24時間ホルター心電図で検索するよりも二倍の頻度で発作性心房細動を発見でき、結果的に5から6名に一人の潜在性発作性心房細動患者さんを発見できる、というものでした

でも、そんなややこしいことしないでも、原因不明の脳卒中であり、しかも抗凝固療法に禁忌でなければ、抗凝固療法を開始すればいいのに・・・ とはいかないのでしょうかね
Overdrive Pacing From Downstream Sites on Multielectrode Catheters to Rapidly Detect Fusion and to Diagnose Macrorentrant Atrial Arrhythmias. Barbhaiya CR, et al. Circulation 2014; 129: 2503-2510.

この論文は心房性頻脈発作、心房細動や心房粗動に対するカテーテル・アブレーションの話です これらの不整脈には、その発生機序から二通りに分類されます
  1. Macroreentry tachycardia: 心房内で大きな回路が形成され、そこを電気信号が回ることによって心房細動が起こされる
  2. Focal tachycardia: 心房内の局所から発生する心房細動
この鑑別がカテーテル・アブレーションの時には重要であり、もしも1.であれば、その回路が何処にあるのかを調べねばなりません 多くは、三尖弁周囲 (Crista Terminalis)あるいは、僧帽弁周囲なので、これは治療する上では、Brockenbrough左房穿刺を行うか否か、という戦略の違いとなります

この見分ける方法として、Entrainment Mappingという手法が開発されており、この論文はこの手法の有効性を確認したものです 何で頻脈発作を誘発して、その最中に敢えてpacingを放り込むと、マクロ回路に近い部分で pacingすると、その刺激が吸い込まれるように(Entrainment)頻脈発作心電図に隠蔽されていくが、離れた部分からの刺激であると、ペーシング波形が分離する、ということらしいです

はい これ以上の解説は僕には出来ません 終わり!
Function of Natural Internal Mammary-to-Coronary Artery Bypasses and Its Effect on Myocardial Ischemia. Stoller M, et al. Circulation 2014; 129: 2645-2652.

狭心症治療の歴史を紐解けば、何と 1939年に Fieschiという人が、内胸動脈を結紮することにより、内胸動脈から冠動脈への副血行が増加し、狭心症が改善することを提唱し、実際に 1950年代終わりには 500例以上の有症候性狭心症患者さんに対して、その治療が行われ、さらに 1954年には Battezzatiという人が、メチレンブルーを注入することにより、両側内胸動脈と心筋がつながっていることを証明したのです
これらを受けて 1959年には Battezzati達は、比較試験ではないが、 304例の患者さんに対して、内胸動脈結紮を行い、大多数において症状の改善を来したことを報告しました。
その後も同様の結果報告が続き、70%程度の症例で有効であることが報告されました。その後、最初の比較試験である、SHAM vs LIMTA結紮が 35例に対して行われ、どちらでも 70%近くの有効率がある、と報告され 急速にこの治療法は行われなくなりました。また、1950年代と言えば、冠動脈バイパス手術も開始されたので、そちらに流れたのでしょう。

という歴史的背景の下で、この論文では何と 120名の患者さんに対して、両側内胸動脈をバルーンで閉塞し、それにより 左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝そして右冠動脈の副血行血流指標 (Collateral Flow Index: CFI)と、冠動脈内心電図を測定することにより、「同側の内胸動脈を閉塞すれば、左冠動脈前下行枝あるいは右冠動脈への冠血流が改善する」ということを証明したのです。

実際問題だから何? というもので少なくともこれらの侵襲的検査を受けた患者さんに対しては直接的にも間接的にも何の利益は無く、一体全体スイス国内で、彼らがどのようにして倫理委員会を説得したのか? むしろその方法論を論文として明らかにして欲しいものです。
Impact of Increased Orifice Size and Decreased Flow Velocity of Left Atrial Appendage on Stroke in Nonvalvular Atrial Fibrillation. Lee JM, et al. Am J Cardiol 2014; 11: 963-969.

心房細動患者さんは心原性塞栓症による脳梗塞に陥る危険があります この危険性は、合併する要因により増加することが知られていて、その危険性を段階づける簡便な方法として、 CHADS2 score (うっ血性心不全、高血圧、年齢 75歳超、糖尿病があれば、1点ずつ加点、過去に脳卒中や一過性脳虚血性発作があれば、2点加点する)とか、CHA2DS2-VASc score (うっ血性心不全、高血圧症、年齢 75歳超x2、糖尿病、過去の脳卒中x2、末梢血管障害、年齢 65歳超、女性を加点)とかが提唱されています

この論文では、これらのスコアに加え、左心耳入口部の大きさや、左心耳内の流速により脳卒中発生頻度が増加するのでは? という仮説を検証するために、脳卒中を起こした 67例と、脳卒中を起こしていない 151名をCTと経食道心エコーで調べ解析しました

結論は、左心耳内血流速度が遅い症例や、左心耳入口部が大きい症例で有意に脳卒中発生頻度が多かった、というものです

しかしながら、結果的には脳卒中が起こる/起こらない を決定論的に予測できるものではありませんので、臨床的にどの程度の意味があるかは疑問です
Endocardial or epicardial ventricular tachycardia in nonischemic cardiomyopathy? The role of 12-leads ECG criteria in clinical practice. Sebastiaan RDP, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 1031-1039.

この論文は、非虚血性心筋症に伴う心室性頻拍症患者さんの 36名を解析したオランダ・ライデン大学からのレポートです

心室性頻拍症に対してカテーテル・アブレーションを行う時に、何でもカテーテル・アブレーションをやられる術者にとって、その戦略の決定(冠静脈洞にもカテーテル・アブレーション・カテーテルを挿入するか否か)や、最終的成功率の向上に、心外膜側から心室性頻拍症が発生しているのか? あるいは心内膜側から心室性頻拍症が発生しているのか? そのことが非常に重要なのだそうです じっ、実に僕はそのことを今日の今朝まで知らなかった!!

そして、その判定に従来より、標準12誘導心電図を詳しく見ることにより役立つ、ということが言われているそうです もちろん、僕はそんなこと知りませんでした

この論文では実際にカテーテル・アブレーションの時に解析して、結論として
「臨床的に確認された心室性頻拍症患者さんにおいて、どんな標準12誘導心電図による基準でも、心室性頻拍症起原が心外膜側か、心内膜側かを判別することはできない」と、宣言しています
実際に論文の中に示されているデータではだいたい 80%近くの確率で判別されているのですがね 何とも控えめな結論ですこと

また重要なのはアミオダロン内服していないと心室性頻拍症のサイクルが短く 判別はより困難だ、ということでした

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