BVS (完全生体吸収性薬剤溶出性ステント)の最近のブログ記事

Everolimus-eluting bioresorbable vascular scaffolds for treatment of patients presenting with ST-segment elevation myocardial infarction: BVS STEMI first study. Diletti R, et al. European Heart Journal 2014; 35: 888-768.

世間の期待を集めた BVS (Bioregradable Vascular Scaffolding: 世界で最初の実用化された完全生体吸収性薬剤溶出性ステント)ですが、最近は 「何だ、二年経っても消えてないじゃないか」とか、「ステント内再狭窄だっておこるじゃないか」とか、「最初の炎症反応が強くて、金属製薬剤溶出性ステントよりもステント血栓症の危険が高いのではないのか」とか、医学的にも色々な問題点が見つかってきたし、営業的にも必ずしもうまくいっていないようですね

この論文は Patrick W. Serruys大先生引退の後、世界的影響力を保つためにBVSにより素晴らしい業績を維持しようとしている(と、僕が勝手に思っているのですが・・・)、オランダ・ロッテルダムの Erasumus大学 THORAXCENTERからの論文です

思い出しますねえー このErasmus大学というのは、ルネッサンスの頃既にヨーロッパの知の殿堂であり、世界の知性の根源に位置してきたヨーロッパでも有数の大学ですが、その心臓センターである THORAXCENTERというのは、これまた経皮的冠動脈インターベンションの分野において、世界をリードしてきた臨床研究施設です 僕はここのカテ室を三回訪問したことがあります

最初は、確かレーザーの見学だったと思います その頃は、Hamburger先生が実質上のカテ室の中心でやっておられました 現在はアメリカに移住されていますね この時は純粋に見学だけであり、ひたすら「すごいなー」という印象でした
二回目は、2004年の EuroPCRでのライブデモンストレーション術者として招聘された時です この時は右冠動脈の慢性完全閉塞でしたが、比較的すんなりと順行性に開けました もちろん放映した会場はパリであり、その時の聴衆も1,000名の医師ではきかなかったと思います
三回目は、それから4年後の 2008年でした やはり EuroPCRのライブデモンストレーション術者として招聘されました、この時のテーマは、慢性完全閉塞に対する Converntional WIre Technique vs New Modalityとかいうものであり、その Serruys大先生と僕が別の慢性完全閉塞症例に対して ヨーイドンで開始して、どちらがうまくいくか? という対決だったのです Serruys大先生は うーん今は誰も使っていないのではないでしょうか? ナビゲーション・システムも用いて、左冠動脈前下行枝中部の短いいかにも通りそうな慢性完全閉塞病変、僕は蛇行した右冠動脈の起始部からの慢性完全閉塞で、閉塞長は長く、またステント内再狭窄による閉塞も伴う超難関の慢性完全閉塞でした しかし、結局、僕は逆行性アプローチで通過させ、綺麗に仕上げ、対する Serruys大先生は最後まで不成功で終了し、彼の意図する結果と逆の結果となったのでした これを見ていた1,000名以上の大聴衆は皆大喜びであり、その歓喜の様子が、中継ラインを通して僕にも伝わってきました いやあ気持ち良かったですねえー 国旗を背負っての戦いだったのですよ 本番に強い僕ならではでした

そんな施設からの発表であり、BVS植え込みに関しては世界で一番の経験数を誇る施設です 日本からも定期的に留学生が勉強に行っていますね さて、49例の STEMIに対して、BVSを用いて再灌流を行った結果を術後30日の経過で評価しています さらに OCTによる評価を行っています

30日の時点で、TLR = 0%,であり、心臓死や、ステント内血栓症は無かった、という報告です そして、BVSはストラットが厚いので、そこに血栓が捕獲されたりして有利だ、とかステントと血管壁の間に塞栓物質が保持されるので slow flowが起こりにくいのだ とか推論しています 実際には、術後の TIMI IIIは 91.7%でしか得られていませんので、これはおかしいですね

結論としては、STEMIに対しても BVS使用の可能性がある、というものでした まあ今は何でもあり、の時期なのでしょうね 僕の意見をここで述べるのは色々と差し障りのある時期なので控えましょう。

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