ペースメーカーの最近のブログ記事

Biventricular Pacing for Atrioventricular Block and Systolic Dysfunction. Curtis AB, et al. N Engl J Med 2013; 368: 1585-93.

房室ブロックによる徐脈に対しては、問題なくペースメーカーを植えこむのが標準的治療でしょう 通常は、この状況に対して一番多いのは心房・心室ペーシング (DDDなど)であり、昔むかし 心室ペーシング (VVI)のみで対応していた頃よりも随分とよくなった気がしていました

しかし、この論文では、それを一歩進め、両室ペーシングを行うとこにより、もっと良くなるだろう、という発想なのです これって、CRT (心臓同期療法)では当たり前なのに、何で今さら、とこの論文を読んだ時には思ったのですが、よくよく考えれば、単なる房室ブロックであり、QRS幅延長など無いものなのです そのような症例に対しても、結果的には、左心機能維持のために、両室ペーシングが有効である、というのはある意味新鮮な驚きでしたよ
Medium-Term Effects of Septal and Apical Pacing in Pacemaker-Dependent Patients: A Double-Blind Prospective Randomized Study. Molina L, et al. PACE 2013; 37: 207-214.

僕なんてものすごく早い手技で昔はペースメーカー植えていたんだ そのスピードは一人術者で、縦に VVIであれば、3例、DDDであれば、2例の植え込みをしていたこともあるのです 「縦」とは何を意味するか? と言えば、心カテテーブル一つで患者さんを入れ替えて、という意味ですよ
如何に早かったか分かるでしょ? しかも一人術者ですよ
とは言うものの、最後の植え込みしてから既に 15年間が経過しています 何時の間にか心室pacingはきちんと心室中隔高位に pacing leadを植えこまねば罪のように言われるようになってきました もちろんこれは正常の房室電導を simulateするためで、非常に reasonableです しかし、理論と現実が異なる というのが大人の世界 実際には本当に中隔pacingが良いのか否かについては はっきりとした証拠が無かったのが現実です

それは何故かと言えば一つには、「心室中隔pacing」と言っても術者がそのつもりであったとしても、もちろん透視での位置決めですが、それにはvariationがあり、しばしば中隔ではなく心尖部や右室 free wall pacingとなるらしいのです
この論文では中隔pacingをRAO/LAO viewsで行い、確実に中隔に位置させる群と、心尖部pacingの群を比較しました 対象は房室ブロックに対して初めてペースメーカーを植えこむ患者さん 142例でした この中の 71例では 98%以上の頻度で pacingが行われましたが、その他の71例ではpacingに対する依存度が低かったので除外されました 前者の71例の内、34例が apical pacing、37例が septal pacingであり、この方たちの左心機能の推移が心エコーで追跡されました

結果ですが、6ヶ月後の心機能が 6分間歩行と、心エコー所見で判定されています 有意な差が出たのは、6分間歩行距離と、左室駆出率(LVEF)であり、圧倒的に中隔pacingにおいて心機能改善効果が認められました もちろんこの判定は、患者さんに対しても、判定者に対しても無作為化して行われたのです さらに一年間まで追跡すると、中隔pacing群ではさらにLVEFが改善しましたが、心尖部pacing群では1年後に LVEFが悪化していました

このことから、ペースメーカー依存患者さんに対しては、可能な限り中隔pacingを行うべきだ、と結論しています

まあ、その通りでしょう 頑張って中隔pacingしましょうね 僕はもうしませんが・・・・
Permanent Leadless Cardiac Pacing: Results of the LEADLESS Trial. Reddy VY, et al. Circulation 2014; 129: 1466-1471.

さてさてこのようなうーん何というか、奇異なものが Circulationに掲載される、というのがまずは驚きです これは、LCP (Leadless Cardiac Pacemaker; Nanostim Inc, Sunnyvale CA)という右心心内膜側心筋に直接 screw inして、本体が右室から右心房にかけて置かれる VVI pacing deviceです

このペースメーカーを 33例に植え込んでその 90日までの成績を出したものです

まあ、それなりの成功率ですが、わざわざこんなことせねばならないのか? そのように思います もちろんペースメーカーの事故で一番多いのは電極リードの欠陥に由来するものであり、電極リードを完全に排除したこのシステムではそのような事故は起こるべくもありません しかし、別の事故が起こりえると思います

まあ論文として掲載されたのだからそれで良いのかも知れません

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