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本日は 「Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus. Benjamin M, et al. N Engl J Med 2013; 369: 1317-26. 」という重要な論文です
DPP-4阻害薬は、これまでの血糖降下剤と異なり、マイルドに自然な形で糖尿病患者さんの血糖コントロールを可能とする「夢の血糖降下剤」として華々しくデビューしました。現在日本国内でも3種類ほどの薬剤が臨床現場で使用されてます。その中で、日本でも使用されている Saxagliptinを用いて、本当に DPP-4阻害薬による血糖コントロールが糖尿病の重大合併症の一つである心血管イベント発症を抑制できるか否かを検証した大規模臨床試験の結果です。
対象は、心血管イベント発症のリスクがあると、考えられた Type-2糖尿病患者さん16,492人であり、世界26カ国の788施設で行われました。心血管イベントとは、「心血管死」「心筋梗塞」「虚血性脳卒中」のことであり、「心血管イベント発症のリスクがある」という定義は、Type-2糖尿病、HbA1c >6.5%から12.0%、心血管病既往、血管病発症の複数のリスクがある患者さんの中で、年齢40歳以上で、かつ動脈硬化に関連した臨床症状が、冠動脈、脳血管あるいは末梢血管に認められるものなどでした。これらの、患者さんに対して、DPP-4阻害薬以外の糖尿病治療は、担当医の自由裁量に任される中で、Saxagilptinと偽薬が 1:1 に無作為化されて投与され、2年間経過観察されました。
その結果、驚くべきことに、DPP-4投与群と、偽薬投与群の間では、二年間の心血管イベント発症率に差認められませんでしたが、心不全の発症が DPP-4投与群で多く認められた、との結果となりました。
もちろん、DPP-4の真の効果判定のためには、2年間では短く、少なくとも10年間が必要である、とか、血糖コントロールの仕方が甘かった、とかの批判も出せますが、少なくとも糖尿病のコントロールに関しては、血糖値だけを見ていては臨床的意義が少なく、それ以外の全身的管理が必要であることを示唆する重大な論文でした。
なお、日本で一番最初にリリースされ、また日本国内で一番使われていると考えられる DPP-4製剤である、に関しては、同様の試験が「Trial Evaluating Cardiovascular Outcomes with Sitagliptin」として進行中のようです。

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