カテーテル・アブレーションの最近のブログ記事

Long-term follow-up after atrial fibrillation ablation in patients with impaired left ventricular systolic function: The importance of rhythm and rate control. Nedios S, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 344-351.

慢性心房細動の時に左室駆出率が低下し、潜在的あるいは顕在性の心不全となっている患者さんを見ます あるいは、基礎疾患として拡張型心筋症などがあり、その結果心房細動となっている場合もあります これらの病態に対して、カテーテル・アブレーションを行い、洞調律に復帰し、さらにそれを長期間維持すれば心機能が改善するか否かに関しては、これまで両方の結果が示されてきたようです

この論文では、難治性有症候性心房細動に対しての初回カテーテル・アブレーションとして、2006 - 2010年の5年間に 2,065例に対して初回カテーテル・アブレーションを行っているドイツの施設からの報告です この症例の中で、駆出率 < 40%かつ NYHA class II以上の症例 74例 (4%)を抽出し、その中で長期経過観察のできた 69例についの報告です

結果としては、洞調律を維持できた群では、6ヶ月後の時点で多少左室駆出率が改善し、さらに 12ヶ月後、24ヶ月後にかけて有意に左室駆出率は改善し続けるが、洞調律を維持できなかった症例です、長期にわたり駆出率が低下してくる というものでした そして、これに伴って洞調律維持群ではNYHA class も改善を示しました

これらの結果から、著者達は、心房細動に対してカテーテル・アブレーションを行い洞調律となれば、初期六ヶ月では、まず心拍数コントロールにより左心機能が若干改善し、それ以降 2年間までは、洞調律となったことにより、心房収縮による効果、心房と心室収縮の同期効果、規則正しい調律の結果、十分な左室血液流入と拡張期の適度な前負荷が得れることによる効果により、更に左室駆出率が改善する、と考察しています

そして、これまで改善するかしないか議論が分かれていた原因は、この中期と長期の二段階に渡って効果が現れるにもかかわらず、十分な長期経過観察がされていなかったからである、と主張しています

ただ~ ~ 左室駆出率の改善といっても、EFにして20%程度改善するものの、NYHA class としては、平均 2.4が2.0になるくらいでした もっと改善するのかと思っていたのですが・・・
Driver Domains in Persistent Atrial Fibrillation. Haissaguerre M, et al. Circulation 2014; 130: 530-538.

持続性心房細動は、そのメカニズムとして、Driver (駆動源)となる電流の流れあるいは、バーストがあると考えられています この論文では、最新の Wavelet理論を駆使して、多チャンネルにより収集した体外表面心電図を解析し、そこから多分複雑な信号処理プログラム・アルゴリズムを介して演算し、Driverを検出する その方法論の正しさを示した論文です

正直 理解不能!
Long-Term Outcome of Catheter Ablation in Atrial Fibrillation Patients with Coexistent Metabolic Syndrome and Obstructive Sleep Apnea: Impact of Repeat Procedures vests Lifestyle Changes. Mohanty S, et al. J Cardiovasc Electrophysiol 2014; **:***-*** (dii: 10.1111/jce.12468)

この研究は 1,257例の心房細動患者さんを対象とした研究です 患者さんを Matablic Syndrome (MS) + Obstructive Sleep Apnea (OSA)を有する患者さん 126名と、MS or OSAがあるか、あるいはその両者が無い患者さん 1,131名に分けて検討されました

両群に対してカテーテル・アブレーションを行いましたが、MS+OSA群では再発率 52%であったのに対して、それ以外の群では再発率は 34%と低く、更に再発した人に対して、250名に対して再カテーテル・アブレーションが行われ、抗不整脈薬 (AAD; Anti-Arrhythmic Drug)非投与での再再発率は 76%であり、これに対して、再カテーテル・アブレーションをせずに、生活指導と、CPAPを行った群での再再発率は 74%でした

つまり、ある意味生活指導などでも発作性心房細動再々発に対して有効であるとも言えますが、逆に言えば、そんな厳しいストイックなことせずとも、カテーテル・アブレーションすればいいじゃん という考え方も成り立つので、こうなると皆の哲学と言えば大げさですが、考え方次第ですね
Pulmonary vien isolation: The impact of pulmonary venous anatomy on long-term outcome of catheter ablation for paroxysmal atrial fibrillation. McLellan AJA, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 549-556.

心房細動 (この論文が対象としているのは発作性心房細動のみ)に対するカテーテル・アブレーションの大道である肺静脈隔離術 (PVI: Pulmonary Vein Isolation)は、広く行われています そのほとんどは、高周波電極カテーテルを用いて、スポット焼灼の連続で隔離する、というものですが、最近は、バルーンを用いて一挙に隔離する方法も行われてきました
さて、PVには相当な頻度で解剖学的バリエーションがあるのだそうです (そんなこと知りませんでしたよ)
この論文では、この解剖学的偏位とカテーテル・アブレーション成功率に関連があるのでは? という仮説の下に 102名の発作性心房細動に対するカテーテル・アブレーション患者で調べたものです

PVの解剖学的なことですが、通常は左右上下と合計 4本ですが、しばしば左肺静脈上下が一本 (共通管)に出ているタイプがあるそうです(37%)、また右肺静脈が共通管の場合は 2%であったそうです

さて、左肺静脈がきちんと上下に分離している場合には、その間が稜となっていますが、この部分を intervenous ridge (IVR)と名づけています

結果としては、共通管があったほうが、無い方よりもカテーテル・アブレーションの成功率(再発しない)が高かったそうです また、IVRがある症例では、その部分も焼灼した方が成功率が高かったそうです

さて、論文中には、2つの Kaplan-Meyer曲線が描かれているのですが、その何れも術後 3 - 10ヶ月でフラットになっており、要するに打ち切りが行われているのです これって要するに観察がきちんと行われていないので、小数例に引っ張られているということではないのでしょうか? きちんと全例で観察が行われれば、案外差は無いのかも知れません 要するに本研究の対象症例が発作性心房細動なので、きちんとした観察ができないのではないでしょうか これが慢性心房細動であれば、心電図を一発とればかなりの確度で観察が行われたことになるように思いますが・・・
Comparison of lesion formation between contact force-guided and non-guided circumferential pulmonary vein isolation: A prospective, randomized study. Kimura M, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 984-991.


心房細動に対するカテーテル・アブレーションの話です もちろん PVI (Pulmonary Vein Isolation: 肺静脈隔離術)の時の話です 実際にカテーテル・アブレーションの高周波カテーテルが対象となる左房壁にきちんとコンタクトしているか否か、常識的に考えてそれがカテーテル・アブレーションの結果を作用するだろう、ということは分かります そして、そのためには ここからは無知な私の想像ですが、通電時の impedanceを測定すれば、きちんと接地しているか否かは分かるのではないでしょうか? インピーダンスとは交流電流の時の抵抗値なので、それが高い、ということは電流が良く流れていない、ということになりますので、その一番の原因は接地不十分と思われるからです

しかし、この論文では、既に市販されているらしいのですが、接地圧力を測定できるカテーテルを用いて、それが有用であるか否かが検証されました

その結果、このカテーテルを用いることによって、カテーテル・アブレーションの時間が短縮され、追加カテーテル・アブレーション回数も減少し、長期予後も改善した、と結論しています さらに、初めにこのカテーテルを用いてカテーテル・アブレーションのトレーニングをすれば、その後は、通常のカテーテル・アブレーションカテーテルを用いても同様の成績が得られる、とも述べています

確かに、左心房へのカテーテル接地圧力が重要であると思います あまり強く押し付ければ合併症起こすでしょうし、押し付けが足りなければ通電不十分に終わるでしょうし でも、そんなのカテーテルから返ってくる感触や impedanceで分からないものでしょうかね 何しろ僕はカテーテル・アブレーションしたこと無いのでコメントできません
Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients Undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation With Different Anticoagulation Management: Results from COMPARE Randomized Trial. Biase LD, et al. Circulation 2014; 129: 2638-2644.

心房細動に対するカテーテル・アブレーションは既に標準的治療法の一つとなっており、日本では健康保険診療下で日常的に行われています 心房細動患者さんに対しては CHADS2 scoreにもよりますが、ワーファリンないしNOACによる抗凝固療法が脳梗塞予防のために行われていますが、カテーテル・アブレーション手技中にはヘパリンが用いられますので、その時には経口抗凝固薬から一時的に切り替えねばなりません ところが、この時に、梗塞や場合によっては出血といった合併症が起こるのです

そこで、経口薬としてワーファリンか NOACかというのが議論になっていました ワーファリンの利点は Vitamin K投与により reverseが簡単に行えるのと、抗凝固能を簡単にモニターできる点でしょうか さて、この論旨に則ってワーファリンによる抗凝固療法をカテーテル・アブレーション前に行っていた場合、手技に移行する時に、ワーファリンを止めるのか、止めないで継続して手技に移るのか? それが現実的に問題となります この論文ではここに焦点を当てて臨床試験が組み立てられました

この論文では 1,584名のCHADS2 score >= 1の患者さんを、ワーファリン継続群と ワーファリン一次停止群に 1:1で無作為化して open-labelで行われました もちろん blindは不可能ですねよ だって INRとか測定せねばならないので服薬しているかいないかは自明ですから・・

結果は驚くべきであり、ワーファリン継続群では、2例 (0.25%)でしか脳梗塞が発症しなかったにもかかわらず、ワーファリン一次停止群では、39例 (5.0%)で何らかの脳梗塞が発症したのです これはももちろん掛率(OR) = 13 (3.1 - 55.6; p<0.001)という賭けにもならない程の確かさで、ワーファリン継続群の勝ちとなりました

というわけで現在のところ、多くの医師が、ワーファリンが効いた状態で、カテーテル・アブレーションなどの侵襲的手技を行うのをためらうにもかかわらず (言っておきますが、僕はためらいません だって Radialistだもん)、カテーテル・アブレーションに際してワーファリンを停止することは勧められませんね 

なお筆者達は、この結果は他の NOACに外挿することはできない、と言っています
Overdrive Pacing From Downstream Sites on Multielectrode Catheters to Rapidly Detect Fusion and to Diagnose Macrorentrant Atrial Arrhythmias. Barbhaiya CR, et al. Circulation 2014; 129: 2503-2510.

この論文は心房性頻脈発作、心房細動や心房粗動に対するカテーテル・アブレーションの話です これらの不整脈には、その発生機序から二通りに分類されます
  1. Macroreentry tachycardia: 心房内で大きな回路が形成され、そこを電気信号が回ることによって心房細動が起こされる
  2. Focal tachycardia: 心房内の局所から発生する心房細動
この鑑別がカテーテル・アブレーションの時には重要であり、もしも1.であれば、その回路が何処にあるのかを調べねばなりません 多くは、三尖弁周囲 (Crista Terminalis)あるいは、僧帽弁周囲なので、これは治療する上では、Brockenbrough左房穿刺を行うか否か、という戦略の違いとなります

この見分ける方法として、Entrainment Mappingという手法が開発されており、この論文はこの手法の有効性を確認したものです 何で頻脈発作を誘発して、その最中に敢えてpacingを放り込むと、マクロ回路に近い部分で pacingすると、その刺激が吸い込まれるように(Entrainment)頻脈発作心電図に隠蔽されていくが、離れた部分からの刺激であると、ペーシング波形が分離する、ということらしいです

はい これ以上の解説は僕には出来ません 終わり!
Endocardial or epicardial ventricular tachycardia in nonischemic cardiomyopathy? The role of 12-leads ECG criteria in clinical practice. Sebastiaan RDP, et al. Heart Rhythm 2014; 11: 1031-1039.

この論文は、非虚血性心筋症に伴う心室性頻拍症患者さんの 36名を解析したオランダ・ライデン大学からのレポートです

心室性頻拍症に対してカテーテル・アブレーションを行う時に、何でもカテーテル・アブレーションをやられる術者にとって、その戦略の決定(冠静脈洞にもカテーテル・アブレーション・カテーテルを挿入するか否か)や、最終的成功率の向上に、心外膜側から心室性頻拍症が発生しているのか? あるいは心内膜側から心室性頻拍症が発生しているのか? そのことが非常に重要なのだそうです じっ、実に僕はそのことを今日の今朝まで知らなかった!!

そして、その判定に従来より、標準12誘導心電図を詳しく見ることにより役立つ、ということが言われているそうです もちろん、僕はそんなこと知りませんでした

この論文では実際にカテーテル・アブレーションの時に解析して、結論として
「臨床的に確認された心室性頻拍症患者さんにおいて、どんな標準12誘導心電図による基準でも、心室性頻拍症起原が心外膜側か、心内膜側かを判別することはできない」と、宣言しています
実際に論文の中に示されているデータではだいたい 80%近くの確率で判別されているのですがね 何とも控えめな結論ですこと

また重要なのはアミオダロン内服していないと心室性頻拍症のサイクルが短く 判別はより困難だ、ということでした
Feasibility and Safety of Uninterrupted RIvaroxaban for Periprocedural Anticoagulation in Patients Undergoing Radiofrequency Ablation for Atrial Fibrillation. Lakkireddy D, et al. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 982-8.

心房細動に対するカテーテル・アブレーションに際して、それまで服薬していた抗凝固薬を中断するか否か? というのは現実的に大きな問題です。心房細動による塞栓症予防のためには、CHADS2 scoreや HAS-BLED scoreに則って、ワーファリンあるいは、NOACによる抗凝固療法を行うべきとされています。

これらの抗凝固療法継続しながら、カテーテル・アブレーションを行えば、手技に伴って穿刺部出血性合併症や、まれに心タンポナーデを起こした時に、それを止めることができるかどうか? まあワーファリンであれば、拮抗薬を投与できるけど、NOACであれば、現在未だ拮抗薬は存在しませんので、余計迷うことになります。さりとて、抗凝固薬を完全に止めれば、その間の塞栓症発症リスクが出てきます。

この研究では、何れにしても抗凝固療法継続のままで、それがワーファリンによる場合と、NOACの一つである Rivaroxaban (イグザレルト)によるものとどちらが優れているか? という点を比較しました。結論的には、イグザレルト継続によるカテーテル・アブレーションは、ワーファリン継続によるカテーテル・アブレーションと比較して安全で有効である、というものでした。
Role of Arrhythmogenic Superior Vena Cava on Atrial Fibrillation. Miyazaki S, et al. J Cardiovasc Electrophysiol. 2014; 25: 380-386.

本日は発作性心房細動や持続性心房細動に対するカテーテル・アブレーションのお話です 正直僕はボクになってしまい、あまりきちんと理解できません

心房細動のメカニズムとして仮定されているのはどうやら、複数の triggersにより引き起こされ、それを維持する substateというものが左房および左房周辺にあることは良く知らています triggersで有名なものが、肺静脈内の遺残組織です この論文では、それだけでなく、上大静脈 (SVC)も triggersや sbustrateとなり得るということを示したものです
もっとも、発作性心房細動のカテーテル・アブレーションをやっている施設では、どうやら SVCも電気的に isolation (隔離)した方が、成績が良さそうだ、ということは言われているらしいです ただ、横隔神経麻痺の可能性があるため、積極的に SVC isolationは行っていない施設が多いようです

この論文は、横須賀共済病院と、土浦恊同病院という、不整脈治療の大本である東京医科歯科大学関連病院からの報告です 何しろ、土浦恊同病院での 連続956例の、そして横須賀共済病院での連続269例の薬剤抵抗性発作性心房細動あるいは持続性心房細動に対するカテーテル・アブレーション患者さんが母集団です 膨大な症例数に圧倒されますよね その中の、74例 (5.2%)でSVCが不整脈を誘発することが確認されたのです

実際、その 74例ではSVCからの triggersによって発作性心房細動が誘発されたりすることが確認されたし、SVCが心房細動の substrateとして作動する場合があることも心内心電図から確認されました そして、これらに対してカテーテル・アブレーションを行い電気的隔離を形成すると心房細動が起こらなくなることも確認されました また、4例 (5.4%)で横隔神経麻痺が起こりましたが、その後全例で回復したそうです

このことから、心房細動患者の中には、SVCが重要な不整脈源であることがあり、その可能性をマッピングの時に注意することにより、カテーテル・アブレーションの成績が向上する可能性がある、と述べられています

僕が感じたのは、多分心房細動に対してカテーテル・アブレーションを行っている不整脈医師は誰しも、以前からSVCも原因のようだ、と思っていたのだと思います しかし、そのことを、論文として主張するためには、このような圧倒的な症例数の裏付けが無いと、なかなか主張できないのではないでしょうか? まるで(かつての)◯◯病院のようですが、臨床医学では重要な側面でしょう。

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