EVT (血管内治療)の最近のブログ記事

Endovascular Treatment of External Iliac Artery Occlusive Disease: Midterm Results. Suero SR, et al. J Endovasc There 2014; 21: 223-229.

多分みなさんがた普通に EIA (外腸骨動脈)病変に対して、血管内治療を行っておられると思います そして、その有効性に関しては何ら疑問を呈していないと思います この論文は、連続した 99例の外腸骨動脈に対する血管内治療の中期予後 (Median = 27.5ヶ月) について後ろ向きに検討したものです

結果は、外腸骨動脈病変のTASC A/Bに関しては、血管内治療は素晴らしい成績を示すが、外腸骨動脈の遠位1/3に病変があると、予後はそれ以外よりも良くない 特に covered stentを用いた症例は予後が悪い というものでした

まあ何れにしても外腸骨動脈の病変に対して primaryに外科的手術という選択は既にあり得ないでしょうね まあ当たり前といえば当たり前の結果でした

ところで、論文中の Figure 1においては、ROC curveが書かれています そして、病変長 60mmと、ステント長さ 80mmが cutoff値としているのですが、その AUCがそれぞれ 0.65と 0.61なのですよ これっていいのでしょうか? ROC curveの AUCは別名 C statisticsとも呼ばれる値であり、それをカットオフ値の検出に用いるためには、少なくとも 0.8以上無いと意味が無いように聞いているのですが・・・
0.6なんて、要するにこの Figure 1でもそうですが、特徴無い曲線であり、そこからカットオフを取り出すなんてどう考えても無理ですよっ!!


お久しぶりです 色々とバタバタしたり、精神的ショックなどのため、そして Qt programmingにハマり込んでいたり、安倍首相御一行様と同時にしかし、別にメキシコに入り、メキシコ政府保健省からこれまでの貢献に対する感謝状を贈呈されたり、保健省局長と今後の政府間プロジェクトの詳細について話しあったり 要するにそんなこんなでサボっていました これから頑張ってまた uploadします!! 約束し 宣言します という訳で まずは今朝の抄読会から

Drug-Coated Balloons vs. Drug-Eluting Stents for Treatment of Long Femoropopliteal Lesions. Zeller T, et al. J Endovasc There 2014; 21: 359-368.

さて、この論文は僕も慢性完全閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション指導で訪問したことがある、ドイツの Bad Krozingen心臓病センターと、がもう一つのドイツの病院の二施設で行われた後ろ向き研究です そのテーマは 大腿膝窩動脈の長い病変に対する、DEB (Paclitaxel)と DES (Zilver-PTX Paclitaxel)との成績比較です
さて、ここでタイトルに Femoropoplitealつまり大腿膝窩動脈とあることが問題なのです はっきり言って最初から Superficial Femoral Arteryとかに限定すれば良かったのです 何故ならば膝窩動脈に対してステントを植えこむことは特に、Zilver-PTXの場合には完全な適応外であり、そもそも DEBと比較対象とはならないからなのです それをこの論文ではその適応外のものを含めているのです ここに何らかの意図を感じます 要するに、最初の組み立て段階から DEB有利な世界なのです まあ、しかし、この論文では統計学的な「理論付け」を行っています それが、なかなか一般の我々が理解できない Propensity Score Stratification (傾向配点層別化)分析という 耳慣れない手法を用いているのですよ あーー 難しいですねーーー 如何にも「「科学的」」ですねーー
論文を見ると、色々な病変因子とか、患者背景とか、それらから Propensity Scoreを計算し、それを用いて DES群にマッチしない DEB群を除外して、いやいやあるいは DEB群にマッチしない DES群を除外したのかな? これをどちらの立場を採用するかで、結果が逆転しそうですね クックックッ
結果は、治療後一年間の MACEとか TLRとかでは、両群で差は無かったければ、どちらかと言えば、 DEB + bail-out BMS stentingが一番良かった傾向がある、というものでした この結果を受けて
「10CMを超える長さの大腿膝窩動脈病変に対しては、DEBも DESも従来の EVTの成績よりも良い結果をもたらすことが出来ることが分かった これを受ければ、現実の医療の中では、 TASC C (>15CM)および TASC D (>20CM)の病変に対する今後のEVTとしては DEB + Provisional BMS stentingがもっとも良いでしょう」というものでした

はい分かりました 素晴らしい ただねえ、最後の Acknowlegementの中に書いてあるように、この複雑な統計解析を行ったのは、DEBを世に出している M社の統計チームなのです これって、あの ◯◯◯バン の N社絡みの事件と同じ構図のように思いますが・・・
欧米では許されても日本では許されないのですね まあ内緒にしていたからでしょうか? 日本は寛容な国と思いきや 世界で一番厳しい国かもですね
という批判めいたことは止めにしましょう まあ、普通に考えれば現在のテクノロジーから考えてどう見たって 20CM以上のステント植え込みが良い結果をもたらすとは考えられないですよね そんな万能金属なんて未だ人類は作り出せていない筈です
Carotid Artery Stenting in Patients With Left ICA Stenosis and Bovine Aortic Arch: A Single-Center Experience in 60 Consecutive Patients Treated Via the Right Radial or Brachial Approach. Montorsi P, et al. J Endovasc Ther. 2014; 21: 127-136.

Bovine型の左総頚動脈分岐奇形 (Bovine Arch Configuration)に関しては、その発現率はやはり民族の差異により異なり、全人口の 10%程度から、20%程度まで報告されていますが、最新のレポート (What is the true incidence of anomalous bovine left common carotid artery configuration? Ahn SS, et al. Ann Vasc Surg. 2014; 28: 381-5) によれば、何と 35%にも上り、その中の type I (左総頚動脈が Brachiocephalic Arteryと同じ入口部で分岐する)が、78%そして、type II (左総頚動脈が Brachiocephilic arteryから分岐する)が、22%とされています。

僕自身はあまり、CAS (Carotid Artery Stenting: 頸動脈ステント植え込み術)という手技がどうしても好きになれず、これまで行ったのはたったの1例のみです。そんな僕が言っても説得力はありませんが、左内頚動脈狭窄症に対する CASにおいて、この Bovine奇形は技術的に非常にやりにくいのです。通常 CASは経大腿動脈的インターベンションで行われることが多いのですが、Bovine奇形においては、下肢からアプローチすると、ガイディング・カテーテルに強い屈曲を必要とするので、大変なのです。

これに対して、右橈骨動脈あるいは、右肘動脈からアプローチすれば簡単に行けるのでは? などということは少し気の利いた Interventional Cardiologistならば思いつきますよね

この論文では、イタリアのある大学病院で行われた CASの中で、Bovine anomalyに対して、右肘動脈あるいは、右橈骨動脈より行った 60例について検討しています。60例? そんな少ないの? と思うことなかれ、これでも世界最大規模の経験数なのですね。

まあ結果は簡単なもので、1例が経大腿動脈的インターベンションに移行したのみで、他の59例は成功した、ということで、この方法の優位点について検討されています。筆者らは、右上肢から行えば、
  1. 大動脈弓にワイヤーもカテーテルも入れずに手技が行える
  2. 解剖学的にやりやすい
  3. Mo-Maを含め、各種の近位保護ディバイスを用いることができる
  4. そもそも合併症が少ない
  5. 終了後すぐに歩行可能である
といった利点を挙げています。

何故この論文? と言えば、その中の引用文献 19に僕が、何と1999年という昔に publishした結構有名な論文 (Influence of the ratio between radial artery inner diameter and sheath outer diameter on radial artery flow after trans-radial coronary intervention. Saito S, et al. Catheter Cardiovasc Interv. 1999; 46: 173-178.)が引用されているので、少し嬉しくなったのですよ。

それにしても今朝の抄読会で皆が疑問に思ったことは、「何故 Bovineと呼ぶのか?」ということでした。Bovineとは「牛」のことです 牛の角のように見えるから? あるいは、牛の頸動脈がこのような解剖なのかな? インターネットで調べても分かりません どなたかご存知の方がいらっしゃればご教授下さい
Paclitaxel-Eluting Balloon vs. Standard Angioplasty to Reduce Recurrent Restenosis in Diabetic Patients With In-Stent Restenosis of the Superficial Femoral and Proximal Popliteal Arteries: The DEBATE-ISR Study. Liistro F, et al. J Endovasc There. 2014; 21: 1-8.

浅大腿動脈病変に対するステント植え込みは、血管内治療後の再狭窄を減少させますが、残念ながらステント内再狭窄した後の予後はあまり良くありません それに対して、薬剤放出バルーンは効果が期待されています

この論文では、過去にバルーン単独で治療した糖尿病を有する浅大腿動脈ステント内再狭窄 42例と、Paclitaxel-Eluting Balloon (DEB) 44例の一年間予後を比較しています

結果としては、一年間の再血行再建術率 (TLR率)はバルーン群 31%に比し、DEB群では 13%と良好な結果が示されました そして、再々狭窄予測因子としては、そもそものステント再狭窄が完全閉塞であった場合が有意に悪い結果でした

膝下病変に対する DEBは必ずしも良好な結果を示していませんので、浅大腿動脈に対するこの有効な成績は期待されます
Twelve-Month Results of a Randomized Trial Comparing Mono With Dual Antiplatelet Therapy in Endovascularly Treated Patients With Peripheral Artery Disease. Strobl FF. et al. J Endovasc There. 2013; 20: 699-706.

この論文は既に発表されている MIRROR試験の結果評価を12ヶ月後まで延長してみた時の結果です。
SFA (浅大腿動脈)、膝窩動脈に対してBMS (金属製ステント)をバックアップとして用いた EVT (血管内治療)後に、六ヶ月間 Clopidogrelを投与することが、長期成績に及ぼす影響を、placebo群を対象として前向きに試験されました。全例、アスピリンは6ヶ月以上ずっと継続でした。
症例数は少なく、Clopidogrel群40例 vs Placebo群40例でした。患者背景に若干の違いが認められました。また、POBAの頻度は、C群 37.5% vs P群 52.5% (p=0.498)でした。
前回 MIRROR試験 6ヶ月後の結果では、C群でP群に比して再狭窄率などが有意に低値だったのですが、12ヶ月後には全く差が認められませんでした。
まあつまらない結果ですが、筆者達は、「最狭窄率が高いと予想される病変などでは、6ヶ月以上二重抗血小板療法を継続した方が良いだろう」と、結論しています。

しかしながら、この研究は、
  1. 症例数が少く、しかも Power analysisがされていない
  2. 実はClopidogrel中止後に再狭窄などか増加したのは、ステント血栓症かも知れないのに、ステント群単独での解析がされていない (もっとも Power不足でしょうが)
ということで、あまり何も言えない研究でしょうかね。

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