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Pivotal Trial to Evaluate the Safety and Efficacy of the Orbital Atherectomy System in Treating De Novo, Severely Calcified Coronary Lesion (ORBIT II). Chambers JW, et al. J Am Coll Cardiol Intv 2014; 7: 510-8.

これは Orbital Atherectomyと呼ばれる全く新しい血管内治療ディバイスに関する臨床試験の結果報告です このディバイスはロータブレーターのように、細かい工業用ダイアモンドが表面に貼付されているディバイスを高速回転 (高速回転といってもロータブレーターのように 一分間20万回転以上ではなく、せいぜい数万回転という回転数です)させることにより、血管内の石灰化病変を細かく削り、風船やステントなどでは十分な拡張を得ることができない病変も十分に拡張させ、その後に薬剤溶出性ステントを植え込み、良好な長期予後を得ようというディバイスです

ロータブレーターは石灰化病変に対して現在日本で用いることのできる唯一有効なディバイスですが、特に石灰化病変が欧米のPCIの現場よりも多い、とされてい日本の現状ではいくつかの重大な欠点があります それらは

  1. 切削できる半径毎にディバイスを入れ替える必要がある
  2. 太い径を切削しようとすると、太いガイディング・カテーテルが必要となる
  3. 用いられるガイドワイヤーの性能があまり良くない
  4. 何しろ非常な高速回転なので冠動脈穿孔なども起こりえる
  5. 日本国内では厳しい施設基準が設けられ、PCIの全場面で用いることはできない
などでしょうか これに対して、このディバイスは、1, 2, 3, 4の欠点は全て克服しているように思われます 5に関しては、今後どのようになるかは私の範疇ではありません

さて、このような新規ディバイス、臨床現場ではその出現が非常に待たれているものではありますが、そのようなディバイスの有効性を科学的に検証するのは、一筋縄では行きません 何故ならば、対象となるこれまでの治療法あるいはその成績があまり存在しないからです また、倫理的にも実際の症例数という点からも無作為化比較試験を行うことが事実上困難です

このような時に持ちられる手段が、これまで得られたなるべく多くの論文から、このディバイスに対して求められる性能 = Performance Goalというものを十分な検討の上で求め、その PGに対して、統計学的に 95%の確率で、同等あるいは優位である、という結果を求める試験を行う、というものです

本 ORBIT IIでもそのようにして臨床試験が組み立てられました その結果、非常に重篤な石灰化を伴う冠動脈病変に対して、このディバイスは手技急性期においても、30日目の成績においても、臨床結果は問題なく良かった、という結果を出したのです 日本国内で早期に導入できることが期待されます

TRIの現場では主として石灰化を伴う冠動脈や、病変のために、頻繁に子カテなどを用いて無理やり薬剤溶出性ステントを植えこむことが行われています 実はこの子カテに関しては、何の臨床試験も行われておらず、その安全性や有効性に関しては、「きっと安全で有効である」としか背景が無いのが現状です このディバイスはそのような現状を変え、特にTRIの現場では革命的な手技変化をもたらすものと予想しています



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