QCA/IVUS/OCT どれが一番正確ですか?

冠動脈の計測において臨床的に良く使用されているものとして、QCA (Quantitative Coronary Angiography: 定量的冠動脈造影)、IVUS (Intra Vascular Ultra Sound: 血管内超音波検査)そしてOCT (Optical Coherent Tomography: 光干渉断層法)の三種類があります

それぞれ計測の根幹となる波は、レントゲン線、超音波そして光なのですが、互いの計測値においては異なります 実際問題冠動脈内にステントを植え込む時など、0.25mm程度 (= Quater-Size Balloon)の誤差は全く問題無く、安全に手技を行うことができます ですから、冠動脈内径がたとえば 3.0mmだとすれば、0.25 / 3.0 = 8%程度の誤差は問題なく許容できます

実際 Phantomを用いて計測したものでは、IVUSが一番大きめに計測され、ついでOCTそして一番小さめに計測されるのが、QCAになります その誤差は如何ほどかと言えば、この和歌山県立医科大学の久保先生の論文によれば、9%大きめ(=IVUS) : 正確な値(=OCT) : 5%小さめ(=QCA)ということになります

さっきの臨床的意義から鑑みれば、この程度の誤差であれば、問題無い、ということになりますね

さて問題はどうしてこのような誤差が生じるのでしょか?

さて、OCTがもっとも正確ということは簡単に分かります、何故ならばそもそもヒトが物差しを用いて計測する時には、光を用いるからです つまり光を用いて計測した値が基準となるからなのです

それでは IVUSはどうでしょうか? IVUSで用いる超音波の波長は 40ミクロン前後です 信号処理の基本定理であるサンプリング定理によれば、分離可能な最小値は、この波長に相関します 波長が短ければ短いほど細かく値を測定できるのです 従って、IVUSという光と比べて波長の長い波を用いた測定では、本当の径という白か黒かというようなきっちりした部分で計測することができず、大きめの値になるのです

一方 QCAではレントゲンを用いた透過した画像ですので、くっきりとは見える訳は無く、結果的に小さめの測定値となるのです

何となく分かったでしょうか? 非常に重要な概念ですよ プログラミングにおいても重要なのです 特に DICOM処理に必要な信号処理では重要ですし、QCAのソフトを作成する時には、どこでカットするか? などにより OCTになるべく近づけた値にするためにも必要な考察なのです

 

市販後初の BVS植え込み実施

本日認可後、そして PMS (市販後調査)開始後初めての BVS (薬剤溶出性生体吸収性スキャフォルド)の植え込みを行いました

BVSに関しては、未来に向けた夢のあるディバイスではありますが、まだまだ未解決の問題が残されていて、そのためにその植え込みに関しては、施設の要件、あるいは術者の経験に関して非常に厳しい制約が設けられています そして、植え込んだ患者さんのデータは匿名化された状態で全例 NCD (National Clinical Database)に登録されることが必須条件なのです しかも、その植え込みに際しては、可能な限り OCT (光干渉断層検査)による精密な病変計測が必要であり、また植え込みに際しては除外基準が非常に多い、というものなのです

本日植え込みを施工した患者さんは未だお若い患者さんで、限局性の単純病変を有する方でした しかも、金属アレルギーを有することが事前にわかっている方であります 金属の中の特にニッケルに対してアレルギーがあると推察されますが、幸いなことにプラチナに対しては大丈夫です

BVSの両端には非常に小さなプラチナ・マーカーが四個ついていますが、そのプラチナは大丈夫なので、この患者さんは BVS植え込みの良い適応、と言っても良いでしょう 最初に OCTにより病変の計測を行い、BVS植え込み適応あり、除外基準に抵触しないことを確認しました そして、前拡張の後、再度OCTにより計測し、やはり除外基準に抵触しないことを再確認し、いよいよ BVSを一個植え込み、後拡張の後で再度 OCTによる観察を行い、BVSがきちんと冠動脈内膜に接していることを確認し、手技を終了しました

実際に僕自身は5年以前よりこれまでに 40症例ぐらいの患者さんに対して臨床試験の中で植え込みを実施してきましたが、日本国内市販後は初めてでしたので、少し緊張しました 結果はとても良く患者さんに対して良いことをしたと思います