流石に自社の報道の過ちに気付いたのでしょうか

先日(2012/04/24) NHKニュースで、難治性高血圧症患者さんに対して、高周波アブレーション・カテーテルを用いて腎動脈周囲の交感神経をアブレーションすることによって、某医科大学において、患者さんを治療した、ということが報道されたそうです。僕は知らなかったのですが、結構巷では話題になったそうです。

これが事実であるとすれば、色々な問題があり、またそれを報道した日本の公共放送と自ら位置付けているNHKにも大きな問題だと思われます。

今度、湘南鎌倉総合病院循環器科ではこの治療を正式の治験として開始し、きちんとしたプロトコルの下で、公的機関の監視下で、きちんと治療効果とその安全性を確認しながら患者さんを治療することが決まっています。そして、今度この治療法について講演する機会がありますので、少しこのNHK報道を Webで検索しました。その結果、もう一つの驚くべき事実に遭遇しました。

何と、NHKニュース本体の Webページからこの報道がきれいさっぱり削除されているのです。もちろん、正しくないことを何時までも報道し続けることは問題ですが、それにしても、「間違った事実を報道してしまい、申し訳ありませんでした」ぐらいの、自己反省ぐらいはきちんと記録として残すべきだと思います。

さて、この報道された治療法の何が問題でしょうか?

  1. 既にこの治療法は欧米では行われており、アメリカでも大規模な臨床試験が進行中である
  2. 心臓に対する高周波カテーテル・アブレーションに用いるカテーテルや機械を、この大学では腎臓に対して用いた これは認可外使用であるのみならば、用いる高周波エネルギーが一桁異なり、腎動脈の熱障害による慢性期再狭窄などの長期および短期安全性が担保されない
  3. 少なくとも半年間の動物実験観察を含めた前臨床試験が行われて然るべきであるが、どう考えてもそれが行われた様子は無い
  4. 施行にあたって、倫理委員会承認を得たかはなはだ不明である 仮に承認を受けたとすれば、そのような人体実験もどきの治療を認可する倫理委員会の存在価値は無い

などです。また、同時に指摘すべきは NHK報道の体質、あるいは監査体制はひどいものだと思います。