久しぶりの安達太良ライブ

昨日は朝から安達太良ライブにおいて、新装なった「いわき市立医療センター」において右冠動脈の慢性完全閉塞治療をさせて頂きました 病院はできたてほやほやの真新しい病院でした 僕の使用したマシンは Shimazuの最新型マシンでした 画面はきれいなのですが、フットペダルの重さが軽すぎてペダルを踏みに行くと、ペダルが何処かに逃げてしまう そんな印象でした あと、U-armの操作桿の操作法がわかりにくかったです

右手背橈骨動脈より自分で穿刺し、手技を完遂しましたが、僕の助手は松陰くんが勤めて下さいました 症例治療は順調に終わりました 最後にあの Y先生が、「TRIもずいぶんと進化したのですね 以前 齋藤 滋先生がTRI側、私がTFI側でデベイトしたことを思い出しました 現在 一般社団法人 日本医療安全調査機構の顧問をしていますが、TRIで事故が起きても患者さんが死ぬことはないが、TFIで事故が起これば患者さんが死ぬことがある」と言って下さいました とても嬉しくてこれまで自分がしてきたことが役に立った思いでした

あっという間に時間が過ぎていく

やっぱりなあ 歳なのですよねえ 自分の歳を一番身近に感じる時、それは ふと何でこんなに毎日が早く過ぎていくのだろうか? と思う時です

たとえば今週は何をやっていたのか? 思い出しましょう 火曜日28日は経皮的僧帽弁接合不全修復システム (MitraClip)のビデオ撮りを二症例分撮りました 翌日は? うーん外来診療に明け暮れたのかな 木曜日は? 比較的時間が取れたので、PPM (Prosthesis Patient Mismatch)について調べました 二週間後に迫った TVT (Chicago)で発表せねばならないからです うーんなかなかまとまらない

そして昨日金曜日です 午後の羽田-伊丹便で久しぶりに関西に入りました そして夜は神戸の Steak Houseで早めの夕食、それから明石焼きの名店「司」で明石焼きを食べ、その後喫茶店に行きました 尼崎のホテルに入ったのは22:00頃ですかね しばらくしてバタンキュー

本日はなんと6月01日です 6:00AMには覚醒し、朝食はスキップして8:00AMに尼崎市園田にある 「はくほう会セントラル病院」に行きました 朝一番に Slender Club JAPAN 2019においてライブ手技を割り当てられていたからです 到着してから電子カルテで症例の造影を見たのですが、何と3ショットしか無いのです 何でも腎機能が少し低下しているので造影剤使用を抑えるためこの三ショットのみだったのです 右冠動脈がmid portionより慢性完全閉塞であり、副血行も十分ではありません 正直 I do not have enough information regarding anatomy to do PCI for this patient. と叫びたくなりました 絶望的な状況です

それでも気を取り直し、またごねたとしても状況が改善する訳でもなく、まずは 8:50AMに右遠位橈骨動脈穿刺から自ら行いました すごいですねえ 穿刺一発で成功です「どうして自分はこんなにも本番に強いのだろう」と何時もの如く思いました

対側左からはものすごく体の大きい方で retrograde approachを行った場合、device lengthが足りなくなる危険性があり、敢えて左近位橈骨動脈よりアプローとしました 結局左橈骨動脈より7Fr EBU3.75を左冠動脈に、右遠位橈骨動脈より7Fr JR3.5を右冠動脈に挿入し、ようやく造影を行い戦略を立てることができました

そして、左冠動脈前下行枝よりかすかな中隔枝を一義的に狙い中隔枝経由の逆行性(両側性)アプローチを戦略としました こんな時は我ながらすごいですねえ Sion wireは一発で目指した中隔枝をクロスし、右冠動脈近位にいったのです それからmicro catheterを進め、造影すると慢性完全閉塞部分はものすごく汚く造影され、たくさんの決戦や necrotic tissueが存在し、この先 distal embolizationのリスクがあるだろうな そのように予想したのです でも何はともあれどんどん手技を進め、最終的に externalizationに成功し、バルーンステントと行い一応成功しました 「一応」というのはやはり distal embolizationのため TIMI 2程度の flowにとどまったからです でも IVUSでも確認しましたが、きちんと真腔のど真ん中を通過して再開通させたのです 我ながらあんな困難な状況でこの症例治療をやり遂げるのはすごい きっと世界で僕だけしかできない そのように自画自賛したのです

時刻は11:00AMになっていました まずは行きつけ と行っても実は前回訪れたのば 2016年4月09日だったのですが 尼崎三和本通り商店街最大の秘境レストランである「寿々屋」に行きました いやあ懐かしいなあ ママさんとも再開できて嬉しいな 寿々屋は三和本通り商店街脇にある「ナイス市場」にあるのです

ナイス市場
ナイス市場の看板が見えますね
ナイス市場の中
ナイス市場の中 ほとんどの店のシャッターが閉まっています

この「寿々屋」さんは、顔なじみの女将さんがやっておられるお好み焼きの店です お好み焼きと言ってももちろんそれだけではありません 特筆すべきは「スープたこ焼き」なのです 店はこじんまりとしていて鉄板付き机が五席のみです

寿々屋の店の中
寿々屋の店の中

僕がこの店に通うようになってもうかれこれ10年以上なると思います 三和通商店街を歩いていて偶然運命の出会いのように見つけたのです それ以来定期的に通っているのですが、前回が2016年だったのは自分なりにショックでした

名物スープたこ焼き
名物スープたこ焼き
とん平焼き と、イカゲソ塩
とん平焼き と、イカゲソ塩
モダン焼き
モダン焼き

何はともあれ女将さんと再会を祝いました

寿々屋 女将さんと
寿々屋 女将さんと

僕自身があと何年通えるか分かりませんが、僕が通える間は続いて欲しい店の一つです 是非皆さん方も、尼崎を訪れた時は、なかなかたどり着くのが難しい場所ですが、是非ともこの「寿々屋」さんを訪ねて下さい ただし、営業時間が 11:30AM – 18:00ですので気をつけて下さいね 本日は昼は満員でした

小倉ライブ

昨日夕方の福岡便で小倉に入りました そして今朝 8:30AMより小倉ライブで手技をしました

症例は右冠動脈の慢性完全閉塞患者さんで、3月にトライされるも不成功例でした 8:30AMより手技開始し、最初の同時造影では副血行路は以前の造影よりも不鮮明となり、中隔枝経由の副血行も消失していました また右冠動脈の慢性完全閉塞も前回不成功の時に解離を形成し、そのためにより不鮮明となっていたのです

そのような事情ですから Primary retrograde approachで入りました 幸いにも塞がっていた中隔枝にワイヤーを通過させることができ、右冠動脈の#3にまで到達しました そこで順行性も開始し、Ultimate Brossにより逆行性にクロスすることに成功し、まあ色々IVUSで見たりしたのですが、結果的には10:30AM頃には薬剤溶出性ステントを三個植え込んで、さらに全ての枝を温存して再開通に成功しました

正直あっけない印象でした 余裕で処理することができましたし会場の議論を盛り上げることにも協力しました

まあ何はともあれ歴史ある小倉ライブでのここ数年間連続して成功裏に終了している慢性完全閉塞に対するPCI、本日もその歴史を上塗りした結果となりました

小倉ライブ
小倉ライブでの手技
手技終了後
2019 Kokura Live with Dr. Saito
小倉記念病院
小倉記念病院
小倉港
小倉港向こうに見えるのは下関の街

バングラデシュでの慢性完全閉塞ライブ

2月07日木曜日  激しく雪が降る札幌より飛行機に搭乗できるように急いで鎌倉に戻りました そして 08日金曜日は朝自宅を出発し、成田空港に向かったのです

そしてその次が2年後の 2017年2月09日のことでした この時の結構テロ直後で緊迫した様子はここでご覧頂けます

今回も BIT (Bangla Interventional Therapeutics)という学会・ライブがありそれに今回で三回目の招聘をされたからです 最初に招聘されたのは 2015年2月05日のことでした この時はテロの危険がありとても危ないエリアなので渡航自粛勧告が出ていた時です この時の様子はブログに upしていますので御覧ください

さてこの学会は今年で第9回目でありますが、本格的な学会になったのは 2015年からであり、それからインドのカルカッタと交互に毎年行われているのですが、ライブを行う本格的なものは 2015年、2017年そして今年とこれで三回目となります 何れも僕一人がライブ術者として招聘され、他の欧米やアジアからの招聘者は何れもコメンテーターや講演者としての参加です

講演

今回の目玉招聘者は前回に引き続いて Gary Mintz先生(USA)、Upendra Kaul先生(インド)、Angela Hoye先生(UK)そして僕でした

さて、今回も前二回と同じく United Hospitalのカテ室から衛星中継で学会場である Radisson Blu Dahka Hotelにライブが飛ばされました 衛星中継であり、予算的なこともあり放映時間は 14:00から15:00までの一時間きっちりと厳格に規定されていました

当日Rahman先生より頂いた情報では 48歳の労作性狭心症の患者さんで、左冠動脈回旋枝に二箇所 90%の狭窄を認め、メインの病変は右冠動脈midの慢性完全閉塞でした bridge collateralがあり左冠動脈よりの側副血行造影は認められませんでした よくあるタイプで右冠動脈の mid part丁度蛇行する部分の慢性完全閉塞であり、しばしば簡単に側枝に行くか、あるいは宣通してしまうタイプです 「これは難しいぞ」というのがシネを見ての印象でした

さて中継準備をされているのですが、なかなか手技に入りません 結局僕が手袋はめて清潔になったのは 13:45を回っていました 「これは大丈夫か? 時間があるか」と少し急ぎました 右経橈骨動脈的冠動脈インターベンションで入り、7Fr EBU3.5を左冠動脈にすばやく挿入し、放映開始前に Runthroughを左冠動脈回旋枝に通過させ、前拡張の後、薬剤溶出性ステントを二個植え込みました IVUSで確認しましたが良好であり、その頃放映がスタートしたのです

ライブデモンストレーション

案の定右冠動脈の慢性完全閉塞ではまずガイドカテを固定するために、慢性完全閉塞直前の RV branchに 2mm balloonを置いてアンカーとすることにしたのですが、NC balloonしかなく、蛇行した RV branchでアンカーのために拡張すると自然に右冠動脈近位本幹に抜けてしまいアンカーとはなりません それでも順行性に XTA -> Gaia-3と進めましたが、ガイドワイヤーは簡単に側枝に向かい全く話になりません 慢性完全閉塞の近位部はカチカチでした

「さあこれは時間切れかな? バングラデシュでの歴史的に三回しかこれまで行われていないライブデモンストレーションにおいて、過去二回成功した慢性完全閉塞の歴史もこれで終わるか」とも考えましたが、術者としては続ける以外ありません

最後に Conquest-Pro 30gを出して順行性に狙いました これが走行してガイドワイヤーは慢性完全閉塞を抜け遠位の真腔に到達したのです それから再度アンカーを試み、semi-compliant balloonがようやく一本見つかったのでそれを用いてアンカーかけ、1.25mm balloonが慢性完全閉塞を通過し、結局右冠動脈も二個の薬剤溶出性ステントを植え込み素晴らしいできとなりました ここでライブデモンストレーションは丁度終了となり、相変わらずの幻を見たか? と誰とも思わざるを得ない白熱した時間厳守の、しかも非常に困難なライブデモンストレーションが終わったのです

スタッフ一同

それはそれは会場もカテ室も興奮です そのあとホテルに戻り休んでからダッカで行きつけの高級日本料理「泉」で夕食をとり、今はダッカ空港からシンガポール空港ラウンジに戻ったところです 今回のバングラデシュ滞在は 22時間でした また二年後 BITでライブデモンストレーションに訪れることを皆に誓ったのです

こんなやり方大嫌い

外国から時々、PCIのCD/DVDが突然送られてきて、慢性完全閉塞の治療を頼まれることがあります 時にはその国の大使館経由であったり、その国のインタベ界の大物医師からのこともありますし、ご家族から送られてくることもありますし、患者さんご本人からのものもあります

当然のことながら先方は、齋藤 滋に頼めば何とかしてくれるだろう、きっと慢性完全閉塞を開通させてくれるだろう、という大きな期待を持ってコンタクトしてくるのです 僕に頼めば何とかなる、その場合には、往復の航空券を自腹で払っても、そして日本の健康保険制度が適応されず、完全なる自費診療となり数百万円の経費を支出してでも来られようとします

期待は大きいのですが、それを受ける立場の僕としてはとても荷が重いのです

  • そもそもご家族も同伴されないことが多いのですが、何らかの合併症が発生した場合、法律的な問題、倫理的な問題、医療費の問題 その他諸々の扱いが鮮明ではありません -> 結果的に僕一人に全ての責任を押し付けられる可能性があります

もちろん、これに対しては何らかの仲介会社が賠償保険など掛けている場合があり、その場合賠償金や、医療費についてはクリアとなると思いますが、少なくとも倫理的な問題は残り、大きな責任と心の重荷が僕一人に押し付けられると考えられる

  • 慢性完全閉塞のPCIなんて成功率がせいぜい 90% maximumですが、では 10%となった場合、相手は納得されるのか? その場合でも支払いはきちんとされるのか?
  • 実際問題、言葉は直接通じないことが多く、リスクを説明したりしようとしても何処まで理解されているか不明なままに手技に望まねばならない
  • 彼らの理解では、僕クラスの医師が直接手技を行うというのは、非常に特別であり、裏返せば「特別扱いされて当然」という意識がどうしてもある しかし、当院のような病院では、あるいは僕の主義として、特別扱いすることは良しとせず なので、どうしてもギャップが生じる
  • 実際に僕のスケジュールは非常にタイトであり、鎌倉にいる時には午前中 8:15AM頃から15:00過ぎまでぶっ続けで、昼食も摂ることなく外来診療し、そのまま休憩も取ることなく、手技に入るのです だから特別扱いなんて物理的にもあり得ないのです
  • 実際に治療戦略を検討したり、治療するかしないかそのものを検討するのはとても僕のフリーな時間を潰されます 実際に先日もあったのですが、いきなりCDが数枚僕の許に届けられ、仕方がないので時間をかけてそのCDを再生し(実際ここにも大きなリスクがあるのです そのCDに computer virusが仕掛けられていればどうなるでしょう)、DICOM Viewerに読み込もうとするとどうしても読めない、ファイル属性を調べると何と DICOM fileで無い! そんなこともあるのです あるいは、Powerpointに動画を貼り付けて送られてくる場合もあります DICOM formatでない資料は医療資料として認められないし、それに基づいて治療戦略を立てることを僕は絶対にしません

その他諸々の僕の思惑に関係なくPCIとなることが多いのです 勿論これまでに何人もの外国からの患者さんを当院で治療してきましたが、その国に僕が出かけて手技を行うのとは違うストレスが多いのです 皆さん方からすれば、僕の根城の鎌倉で治療を行うほうがストレス小さいのでは? と思われるでしょうが、そんなことは無いのです これが現地で手技をする場合には、現地の色々な状況を把握できますし、その地域で得られる最大限の情報を把握した上で、(日本国内での治療に比して制約は多いかも知れないが)自分の持ちうる能力を全て使用して治療に臨めるのです だから、それは自己発揮そのものなのでストレスは小さいのです

そうそう何を憤慨しているか? と言えば、暮れに同じように CDが数枚いきなり某国大使館経由で送られてきました 何処で僕の情報を得たのか知りません とにかく送られてきたので、正直「またか」と思いながらいやいやそのCDを DICOM Viewerで再生しようとしたのですが、全くできません、何と拡張子 .wmv つまり、Windows Media Viewerの formatだったのです これはそもそもフレームをエントロピー不可逆圧縮してから、時間またぎの不可逆圧縮かかっており、その結果 DICOM fileサイズの 1/10ぐらいになっているのですが、その分情報がロスしています 従って責任を伴う医療用資料としては認められません ここまでで一時間ぐらい自分の貴重な時間を潰されました そして、DICOM formatを要求したところ、インターネット経由で相当な時間がかかるも送られてきました

さてそれを見たのですが、CDは三枚ありました 患者さんは年齢不詳の男性であり、一枚は去年の秋に行われたCT冠動脈造影、次に渡されたのは二枚のCDで、一枚目は去年の11月のもの、二枚目は12月のもので、同じその国ではPCIで有名な施設のものでした 僕も実はこの病院にもう15年以上前になりますが、訪問したことがあります その時は未だ革命前でした 当時の大統領と二人で写っている写真もあります あの時は確か Siemens machineだったけど、と思いながら DICOM fileを解析したところ、やはり Siemensでした

さて、患者さんは数年前に冠動脈バイパス手術を受けておられ、そのグラフトが閉塞したようです そして11月の DICOMを見ると、右冠動脈の長い慢性完全閉塞に対して、両側経大腿動脈的インターベンションにより順行性と逆行性に Corsairなど用い、あるいは Anchoring balloonも用いながら手技が行われ、最終的に造影剤の漏出を伴い、不成功に終了していました 問題視したのは、その手技時間なのですが、何と6時間以上かかっているのです そして、二枚目のDICOMですが、今度は 2時間かかり、同じような手技が行われやはり不成功に終わっていました そして、さらに問題だと思ったのは、DICOM tagからは読み取れませんでしたが、明らかに Japanese style CTO PCIだったのです

さて、ここからは僕の推論に基づいた意見ですが・・・・

何処のメーカーが声をかけたのか知りませんが、明らかに日本人医師を招いて行ったものと思われます これって何なの? と思います 恥さらし そのように思います 節操が無いことに腹が立ちます そしてそんなに時間をかけるような技術的低レベルに腹が立ちます メーカーの方も反省して下さい 僕がその国に問い合わせれば全て明らかになりますよっ こんなやり方大嫌い!!

まあこれぐらいにしておきましょう ついつい熱くなってしまいましたね そもそも皆さん方は DICOM tagについてご存知でしょうか? 面白いので少しだけ勉強して下さい

実際 DICOM viewerが無くとも Binary editorや、Visual Studio Codeを用いれば DICOM tagは全て読み取れますよっ

鎌倉ライブも無事済んで・・・・

先週の土曜日、日曜日と第25回鎌倉ライブが無事開催されました 比較的順調に運んだ最大の要因は、特定非営利活動法人ティー・アール・アイ国際ネットワークの皆の非常にアクティブな参加だと思っています それぞれの忙しいスケジュールの中、色々なアイディアを出され、それを実現されていったのです 素晴らしい行動力だと思います

そしてもちろん協力して頂いた企業の方々、さらには、忙しい中参加して下さった Faculty membersの方々、そして参加者の方々 皆さん方のお蔭と考えています 本当にありがとうございました

本日は早朝の便で札幌です 心配していた雪も大したことありません 千歳は快晴です また次のステップに向けて進みたいと思います

久しぶりの バンコク

何と前回タイを訪問したのは 2013年2月16日のことでした ですからいつの間にかもう5年半も訪れていなかったのです

今回は、Wasan先生よりのお招きにより CIAT (Cardiovascular Intervention Association of Thailand)という学会ライブにお招きに預かり、久しぶりにバンコクを訪問しました

バンコクの交通渋滞はアジア最悪、世界最悪と言われて久しかったのですが、その後高速道路整備、近郊電車網の整備のお蔭で前回訪問した 5年前には相当に渋滞が改善していました しかし しかし今回は空港から市内ホテルで学会場であるCentara Grand at Centraworldまで30Kmぐらいにも関わらず 2.5時間以上かかりました 大渋滞です また、とにかく見た目景気がすごく良い雰囲気であり、街を歩く人々も若く、これからますます発展するように見えました またこれまで以上に日本語が街に溢れ、色々な日本から進出した店やレストランもたくさん目に付きました

便利な電車網

街の中心には高架上を近郊電車が走っています これはとても便利な交通機関であり、このように渋滞がひどいと特に役立ちます まあ日本で言えば地下鉄ですが、日本の地下鉄ほどには路線が緻密ではありません

CIATはこれまで毎年開催されていたらしいのですが、これまでは一日限りであり、外国からは演者などを招聘されてこなかったということですが、今年から二日間の日程となり、また外国からも演者や術者を招聘するようになったとのことです 今年の目玉は Serruys先生でしょうか 日本からも僕の見た限り5名ぐらいの先生が招聘されていました

CIAT開催直前

そういう訳で今年は 9回目だそうです 僕は土曜日24日の Opening Ceremonyに引き続いて特別記念講演をしました 内容はTRIの発展と Distal Radial Approachについてでした

タイ料理は非常に辛いものがあることで有名ですが、ビーフンを用いた辛い麺はなかなか満足の行く辛さでした

辛い麺

バンコクの街は高層ビルが立ち並び経済発展が伺えます

バンコクの高層ビル街

そして日曜日 11月25日は 9:00AMにホテルロビーにお迎えの車が来て、そのまま ChulaLongKon病院に向かいました 僕が知っているこのタイ国随一の大学病院はまだ建て替え前のものであり、新しくなってからははじめての訪問でした カテ室は 6室あるそうです

僕に与えられた症例は 80歳のものすごく小柄な女性でした 数週間前に前壁の非貫通性急性心筋梗塞を起こし、左冠動脈前下行枝近位部に対して薬剤溶出性ステントが植え込まれました そしてこの時に右冠動脈中部で長い慢性完全閉塞が発見され、本日の標的病変はこれでした 事前に何の症例情報も無く、今朝初めてどのような症例であるかシネを見ました 右の経大腿動脈的冠動脈インターベンション + 右経橈骨動脈的インターベンションで両側 7Frで入ったのですが、左冠動脈にはガイディング・カテーテルの挿入が困難であり、かなりのきつい角度で何とか入りました

まずは順行性から開始したのですが、Gaia-3rdにより慢性完全閉塞部分を超えることができたのですが、ものすごく硬い病変でした そしてワイヤーはそのまま血管外に抜けました このため、左冠動脈からの逆行性アプローチを開始したのですが、狙った中隔枝はヘアピンカーブ状にLADより分岐し、その選択には高度なテクニックが必要でしたが、何とか突破しました 秒間0.1mmぐらいの回転を加えた押したりひいたりの操作により困難な屈曲を超えました これは本当に難しい高等テクニックです そしてようやく中隔枝を超え、ワイヤーは右冠動脈末梢から近位部向かって進みました ここでマイクロカテを進めるのですが、丁度中隔下縁の激しく収縮する部分が屈曲部にあたり、その部位の通過には Corsair-Proが必要だったのです この動きからひょっとしてこの部位で中隔枝の破裂が起こる可能性があると考えましたが、続行しました

そして順行性と逆行性を Gaia-3rdで組み合わせ、ようやく逆行性にワイヤーが順行性ガイディング・カテーテル内に挿入することができました 次の操作としては当然ながらガイディング・カテーテル内でのバルーン・アンカーであり、それを行うことにより逆行性に Corsairを順行性ガイディング・カテーテル内に持ち込めました しかし、順行性ガイディング・カテーテルがなかなか 右冠動脈に対してco-axialに入らず、この結果 Corsairはその先端部分のみがかろうじて順行性ガイディング・カテーテルに入ったのです

ここで、RG-3に置換するのはこのポジションを失うリスクがありましたが、新調に行い、これでもう勝利は確信したのですが、RG-3を逆行性に入れていく途中で抵抗を感じました そして全く進まなくなったのです、RG-3を透視で追うと、何と順行性ガイディング・カテーテル内部先端が折れ曲がりそこで進まなくなっているのです、そこで、このRG-3を道標として Corsairをもっといい位置、順行性ガイディング・カテーテル内に十分に進め、その位置で RG-3を抜去して新しいRG-3を導入しようとしたのですが、今度は RG-3が Corsairより抜去できないのです それで、Corsairごと左冠動脈まで抜去しようとしたのですが、何と逆行性ガイディング・カテーテルが左冠動脈内に引き込まれるのみで抜去できないのです これは大変です 実はここで中継が時間の関係で終了しました 聴衆の方々は一番重様な部分を見ることができなかったのです だって実に僕のカテ室の開始時刻は前の手技がずれ込んだため遅れに遅れ 11:00AM頃手技開始となったのです それで 12:00に shutdownですからそもそもが中継完了するのは無理です

結局色々やって何とか CorsaitをLAD内まで抜去することができ、そこで右冠動脈から造影したのですが、慢性完全閉塞通過部分には Corsair通過の道ができていましたが、十分に造影されませんでしたので、左冠動脈の造影をしたところ、やはり懸念していたように中隔下縁で中隔枝が破裂していて瘤状になり、その部分で右心系に交通していました そしてそこで、新たに順行性に既に Corsairで形成された道を通してワイヤーを順行性に右冠動脈末梢に通過することができました これでようやく終了できるか と思ったのですが、そこでLADより Corsairを抜去したところ、何とLAD近位部で完全閉塞となって、血圧も低下し心停止状態となりここで心臓マッサージ開始、エコーでは心タンポナーデは否定され、このLAD閉塞が原因の血行動態破綻と考えられました 僕としては何が原因であれ、LADに再度ワイヤーを順行性に通過させなければ何もできない、と考え、皆がバタバタ色々な処置をしてくださっているのを尻目にワイヤー手技を続けました 透視で良く見るとLAD近位部の以前植え込まれたステントがひしゃげているのが分かりました 結局、原因は左冠動脈ガイディング・カテーテルが引き込まれて奥に入り込み、この時にステントも損傷し、これによりLAD近位部で蓋されたものと考えられました またこの時点で逆行性 EBU3.0 7Frが左冠動脈主幹部を損傷したものと考えられたので、JL3.5に交換したのですが、この時誰も気づかなかったのですが 6Fr GCが出されたのです

そこからはワイヤリングの絶妙なテクニックを自分で引き出しました 口では表現できないのですが、とにかく絶妙なワイヤーに対する回転と押し引きなのですが、それを続けました とても成功するとは思えなかったのですが、突然ワイヤーがスーッとLAD末梢まで通過したのです そこから 1.0mm balloonが何とかステント近位部を通過し、拡張するとバースト、ついで 1.5mm -> 2.0mm -> 3.0mmとバルーンサイズを上げていき、何とかIVUSに持ち込みました IVUS解説は帝京大学の興野先生が詳しくして下さいましたが、明らかにステント近位部が血管壁に数ミリに渡り押しつぶされていたのです そこで新たに左冠動脈主幹部からLADにかけてステントを植え込もうとしたのですが、全く通過できませんでしたので、LCXをワイヤーで保護しながらGuidezillaを入れようとしたのですが、当然のことながら 6Fr GC内に側枝ワイヤーを入れた状態ではGuidezillaを入れることはできません 何回か入れようと試み、ようやく「あっ、これは 6Fr GCではないの」と気がついたのです

それで今度は右冠動脈に対してバルーンで拡張し、薬剤溶出性ステントを2個植え込み、右冠動脈の慢性完全閉塞開通部分を確保し、右橈骨動脈からの 7Fr AL1.0SHを抜去し、こちらから 7Fr JL3.5を左冠動脈に挿入し、ようやく Guidezillaの助けを借りて左冠動脈主幹部からLAD近位部に薬剤溶出性ステントを植え込み、これでようやく安定したのです 患者さんはこの間に気管内挿管したりしましたが、リカバーしました ものすごい症例でした

興野先生と
終了作業中

この手技が終了したのは 13:30頃になっていました 朝食も食べていなかったので、それからバンコクに来た時には必ず訪れている Seafood Marketに行き遅めの昼食を摂りました

Seafood Market

いやあ今回はものすごい体験をしました 今回の注意点としては、やはり体格が小さくガイディング・カテーテルの挿入困難な症例は合併症を起こしかねないので本当にPCIの適応であるか否か十分な検討が必要である、ということです そして、合併症に対しては術者として常に冷静に状況を判断し、最適な手段を講じるようにせねばならない、そのように改めて思いました

昨日は東京西病院での院内ライブ

昨日は久しぶりに東京西病院をPCI手技のために訪問しました この病院では 堂前くんが皆を引っ張っておられ、僕も何回か訪れたことがあります とても頑張って来られたのです

前回PCIのために訪問したのは何と 2012/DEC/27でした もう既に6年間経過しているのですね 時の流れに驚きました

カテ室には近郊のインタベの先生方が数名来られ、足利先生に imagingの解説をして頂きながら手技を行わせて頂きました

開始は 14:00過ぎからでしたが、 18:00に終了し、その後 立川駅周辺で会食いたしました 結局自宅帰宅は 12:00 midnightとなり、疲れました

東京西病院には新しい Siemensの Hybrid Systemが導入されたのですが、部屋も広く、マシンのレイアウトも素晴らしく、もちろん画像そのものも奇麗で驚きました この部屋で早くTAVIなどの治療が開始できるようになれば良いですね

今週はPCIに明け暮れ、そして行者になった

今週は新たな薬剤溶出性ステント治験や、Impellaを用いたCHIPによる治療、そして外来診療に明け暮れました 本当に忙しく自分の残された貴重な人生としての時間をどんどん費やしてしまいました

本当にこんなことでいいのだろうか? さらには MitraClipによる治療、これは大分と早く治療できるようになり、そんなには自分の人生の貴重な時間を費やしてはいませんが、まあTAVIに関しては既に部下に任しても全く問題ありませんので このような時には関わらないようにしていますし

そして昨日金曜日 11/09は伊勢志摩ライブで術者をさせて頂きPCIをまた行ったのです 何時もは土曜日の朝、あるいは金曜日の遅くに松坂に入るのですが、今年は行者としての修行がありましたので、金曜日午後遅めに松坂に入りました

そしてまずは講演を一つ行い、それから実際の症例治療に移りました 意外にもロータプレーターが必要となりましたが、結果的には満足の行く出来で治療が終了したのです この時点で 16:30ぐらいでしたが、すぐに松坂のホテルに向かい夕食を食べてバタンキューでした やはり疲れが溜まっているのですね

しかししかし結局 2:00AMに覚醒して、それからは一睡もできず本日に至ったのです

さて本日は自分の老境に向いつつある肉体を顧みずに無謀にも行者修行に挑んだのです

ここ伊勢にはものすごい昔から修験者が修行を行う聖域としての山があります 本当の意味での山伏が修行に入る山です その山が現在も残っていて、それは麓のお寺により管理されています その寺は 「伊勢山上 飯福田寺」というお寺であり、まだ40歳前後の住職さんが管理されています 飯福田寺というのはなかなか読めないと思いますが、「いぶたじ」と読みます

僕がこの寺と、その修験の場所を知ったのは、やはり伊勢山に当時は存在していた萎びた蕎麦屋さんに行ったからです それは丁度一年前のことでした

それからこの西暦 701年、つまり 1,300年前に開山した修験の山で少しでも修験者、行者に近付こうと、今日この日を一年間待ったのです

CCTで日本国内初の経皮的僧帽弁接合不全修復システム(MitraClip)ライブデモンストレーション

本日は日本のインターベンションの歴史の中でも格別な日でした それは仙台厚生病院より神戸の CCT会場に経皮的僧帽弁接合不全修復システム(MitraClip)のはじめての日本国内ライブデモンストレーションが中継されたのです 非常に手際よい治療が行われました

このような機会に座長の一人として立ち会えたのはとても光栄であり嬉しく思いました

さて CCTではすっかり自分自身は冠動脈のspaceから遠ざかってしまいました しかしながら治験関係の集まりがいくつかありなかなか開放されません 本日はまた鎌倉ライブデモンストレーション実行委員会が夜に開催されますので遅くなりそうです

今は空いた時間で鎌倉ライブデモンストレーショントップページ兼内容作成のためのプログラムの手直しをしています まだ頑張らなければ