数年ぶりのシンガポール

今回、実はDockerの勉強しながら、シンガポールで開催された(いや されているかな?) Asia PCR Singapore Liveに久しぶりに参加しました 以前より毎回招聘されているのですが、色々な思いがありここ数年は参加を断ってきました しかし、次第に EuroPCR Organizationが深く入ってきたため、僕の現在の立場からは参加を断れなくなってきたのです

そうですね実に 4年ぶりの SinLive参加だと思います これまでも毎回 Live Transmissionの Operatorを勤めてきましたが、今年もその役割を与えらたのです 実際問題この SinLiveで Live Operatorを行う色々な先生の中で何時の間にか僕が最高齢となっているように思います それでも歴史ある Singapore Liveにおいて、main Arenaで一人術者をする、というのは Interventional Cardiologistしてはやはり栄誉あることだと思いますし、自分が未だまだできる、ということを示すもので嬉しいですね

久しぶりに訪れた Singapore Heart Centerは建物が新築となっており、9階建てぐらいの奇麗な建物になっていました 以前は、Singapore General Hospitalの Block Cとかいう建物の中に存在していたのですが、2014年に完全に独立したとのことでした ですから、僕も2014年以前には訪問してこなかったことになりますね

Singapore General Hospital

 

新しい建物

なお、Singapore Heart Centerはシンガポール厚生省の直轄病院です この日(1/20 金)の 12:00 – 12:45まで僕のライブに割り当てられていました 他のカテ室からはライブ中継無く、僕の一人ライブでした テーマは、「複雑多枝病変に対するPCI」というものでしたが、当然僕に期待されているのは、経橈骨動脈的冠動脈インターベンションで治療することでした

病院カテ室に到着したのは 11:10AMぐらいでした KK Yeo先生がカテ室で迎えてくれましたが、彼は SGHで MitraClipを多数症例行っておられる先生で、4月初めに開催する PCR TokyoValves 2017では、Singaporeより MitraClipのライブ中継をお願いしている先生です

カテ室で症例シネを見ましたが、「これは非常に危険な症例だ」と思いました 実際 Syntax Scoreは何と 48であり、PCIは普通はあり得ない治療とされるものでした 年齢は 75歳ぐらいで、患者さんは冠動脈バイパス手術を絶対拒否され、PCIになりました 今回の責任病変は石灰化を有する左冠動脈主幹部分岐部病変で、左冠動脈前下行枝の mid portionまで長く狭窄があり、左冠動脈回旋枝入口部は 99%狭窄であり、発達した鈍角枝にまで強い狭窄がありました ちなみに右冠動脈も末梢で慢性完全閉塞であり、本当に重症の患者さんでしたし、危険を伴う症例でした

これに対して、僕は右経橈骨動脈的冠動脈インターベンション7Frで入り、12:00過ぎの放映開始までには、あらかた治療を進めてしまいました やはり、チンタラした手技をすれば、患者さんに危険が及ぶ、と考えたからです カテ室の外では皆が、「うわー 中継開始前に手技が終了してしまったらば、どうしよう」と皆が騒いでいたそうです

この症例では絶対に Modified Jailed Balloon Techniqueを披露するつもりでした EuroInterventionで論文蹴られ、今は他の英文誌に投稿中なのですが、ヨーロッパの医師が見ている前でその手技を披露することは、自分の意地でもあったのです EuroInterventionの大物であられる Williams Wijns先生が座長でありましたので、もう絶対という強い意志で望みました

ゆっくりと皆に Modified Jailed Balloon Techniqueについて説明しながら手技を進めました

ライブ
僕のライブ放映中の会場の様子
ライブ

非常危険な症例でしたが、左冠動脈主幹部、左前下行枝、左冠動脈回旋枝に対して薬剤溶出性ステントを植え込み、安全に手技を完璧に終了しました これで患者さんは長生きされるでしょう

手技の最中の自分といのはなかなか見れないのですが、幸いにも参加された先生が写真を撮っておられ、それを送って下さりました それが上の写真です KK Yeo先生の的確な説明も助かりました 終わればもちろん成功を喜んで握手でした

握手
KK Yeo先生

13:00前にはカテ室を出て、その後はラーメンを食べに行ったのです そしてその日の 22:30発の SQ羽田便で土曜日 6:30AMに羽田到着しました とてもやり甲斐のあるライブでした

事の真相

どうも昨日 uploadした事実は時に遭遇した事は、根が深い可能性があります 先週まで中華人民共和国では、その共産党政権で一番重要な全国人民代表者会議(全人代)が開催されていました 当然のことながらこの期間は中国政府によるネットの監視もきつくなり、多くのサイト(正確に言えば IP address)が遮断され、中国国内からはアクセスできないようになっていました この遮断は完璧に為され、例えば外国を経由してアクセスしようとしても弾かれてしまうのです

昨日もホテル(Hotel Intercontinental Beijing)の客室からアクセスした時も挙動がおかしいのです これはやはり大きな政治的集会の前後であり、中国政府によってアクセスが制限されていたと考えるのが自然なように思います

国家としてインターネットのアクセスを制限することに対して僕は必ずしも反対ではありません 例えばテロや殺人を助長するようなサイトがあったとすれば、それは国家の責任で排除せねばならないと思います ですから、今回の全人代前後の極度の制限に関しても、自分が中国人民でないのですから、とやかく言う立場ではありません ただし、日本で同様のことが為されれば、猛反対しますけどね

良く知られて実はほとんどの人が知らない事実ですが、中国以上にシンガポールではネットの検閲、制限が厳しく行われています ネットといえどもその情報伝達のためには、有線(電気ケーブルや光ファイバー、海底ケーブルを介した電話回線や、通信回線)あるいは無線(WiFi、衛星通信、無線電話・通信回線)によってしか情報を伝達できません シンガポールは地理的にマレー半島から海峡を隔てて存在していますので、地政学的に隔絶するのがたやすいのです それで昔からシンガポールではインターネットの検閲および制限が行われてきました

まあ日本のようにどんなサイトにもアクセス可能というのも少し問題なように思います こんな僕は保守的ですかね

昨日のライブデモンストレーション

昨日は早朝起床し、プレゼンの最終仕上げをしてからインターネット経由でファイルをuploadして、それから AsiaPCR/SinLive 2013の会場に向かいました

朝から、座長およびプレゼンと働き、10:30AMに Singapore General Hospital/Singapore Heart Centerに行きました。このシンガポール厚生労働省直轄病院にはこれまでも何回も訪れ、冠動脈インターベンションをライブデモンストレーションあるいは、ライブデモンストレーションでなく、行ってきました。

症例は三枝病変の方で、既に右冠動脈は治療され、回旋枝と前下行枝がターゲットでした。一見して、「なーんだ簡単、放映時間が余るから、どうしようか」と、考えました

カテ室には、現在 Rotterdam Thoraxcenterで活躍されている小沼先生もご一緒して頂き、新しい OCTである OFDIを用いてリアルタイムの OCT image 3D reconstructionという世界最初のライブデモンストレーションをすることになりました

さっさと、回旋枝にステント植え込み、前下行枝・対角枝にもワイヤーを通し、前拡張の後、前下行枝に最初のステントを入れ、つぎにその手前に連続してもう一本薬剤溶出性ステントを植え込み、ワイヤーをリクロスしてから、OCT 3Dをして、ワイヤーが側枝に向かってどのストラットを通過しているかを調べよう、そういう筋書きで入りました

しかし、やはりライブデモンストレーションです 誰しも予想だにしなかったことが起こったのです 前下行枝に最初にステントを入れ、次のステントを持ち込もうとしたところ、バルーン先端が最初のステントに数ミリ入った部分で、一切進めることができないのです

すぐに行ったことはダブルワイヤー、そして1.5mm, 1.20mm, 1.0mm balloon, Microcatheterなど次々と色々なものを試み、さらには Guidelinerを用いて backupを強めたり、いろいろしたのですが、一切通過しないのです

そうこうしている内に中継が始まり、会場におられる錚々たるメンバーから色々なアドバイスを頂くのですが、皆これ以上の名案は浮かびません

これはまずいかも、と思いましたが、やはり流石のライブデモンストレーション達人ですね、と自分で思いますが、心は常に冷静であり、いざとなればどうするか? そこまで考え、冷静に手技を続けました

最終的にはうまくやったのです そして、その手技の途中から、これは絶対に英文で症例報告する必要がある、と思い、できる限りのデータを取得しようと考えました それで、OCT/IVUS/IVUSも行い、困難となったメカニズムを解明したのです

その詳細に関しては、論文となってから見て下さいね もっとも、助手をされた若いシンガポールの先生に書くように話しましたので、彼が書くと思いますが・・・

世の中にはビデオライブデモンストレーションにしろ、とかライブデモンストレーションでは術者が患者さんのために全力を尽くせない、とか色々な意見があります。しかし、そのような術者は当然のことながらライブデモンストレーションを行う資格はありませんし、ビデオではあの臨場感、会場の錚々たる医師と術者が一体となってその患者さんの治療にあたる、ということは不可能です やはりライブデモンストレーションは医師教育に絶対に必要な手段なのです