毎週火曜日は我々鎌倉TAVI班にとってはStructure Heart Disease (SHD) Interventionの日なのです 循環器内科のみでは可能でなく、手術場スタッフ、麻酔科医師、臨床工学士、臨床放射線技師、臨床検査技師の参加が必要ですし、もちろん心臓血管外科医、血管外科医、そしてコーディネーター、あるいはその時々で必要な時に補助して下さる関連業界の会社の方々、これら全員の力で成り立つのが SHD Interventionなのです
これらの人々が一同に介して、特定の患者さんの治療に当たるためにはやはり曜日を決める必要があります その曜日が鎌倉の場合には火曜日なのですね
今週火曜日は、何時になく皆緊張していました それは、非常に重症な患者さんばかり三例をTAVIでその日に治療する予定が立てられていたからです この果敢な挑戦に皆応えて下さりました 皆協力して下さったのです これまでも縦三例のTAVIというのは鎌倉では何回も普通に行ってきました しかし、今週は違ったのです、その理由というのは
- 三例ともとりわけ重症な大動脈弁狭窄症であった
- 三例ともTF (Transfemoral approach: 大腿動脈経由)でなく、一例が鎖骨下動脈経由、二例が上行大動脈経由
だったからです これらのアプローチには当然のことながら外科的介入が必要なのですが、どうしても大腿動脈より出来ない解剖学的理由が存在するのです 冷静に考えれば三例の extra-femoral approachでのTAVIを縦に三例行える施設というのは、世界中でも鎌倉だけではないでしょうか? きっとそのように思います
さて、一例目、事前の綿密なカンファランスのため開始も遅れました 無事終了し、30分の interceptを挟んで二例目の開始は 13:00からでした これも問題なく終了 しかし この頃より、現場は何となく殺気立ち、お互いの言葉にも棘が出るようになってきたのです 自分では気がつかないけれども、僕自身がその棘の最先端を走っていたのかも知れません
ここで、麻酔の先生が冷静に状況を判断され、二例目から三例目にかけて cool downの時間を設けて下さったのです これにより三例目の開始は 16:30過ぎになったのですが、その間に cool downされました
そして三例目に突入 もう僕は立っているのも辛いぐらいヘトヘトでした しかも、二例目にはアメリカ人のproctorが来られたのですが、この人が最悪の人でもう「アメリカ人ってなんでこんなに自分勝手なのか」と皆が感じると思いますが、その典型だったのです、僕は手技の最中にわざわざ日本語で「うるさい黙れ」と言いました そんなぐらいに僕は棘が立っていたのです この二例目も素晴らしい出来でTAVI終了したのです
三例目にはその Proctoreには退場してもらい、自分たちで行いました 僕自身はと言えばこの悪人アメリカ人がいなくなり大分冷静になりました そしてハートチーム皆の協力にお蔭で三例目も大成功に終了したのです この三例目を抜管して ICUに移送完了したのは 18:00頃でした
流石に疲れきったのですが、とってもやり甲斐がありましたし、またとても緊張し、追い詰められた場面でチームとしてどのようにその状況を乗り越えていくべきか? 色々なことを学ぶ機会でもありました