すさまじいTAVI

これから札幌に日帰り出発です
昨日は朝から二例のTAVIを行いました プロクターの先生もおられず、決断は全て私達Heart Teamで行います それでも最終的決断は自分の責任で行わねばなりません 強い心と冷静な頭脳が正しい判断を下す上で一番重要です
一例目はあっという間に終了、患者さんは終了後すぐにベッドから起き上がられ、慌てて抑えました この患者さんも80+歳で体表面積も1.25程度しか無い非常に小柄な重症大動脈弁狭窄症の患者さんでした TAVIの威力をまざまざと見せつけました
次の症例はもっと小柄でもっとご高齢な女性でした 非常に重症な大動脈弁狭窄症であり、圧格差が140mmHgぐらいありました 本当に突然死寸前だったと思います ご高齢女性で良く見られるように非常に蛇行した大動脈で、下肢動脈も細く、trans-femoral approachの限界症例だと思います 日本人の高齢女性は一例目もそうですが、腰椎や胸椎の圧迫骨折が多く見られ、必然的に大動脈が折りたたまれていますよね もともとの体格が大きければこれはTAVIをやるにあたり大きな問題ではありませんが、小さいと、丁度デバイスの力を伝達するシャフト部分で大きく屈曲するため、本当に位置決めなどがやりにくくなります。
石灰化も高度で大動脈屈曲はひどく、左冠動脈も低く、本当に危険な症例でしたが、皆の力を併せ、無事大成功に終わりました しかも、時間もそんなにかかりませんでした 本当に本当にとても素晴らしい、と思いました

TAVIに関する発見

TAVIを行う時には、丁度弁輪の高さに SAPIEN-XT弁付きステントを持ってきます。この時に問題となるのは、弁輪の高さ (大動脈から左室にかけての長軸に沿った高さ)なのです

従来これに対して、事前のCT大動脈造影を用いて立体構造を可視化しして、適切なレントゲン投射方向を事前に検出したりもされます。しかし、問題はCTの時には、撮影の方法として上肢を挙上したり、あるいは枕の位置など必ずしも透視下でTAVIを行う場合とは体位が若干変化します これにより、CTで検出した「弁輪に直交する角度」がずれます

このため、実際にTAVIを行う時に、大動脈基部で造影し、左冠動脈洞、右冠動脈洞、無冠動脈洞の底が一列に並ぶようなレントゲン投射方向を用います

ところが、往々にしてこの一列というのに若干のずれがあるのです 何よりTAVIの対象となる患者さんの大動脈基部から弁は石灰化が強いため、造影と石灰化の混ざりのために、なかなか和かりにくいのです

では実際にこの弁輪に対して直行する方向と若干ずれた時に、どれぐらいの位置ずれるのでしょうか?
Annulus
良く考えれば、どうずれたとしても、実際の弁輪面は、各冠動脈洞の底 (理想的には、この底を結べば正三角形となりますよね もっとも実際には正三角形ではありませんが・・・)、図では白で書いた正三角形ですが、その三角形の面にある訳ですので、冠動脈洞の底を結ぶいかなる二本から三本の直線の間に存在する筈です

ところで、この「間」という言葉が曲者なのです どうしても、手技の最中にはこの「間」ということを「真ん中」と見做してしまうのです そこで手技中の位置調整において、ステントの真ん中を直線の真ん中に合わせようとします

しかし、ここで中学算数を思い出さねばなりません それは、「正三角形の中点連結定理」なのです これによれば、正三角形の重心は、頂点から辺に対して垂直に下ろした直行線に存在し、その位置は 2:1となるのです。ですから、「真ん中」というのは間違いで、実は辺に向かって 2:1 の位置にステントの真ん中を合わせねばならないのです。

うーん ここまでの考察 今後のTAVI手技の参考になれば良いです

満足する結果のTAVI

TAVI終了 相当に緊張しました でもその一方でTAVIの威力をまざまざと体験しました

本日の患者さんもとても小柄なご高齢の方ですが、かつて と言っても数年前に世界的に有名なマラソン大会で完走されたという伝説的な記録を持たれています もちろん世界最高齢でのマラソン完走でした

そんな方がこの手技により、再び輝くことができればこれは最高です

しかしながら本当に我々は良いハートチームを形成したと思います 本日もお互いに気づいた点を指摘しながら自分たちの判断で全て行いました 皆の力が反作用するのではなく一つの合力となって素晴らしい結果につながったのです Singaporeをキャンセルした甲斐がありました

本日は緊張のTAVI

本当は水曜日深夜便でシンガポールに入る予定でした AsiaPCR/SinLive 2014の Co-directorとして ライブデモンストレーション術者、講演、座長、moderatorsなどとたくさんの仕事があったのですが、急遽本日非常に重要なTAVIを行うことになり、火曜日の時点で全ての仕事をキャンセルしたのです

昨夜は十分に休みを取り、体調は万全です 午後に全神経を集中しTAVIを行う予定です

Singaporeの仕事をキャンセルしたため、急に三日間の空白が生まれましたが、今になってみれば、この空白は僕が僕であるために必要な空白であったような気がします

今日もTAVI

本日は二例のTAVIを行いました 一例目は straightforward な症例で 35分で問題なく終了しました

二例目は当初より危険を伴う症例と考えていましたが、何とか大きな問題なく切り抜けました

今回は誰も プロクターの先生無しで、全て我々ハートチームが判断して実施したのです このことにはとても意義があると考えています とても良いチームが形成されています ありがたいものです

やったね

ただ今 今朝のTAVIトランスミッション終了

さるお偉い方々より、「未だ未熟なんだからライブデモンストレーションではやるな」というお達しが来ませんでしたが、そのようにも自省して、ライブデモンストレーションでTAVIを放映することは差し控えました

しかし、多くの冠動脈インターベンションの人々がこの素晴らしい治療に目を向けられ、今後世界で一番の高齢化社会に突き進んでいる日本において、今後も多数の患者さんが発生すると思われるこの日本において、日本の発展の礎を築かれたご高齢の患者さんが人生の最後のステージで安楽な生活を送れるようにするために、この素晴らしい治療が必要なのですが、それを多くの有能な医師が行えるようになり、日本の社会に役立つように、そんなごちゃごちゃして思考の中で、TAVIのビデオ放映、そして実はその裏で同時進行で実際の治療が進行している、そのようなことを目指しました

結果的には大成功でした 実治療については、ビデオよりも早く終了しました 結果も素晴らしいものでした

これから再びTRIの世界に戻ります 実際TRIの世界とTAVIの世界は、全く違うのです それについては改めて別の機会に紹介しましょう

いやあ今日は素晴らしいTAVI

本日もTAVIを行いました 困難で危険な症例でしたが、絶妙の判断とテクニックで素晴らしい結果に終わりました そして、全編ビデオ撮影しました これは教育的にも素晴らしいビデオとなることでしょう
このビデオは来るライブデモンストレーションにおいて使用するかも知れません
日本人の患者さんに対するTAVI (TAVR)に関しては、まだまだ未知の分野が多く存在し、この治療法を真に必要とされている重傷な患者さんに福音をもたらし、あるいは未だ重症には至っていないけれど、年齢と共に進行し、将来の治療に対して不安に思われるいる潜在的な患者さんに安堵をもたらすためにも もっともっと頑張りたいと思います

昨日と今日

昨日は午後から、福島県の白河で開催された心臓の研究会に呼ばれ、講演をしてきました 病院を15:30頃出発し、東京駅から東北新幹線に乗り、新白河駅で下車しました 会場は新白河駅から徒歩三分のホテル・サンルート白河でした

内容は腎動脈除神経高周波焼灼術(Renal Denervation: RD)と、TAVIの話をしました その後、懇親会では非常に盛り上がりましたよ それから新幹線で自宅に戻ったのです 自宅に着いたのは真夜中の0:00AM頃でしたが、玄関の前で自宅の鍵を探したらば、「無い!」

一瞬慌てたのですが、よくよく考えれば、病院を出る時、その日は珍しく普段着用しない白衣を来ていたのですが、そのポケットに忘れたに違いない、そのような思い直し、すぐに慌てる心を静めました

だって、今朝はTrans-apical TAVIの日だったのです、とても緊張する手技、そして劇的な効果を持つ治療、その日だったのです 朝、病院に着いたのですが、鍵は部屋の中の白衣ポケットなので部屋そのものを開けることができません だから、術衣に着替えカンファランスに臨みました

ところでそのTAVIですが、大成功に終了しました この1例1例毎の積み重ねが自分を強くし、患者さんにたくさんの喜びを与え、そして前に進んでいくのです

韓国心臓病学会講演終了

今金浦空港ラウンジで、帰国便を待っています 韓国心臓病学会最終日の講演は無事終了しました 自分でも満足の内容でした

正直最近の日韓関係の冷え込み、これは行きかえりの飛行機の空席でも分かります これまでは常に満席状態だったのですが、少なくとも行きの便は30%ぐらいしか席がうまっていませんでしたした、このラウンジの状態では戻りの便も空席率は50%以上でしょう それ程にも日韓の関係は冷え込んでいるのです そのような状況の中で僕の講演もどんなことになるやら・・・と危惧していたのですが、韓国の先生方は優しく迎えて下さいました ありがとうございます

今、この病院母体を巡る事件の影響でとても辛いのです これまで25年間に渡り数多くの方々のご協力、ご支援の中でここまで頑張って、それなりに少なくとも一流半、あるいは一流の病院に、この鎌倉病院をゼロから持ってきました それがこの一連の事件で瓦解しようとしているのです 自分の人生をかけた25年間、そして色々な人々と歩んだ25年間、それが全て流れ去ろうとしているのです

自分でこの大きな流れに逆らうことはできません ひたすら 奔流の中でしなやかに根を張り続ける水草の如くに生き延びなければなりません

これまで鎌倉病院を開いてから、30,000人ぐらいの患者さんを治療してきました そのことはその方々のためにも否定して欲しくはありません 否定されてはいけないのです そして、今 新たな治療TAVI、これに関しては今現在でも日本国内で8つの大病院でしか治療ができない高度先進医療なのです その実績を否定させてはなりません

自分ではこの状況に対してとても腹が立ちます そのような状況に陥らせた人々に対して怒りを覚えます 許しがたい思いです でも、そんなバカ達とは一線を画し、先に進んでいきたいと思います