この治療は何だか僕の気性にあっているなあ

本日 6例目の W治療をしました 何だか既に体が覚えてきている感じです というか 何となく経皮的冠動脈インターベンションと似通っているように感じるのです

実は全く違う手技なのに何ででしょうかねえ mm単位の微細なコントロール しかも信じられないくらい強い力をかけねばならない時もあるのです その静と動、あるいは微かな力と、強力な力 それらの間というものが経皮的冠動脈インターベンションの世界に似ているのでしょうか TAVIとは全く異なる世界です

さらには、どんどんどんどん新しい治療が導入されていきます その際には、厳しい倫理基準の下で手続きに則っての臨床試験が必要です それでもそれらのややこしい手続きを乗り越えるだけの熱意が必要ですし、それをサポートする病院内の皆の力の結集が必要です もちろん頭だけではなく医術して技術的に完璧でなくてはなりません

うーん何処まで僕がこの未知なる道を進んでいけるでしょうか? でも今日の一例目の患者さんにヒントがありました この患者さんはこの湘南鎌倉総合病院循環器内科で20年以上前に急性心筋梗塞のために治療し、それ以降経皮的冠動脈インターベンションも何回か、その途中で色々な致命的な疾患にかかるも当院での治療で色々な疾患を乗り越えて来られ、また不整脈治療も行われ、それこそ何回も何回も大きな障害を乗り越えて来られたのです そしてもちろん現在は 80歳を超えられているのですが、未だにお元気で、今後の色々な病気の再発を防がねばならないのです

そんな中、今回のW治療は本当に必要とされている治療なのです それを行うことに邁進していく、それが僕の進む道なのでしょう 道半ばで倒れるまで続けなくてはなりませんね

火曜日、水曜日とTAVIにつかり

日本循環器学会開け、というか連休明けの火曜日(3/21)には二例TAVI施行 もう大分前から大腿動脈は穿刺そして止血は Proglideとなり、ものすごく早くなり、また麻酔は麻酔科の先生が非常に先進的で大分前より Conscious Sedation without Tracheal Intubationとなっていて麻酔前後がものすごく短くなり、さらにはこの状況で必要に応じて自由に経食道心エコー法を行うという秘策を麻酔科の先生が編み出され、これによってTAVI手技時間がとても短くなって、しばしばベッドが埋まっていて Hybrid Roomより患者さんをすぐには動かせずカテ室内で待たねばならない、という状況も発生しているのです

そんな訳で一日二例なんて物足りない物足りない 軽く一日縦に四例が可能な状況となっています まあ、それを実際に行うか否かは患者さん次第であり やはり競争の厳しい神奈川県下の民間病院としてはなかなか厳しいものがあります

そして火曜日は夕方移動し、本日水曜日は朝から他院でTAVIの Proctorをしてきました なかなか素晴らしいTAVIであり、Proctorをしていた僕もとても嬉しく思いました

明日は神奈川保険医協会での講演がありますが、以前の講演スライド調べていたらば、何と 1998年11月22日にも同じ神奈川保険医協会で講演をしていたことが分かりました その時のファイルを見ていたのですが、既に約20年前のこの時期に同じような内容の経皮的冠動脈インターベンションを行っていたことを実感しました 良く言えば「当時から先進的であった」のですが、悪く考えれば「相変わらず進歩がない」ということになります そのどちらであるかは今後の自分自身の生き方が決めるのでしょう

ついでに自分の .pptファイルを調べてみたところ、1998年7月6日の発表分がファイルとして残存する最古のものでした これ以前は Film Printerを用いて 35mm Slideとして作成していたのですねえ あの当時を思い出しました そんなふうに苦労して作ったスライドは全部無くなりました しかし、パソコン上にファイルとして残してある .pptはそのまま残っていて自分がどのように行きてきたかの証の一つです

それにしても これが医学の進歩か?

本日も朝からTAVI 今日は、二例分 穿刺と止血のビデオ撮影もしました これは TokyoValves2017に使うためのものです TokyoValvesとしても、EuroPCRや LondonValvesのように、模範となる(すっ、すみません 自分の手技が模範である、とは決して言っていませんので・・・)手技のビデオを Video-in-Boxという型で集約しているのです

これらのビデオがあれば、これから手技を学ぼうとする若い人達が、それを参照することによりより効率的により安全に手技を学べるであろうからです

穿刺と止血の部分をビデオに収め、本番手技は部下に変わりました 助手として本番手技を見ながら、あるいは介助しながら見ていました

僕が初めて TAVIの世界に術者として入ったのは2012年1月です 治験で初めて植え込みをしたのです もちろん、その前に外国で実際の植え込み手技の見学や、各種のトレーニングを受けたのですが、実際に自分の手で植え込みを行うことは、全く異なる世界でした

当時は、TAVIに関する学問的知識も未成熟であり、世界中の術者は何が正しいのか分からない状況の中で技術と医学を磨いてきたのです 辛い日々もありました 自分の無力を痛感する日々もありました

未だまだ改良の余地のあるディバイスを用いねばならない時代でしたので昔、そうそれは 1981年だったのですが、その頃 バルーンのみ、しかも Gruntzig Old Balloonを用いての危険な手技、そのような時代をTAVIも過ごしてきました

しかし、その間にディバイスも進化しましたし、術者の技術も進化しましたし、何より学問としての経験も進化しました これによりほんの数年前に比べてもTAVIはより安全に、より有効にそしてより負担が少ない型で行えるようになりました 今日、助手として手技を見ていて今更ながらそれを痛感しました これがこれが医学の進歩なのか そんな風に思いました

そして、思うことは、「自分は何時まで この急速な医学の進歩の最前線に立ち、そしてついていくことができるのだろうか?」

SirolimusかPaclitaxelか

昔は良く、SES (Sirolimus-Eluting Stent)か PES (Paclitaxel-Eluting Stent)か? なんて論争をやりましたよね 大抵は、そのどちらかの会社 具体的には前者は Johnson & Johnson Cordis、そのして後者は Boston Scientific の2つの DES大会社が後ろについて、色々な資料を準備すると共に、せんのう いや 失礼 言葉が悪く不適切、 丁寧な説明をしてくれて、その膨大なデータをもとに、「いやこちらのDESがいい」とか、「いやこちらのDESも決して悪くない」とか、「糖尿病患者さんにはこちらのDESが良いのだ」とかいう主張を高らかにする、その debateで時間が過ぎていき、簡単に一時間の講演が終わるのでした

かく言う私もそのような論争に加わっていましたね まあ実際にどちらのDESを実際の患者さんに植え込むかは、臨床試験の結果のみでは決まらず、色々な難しい判断がある訳ですが、医師たるもの、基本はその目の前の患者さんに対してはどちらが良いか、という判断を行っているものであり、臨床試験の結果には必ずしも左右されないものなのです

それに色々な臨床試験の結果は決して一律的ではなく、どちらのDESもサポートしてしかるべき結果なのです こうなると、何を信用して良いのか分かりません

さて、

 J Am Coll Cardiol. 2017 Feb 14;69(6):616-624.
10-Year Clinical Outcome After Randomization to Treatment by Sirolimus- or Paclitaxel-Eluting Coronary Stents.

Galløe AM, Kelbæk H, Thuesen L, Hansen HS, Ravkilde J, Hansen PR, Christiansen EH, Abildgaard U, Stephansen G, Lassen JF, Engstrøm T, Jensen JS, Jeppesen JL, Bligaard N; SORT OUT II Investigators.

という論文、実は今朝の循環器内科毎朝抄読会のネタだったのですが、まあこれによれば、SES or PES (具体的な商品名としては、CYPHER or TAXUSなのですよ、念のため)を植え込んだ後、年率 1.3%で両者ともステント血栓症が 10年まで一定の頻度で発生し、見方によれば、 CYPHERの方が TAXUSよりもその発症頻度が高い場合もある、という結果でした

うーん 何と言うか予想通りですが、これまで僕達が漠然と抱いたいた DES後のステント血栓症発生率は 年率 0.5%である、というイメージよりは大分悪いことになります

もちろん、CYPHERも TAXUSもDESとしてはポリマーが完全に残る第一世代DESであり、しかも、CYPHERは非常に固く、その力学的特性から慢性期には悪影響を及ぼしやすいだろう、という人もいたくらいです ですから結果に関してはそれほど驚きではないのですし、まあ10年もすれば、動脈硬化も進行するので、どこまでが植え込まれたDESによるものか分からないとも思うのです

実はそんなことを話すためにこの論文を引用した訳ではありません これは生き方の問題なのです

この論文・研究は 世界で住民が一番幸せ、とも言われている Denmarkで行われたものなのですが、著者リストの三番目に注目して下さい Dr. Leif Thuesenという名前があります 日本に SAPIEN-XT導入時 一年間に渡り日本国内に滞在され、Proctorとして日本全国を回られた先生です 実は彼は、もともとが Coronary Interventionalistであり、あの Bifurcation trialとして有名な Nordic Studyの中心人物なのです

彼は、Nordic Countries = (Denmark, Norway, Finlandというバルト海を囲んだ三カ国)を度々周り、カテ室を訪問して、このような studyの重要性を説き、そして臨床試験や臨床研究を次々と成功させてきたのです 何故この中に Swedenが入らないか? ですって 良い質問です Swedenには SCAR Registryという大掛かりなDESレジストリが存在するのと、とにかく一国で経済的にも人工的にも大きすぎ、あまり三カ国と一緒にできないのだそうです

思い出せば 2016年1月後半、Thuesen先生と一緒に僕も Baltic Countriesを周り 慢性完全閉塞PCIをしたり、SAPIEN3の植え込みをさせて頂いたりしたのです とても楽しく有意義でした その時のことはブログのここにあります

ココらへんのブログにも書きましたが、実は Thuesen先生は僕よりも5歳ぐらい年上の先生なのです その先生がPCIのみならずTAVIの世界にも入っており、現在なお第一線で臨床医として活躍されている姿 それを見て奮い立ったのです 素晴らしい

本日のTAVI

本日は朝から二例のTAVI 非常にスムーズに終了しました それなりのリスクを予期し、対応することにより安全に有効に終了しました これが医学という科学の進歩ですね

それにしても連日ハード いや 夜の飲み会も含めてなのですが それでしんどいです いい加減ハード過ぎますねえ

いやあ昨日も Exciting dayでした

昨日は朝から二例 W治療を行いました うーん 治療の名前を表に出せないのが辛い

色々と山あり谷ありでしたが、すっかり大成功に終わりました もちろん患者さんにとっても、誰にとっても有害事象はありませんでした しかし Excitingです

まあPCIも良いですが、全く違う良さがありますね しかも患者さんにとっては大きな福音です 早く日本でも広く使用できるようになり多くの患者さんに福音が訪れれば良いです 早くその日が来るように僕も頑張ります

そして、昨夜は遅くまで飲みました はしごしてしまいました 気持ちが良かったからです うーん

Brockenbrough

Brockenbroughというのはもちろんそれを考えだした医師の名前でありますが、大腿静脈より長い穿刺針を右房に挿入し、心房中隔を穿刺し、左心房にカテーテルを挿入する方法です

編み出された当初は、単に診断カテーテルのために行われていましたが、経皮的経僧帽弁的交連裂開術(PTMC)が井上先生に考案されてからは、PTMCの手段として、またその後カテーテル・アブレーションとくに心房細動に対するカテーテル・アブレーションが行われるようになり、高周波カテーテルを左心房に挿入するための手段として盛んに行われるようになりました

僕自身はと言えば、何と 1977年よりこの手技を行ってきた多分現存する最長の経験を有する術者です もちろんその歴史の多くの部分は診断カテーテルの手段として行ってきました

ところがどっこい、この手技は現在 TMVR: Transcatheter Mitral Valve Repair = 経カテーテル的僧帽弁修復術には必須のテクニックとなりました そして昨日日本人患者さんに対して最初に、あるいは二例目、三例目として行った手技でも必須のテクニックとなりました

もっとも、これらの手技では左心房穿刺を心房中隔の下縁そして後縁で行う必要があり、これまでのように針先の感触のみで卵円窩を検出し、そこで穿刺する古典的テクニックとは完全に異なり、経食道心エコー法により針先が何処にあるか確認しながら行われます このような方法に従来の古典的方法から移行するのはそれなりの技術的あるいは心理的バリアを超える必要がありますが、僕はこの歳でもそれが可能でした その可能であったという事実を確認できただけでも昨日は大きな収穫でした そうですまたまだパラダイム・シフトすることができたのです

昨日のTAVIと、本日

昨日はTAVI 二例実施、一例目はアメリカに旅立つ落合くんの独立に向けての症例でした もちろん万全の体制でばっちりでした

二例目は開心術後の難しい患者さん 非常に緊張しながら行いましたが、非常にうまく行きました これしか無い! というピンホール的手技でした 終わればすぐに患者さんは覚醒され、「えっ、もう終わったのですか?」ととてもお元気に話しかけられました 素晴らしいです

その後二件の緊急PCIもあり、心臓外科の先生方にも大活躍して頂きました そして、今朝は早朝 3:30AMに起床、「お前 それは時差ボケだろ」と言われますね 今 6:00AM 札幌日帰りの旅のため羽田空港に向かっています

昨日の顛末

昨日は朝から緊張の一日でした それは朝からTAVIを三例するということだけではありませんでした そもそも三例縦で行うことは初めてではなく、9:15AM入室で行っても、だいたいの場合15:00にならずに終了してきたのです

しかし、昨日は大きな弁輪であり 29mm Evolut-R上限の患者さんであり、かつSOVが大きくなく、しかも左室流出路、弁輪、弁腹、STJなどには強い石灰化があり、balloon-expandableでは弁輪破裂の危険が非常に高い、と予想された患者さんです 皆様方 Vmax > 5m/Secという重症大動脈弁狭窄症でした

しかも、二例の方々が心機能非常に悪いのでした しかも、まだあります 昨日は TokyoValves2017用のビデオ撮影の日でした その三例をビデオ収録したのです

これらが併さりものすごいストレスを自覚し、緊張の一日だったのです

結論から言わせていただけば、この緊張の中、一本のロープをうまく渡り切るように、乗り越えました

そして、三例の中でも最重症例の三例目の方、予想通りというか、恐れていたとおりに、非常に危険な事態に陥りましたが、それを乗り越えました そして、今朝 6:50AM頃 ICUに行くと、非常にお元気でニコニコされており、僕と気づかれ、看護師さん、僕、患者さんの三人で握手をして無事乗り越えたことをお祝いしました

本当に嬉しかったです それと共に、大きな自信につながりました もちろん僕だけの力によるものではなく、チームとしての鎌倉ハートチーム皆の力によるものです 心からみんなにありがとうです 良かった良かった

怒涛の一週間が過ぎて

先週は鎌倉、サンディエゴ、東京、堺、姫路、京都、鎌倉と飛び回り一週間がとても忙しく過ぎました 流石に疲れ切ってしまいました

先日は月曜日、外来診療の後 久しぶりに鎌倉でPCIをしました 何時まで手技を続けるのでしょうか?

そして本日は火曜日、12月から1月末まで二ヶ月かけて鎌倉のハイブリッド室の機器更新をしていました もちろん以前のマシンでもTAVI、MitraClip、Watchmanなどのいわゆる Structured Heart Disease Interventionは可能であり、またStent Graftなども可能だったのですが、マシンも相当に古くなり、そして何より解像度その他の点で不満足でしたので、二ヶ月間完全にこれらの手技を停止し、マシンの入れ替えをしてもらったのです

という訳で本日は2ヶ月ぶりにTAVIを行いました やはり久しぶりになので少し緊張しましたが、バッチリ 素晴らしい手技でTAVIを行うことができました いやあTAVIはいいなあ PCIのようにネチネチしたところがありません いや失礼 ネチネチなんて言葉はいけませんね そうでなくてバシッと手技的に決められる、その点がいいなあ