貿易戦争勃発

先日開示した中国における薬剤溶出性ステントの価格の話ですが、その後トレースするとどうも真実らしいのです。最初は「まさか」と思っていましたが、真実のようです。これをどのように解釈するかですが・・・・

まず素直な解釈として、COVID-19ワクチン開発やそのコントロールなどで多額の出費が必要である中国政府としては、その費用捻出のために医療費削減に大きく動き出した、というものがあります。このような方法が日本のような民主国家で可能か否か? は疑問がありますね。

次に、大胆な仮説としては、これは中国政府と米国政府の貿易戦争序章の幕開け、というものがあります。もともと医療器具開発会社は米国のものが多い訳ですから、薬剤溶出性ステントの価格カットをすれば、もちろん中国の医療機器開発会社も相当なダメージを受けるでしょうが、ここは中国政府からこっそりとテコ入れがあるでしょうから何とか切り抜けるかも知れません。それよりも米国企業が徹底的なダメージを被ることになるでしょう。それは翻って米国企業から米国政府に対する相当な圧力となり、結果的に米国政府が矢面に立たされることになります。

僕のこの第二の仮説の方が真実味があると思います。要するに薬剤溶出性ステントの価格そのものは中国政府にとって本筋ではないのです。米国政府を交渉のテーブルに引き出すことが目的であり、そのような戦略である、と考えます。

中国の革命

新年になり経皮的冠動脈インターベンションに関する中国国内の状況を入手しました。COVID-19が始まる前から中国には長いこと訪問していません。以前は毎月のように中国各地を訪問し、経皮的冠動脈インターベンションの普及に努めてきました。PCIの基礎に始まり、分岐部病変、そして経橈骨動脈的冠動脈インターベンション(TRI)の導入、さらには慢性完全閉塞(CTO)に対するPCIなど先頭に立ってこの30年間中国のPCIを引っ張ってきました。

しかし、最近のニュースは衝撃的です。革命により中華人民共和国が誕生し、ここまで大きくなってきましたが、中国は未だ革命の精神を忘れてはいないようです。それが、大胆な価格革命です。何と、これまで11,000 RMBであった薬剤溶出性ステントの価格が 600 RMBに強制的に価格が引き下げられたらしいのです。これは日本円にして17万5000円程度であった薬剤溶出性ステント1個の価格が、何と突然 9,500円になる、ということです。また、バルーンもこれまで 3,000 RBMであったものが、170 RMBつまり、4万7,600円であったものが、バルーン一個 2,700円になる、ということです。

こんな急激な価格引き下げに生産している企業は耐えられるでしょうか? そこには資本主義社会で成り立っている市場原理は働いていません。

しかしながら、Electrical Vehicle (EV)の代表である「テスラ」がもたらした革命的な概念変化が可能であったように、技術革新のためにこのような価格革命が本当に可能となる日が来るのかも知れません。日本はこれまで眠れる獅子の如くのんびりと構えて来たように思います。中華人民共和国の共産党一党独裁による民主主義を踏みにじるような独裁的発想に与するつもりはありません。しかしながら、COVID-19のような人類生存の危機に瀕しているような場合には、生存のためにそのような発想が必要かも知れませんね。ただし、大前提としては、とても優れた指導者あるいは指導グループの存在でしょう。そこにはAIの力と強力な情報収集力が必要でしょう。

これから先、どのように変化していくのか? 先を見るのが楽しみです。