昨日のライブ

韓国全羅南道の道都 光州 (GwangJu)にある全南国立大学 (Chonnam National University)で開催された第10回GICS (GwangJu Interventional Cardiology Symposium)は当然のことながらそのメインはライブデモンストレーションでした。しかしながら、韓国で運用強化が開始された外国人医師による冠動脈インターベンションに対する規制、その事実上最初のテスト・ケースのため僕を含め、外国人医師は手技を行うことができませんでした。

何でも、去年後半から日本人医師が韓国のあちこちで冠動脈インターベンションを行い、その際に日本のメーカーが韓国で認可のとれていない医療機器を持込み、患者さんをPCIにより治療した例が相次ぎ、それに対して何処かの病院でどこかの医療機器代理店が KFDA (Korean Food and Drug Administration)に告発し、規制が強化された、という噂です。

僕は最初にカテ室内に入り、マイクをつけて しかし清潔にはならずに韓国の先生が手技をされる後ろに立ってアドバイスをする、そのような感じでライブデモンストレーション放映が開始されました。もとよりその症例は僕が治療することになっていた症例であり、70歳の男性労作性狭心症患者さんでした。他の病院で造影が為され、左冠動脈回旋枝末梢の慢性完全閉塞と、非常に発達した右冠動脈の慢性完全閉塞が発見されました。その病院で右冠動脈に対するPCIが試みられたのですが、ワイヤー不通過で失敗に終わり、全南国立大学病院に転送となった患者さんです。SPECT (Single Photon Emission Computed Tomography)では右冠動脈領域の虚血が証明されました。

韓国の先生により、両側大腿動脈穿刺で手技が開始され、順行性アプローチで開始となりました。当初、マイクロカテーテルと Fielder Xtreamで入り、次にWhisper-MSそしてMiracle3と変えて行きましたが、ワイヤーは通過しません。その辺りで放映は別のカテ室に変わりました。その時、神様が降りてきました。その神様が術者に乗り移り、ワイヤー先端の形状を変え、再度試み、それでも通過しないと見るや、素早く Conquest-Proに変更され、非常に硬い石灰化したかつ強い線維性組織からなる慢性完全閉塞病変を通過し、通過したと見や、高速回転を加えることにより病変によるワイヤーのトラップ抵抗を低下させながら右冠動脈末梢#4PDに通過させました。

しかしながら神様を持ってしても、病変は非常に硬く、1.0mm balloonでも通過できず、かといって Tornusは認可されておらず、このため 5Fr子カテを用いて再度 1.0mm balloonが試みられましたが、これも全く効果がありませんでした。神様はそこで素早く対側造影 5Frを 7Frに交換し、おもむろに前下行枝からの逆行性アプローチを開始し、素早く逆行性ルートから #4PDに 2.5mm balloonを挿入し、そこで順行性Conqeust-Proをアンカーし、これによって順行性にバルーンを通過させたのです。そして最終的には 2.75mm stentが病変部に入ることまで確認し、そこで神様は去って行きました。そして、再度中継が開始され、この韓国人の患者さんは無事治療が成功したのです。

その間僕は一部始終を見ていましたので、中継カメラに向かってもちろんガウンも手袋もはめてない状態で会場に向かってこれまで神様が行われた手技について解説しました。要点は、限られたデバイスしか無い状況でどうやって局面を打開していくのか?ということでした。

その後、すばやく会場に入り、そして自分の割り当ての講演を行い、そしてすぐに光州空港に向かい、金浦空港経由で羽田に戻りました。自分の体からはホンオとにんにくの匂いが漂っていた筈ですが、自分では臭わないのですよね。

投稿者: (KAMAKURA & SAPPORO)Dr_Radialist

Expert Interventional Cardiologist and Amateur Computer Programmer

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