ようやく雪の札幌へ

今朝の便で札幌に入りました 事実上雪に覆われた今季初の札幌です ようやく冬らしくなりました
昨日は体が大きな方のTAVIでした 大成功に終了し、嬉しく思います 冠動脈の慢性完全閉塞の治療をこれまで長年してきました 慢性完全閉塞、特に右冠動脈の慢性完全閉塞を無理やり開け、そこに薬剤溶出性ステントを植えこんだりして、その方の生命予後が本当に改善するのであろうか? そんな疑問にずっと取り憑かれてきました

もちろんこのような重要な命題を解明するためには、前向きの臨床試験を行うべきである、それが現代の Evidence-Based Medicineの主張です この場合に当てはめれば、右冠動脈の慢性完全閉塞患者さんを母集団として

  1. 右冠動脈慢性完全閉塞に対してPCIを行った患者さん
  2. 右冠動脈慢性完全閉塞に対して内科的に経過を追った患者さん
  3. 右冠動脈慢性完全閉塞に対して冠動脈バイパス手術を行った患者さん

の三群に無作為化する必要があるでしょう さらに、1群については、慢性完全閉塞開通に成功した患者さんと、不成功に終了した患者さんにサブ解析する必要があるでしょう

3群というのは、右冠動脈のみを目標として冠動脈バイパス手術することは普通あり得ないので考える必要は無いでしょう

問題は、必ずしも一枝病変ではなく、色々な背景因子の違いがあるので、完全に無作為化するためには、背景因子の違いを吸収するために随分と大きな母集団が必要でしょう あるいは、厳密なinclusion criteriaを設定する方法もありますが、その場合でも篩から落とすためには、最初の母集団は巨大となり、また出てきた結果は、母集団の一部しか反映しないことになります

そう考えるとこのような臨床試験は現実に可能でしょうか? 企画する方、たとえば某国立大学の教授先生などは自分で患者さんと接しないので頭の中の世界なので可能でしょう

しかし、僕のように毎日患者さんと接している立場からすれば、そんなこと可能でないし、そもそも無作為化してしまって良いのだろうか? という疑問が湧いてきます

やはり自分としては「患者さんやご家族が求めるのであれば」その希望に添って全力を尽くしたい、そのように思います この考えが、EBMのための科学的方法論から逸脱するのは十分に理解しています しかし、個々の一人の人間としての患者さんを相手にした時には、そんなに簡単には割りきれません

そんな色々な心の迷いの中で、「右冠動脈のの慢性完全閉塞を開けて、本当にその患者さんに対して良いのだろうか? 生命予後が改善するのだろうか?」という疑問がずっと僕の心の中に取り憑いていました

しかし、例えば昨日のTAVIに患者さん、この方は 10年前に右冠動脈の慢性完全閉塞に対してPCIを果敢にも行い、薬剤溶出性ステントを植え込み、その開存性は今回の選択的冠動脈造影でも確認されています その方はずっとお元気に社会的にも活動されてきましたが、この10年間で大動脈弁狭窄症がとても進行し、重症大動脈弁狭窄症となってしまったのです

他にも色々な合併疾患がある方なので、外科的大動脈弁置換術ではなく、TAVIによる治療が選択されました

そんな患者さんでしたが、非常にうまく治療が終了し、やはり右冠動脈の慢性完全閉塞を昔開けて良かった、そして今回もTAVIで治療できて良かった、そのように本当に心から思いました

投稿者: (KAMAKURA & SAPPORO)Dr_Radialist

Expert Interventional Cardiologist and Amateur Computer Programmer

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