DetroitでPCI

10/09(火曜日)には 8:00AMより院内ライブという形式で、三例のカテを行わせて頂きました。一例目は Ad-hoc caseでしたが、幸い大丈夫な結果でした。右橈骨動脈より5 Fr multi-purposeカテを用いて左右選択的冠動脈造影を行いました。実は橈骨動脈穿刺、ドキドキでしたが、きちんと anterior wall punctureでスイスイと終了しました。

二例目も ad-hoc caseでした。この方は冠動脈バイパス手術を既に受けておられましたので、左橈骨動脈からのアプローチでした。左TRIと言えば゛、もう5-7年前ですが、EuroPCR in Parisでのライブデモンストレーションに、Clinique Pasteur in Toulouseよりライブデモンストレーションを飛ばした時のことを思い出します。僕に対する放映時間は 40分でしたが、LITA (左内胸動脈) – LAD (左冠動脈前下行枝)バイパス術後で、バイパス経由で左冠動脈前下行枝の末梢 90%狭窄に対して薬剤溶出性ステントを植え込む、というものでした。あそこは全身麻酔しているので、脈拍も弱く、穿刺に難渋しました。もとより、左橈骨動脈というのは慣れていないのです。ライブデモンストレーションで1,000人以上の世界中の Interventional Cardiologistsが固唾をのんで見守っている中でです。会場には Jean Fajadet先生が司会をされているのです。当時は穿刺から見せる、というコンセプトでしたので、穿刺から開始しました。しかし、全然入らないのです。何回も穿刺するのですが、全然入りません。会場も、「どうなろんだろ?」という雰囲気、張りつめた雰囲気が伝わってきます。僕は背中が汗でビショビショです。もちろん冷や汗です。途中で何回も、中継時間後何分とか、言われます。

最後に神様が来られました。ようやく残り10分で穿刺が入ったのです。それからは早かったです。5Fr sheathを入れ、5Fr LIMAを用いてdouble wireでLIMAに深く挿入し、あっと言う間にTAXUS Expressをダイレクトで植え込んで、放映時間3分ぐらいを残して完璧に終了したのです。会場は大喝采でした。

ということで、それほどに僕は左橈骨動脈穿刺に対して精神的弱さを持っているのですが、これも一発で成功し、5Fr MPにより右冠動脈、大伏在静脈グラフト3本を造影し、JL4.0で左冠動脈を、そして4Fr LIMAで左内胸動脈グラフトを造影しました。どうやら責任病変は対角枝の90% + 99%病変でしたので、PCIに移行しました。しかし、これが強者でした。ワイヤーを通過させるのもものすごい抵抗でしたが、やはり、1.20 mm balloonも通過しません。幸いFront-runnerがありましたので、それを用いましたが、全く歯が立ちません。Tornusもありましたので、用いましたが全くダメです。Finecrossもダメです。仕方ないので、ぎりぎりまでFinecrossを持ち込み、何とか Rotawireに置換し、Rotablator 1.25mmをしましたが、それでもFinecross, 1.20mm balloonが通過しません。1.5mm burrで再度ロータブレーターを行いましたが、同様です。

これは変ですよね。どうも僕の推測ではdistal 99%狭窄部分は、大伏在静脈グラフトのY-graft吻合部狭窄だと思うのです。それでこんなに変な挙動をするのでしょう。

何れにしても、microcatheterも 1.20mm, 1/25mm balloons何れも通過しませんので、0.014 wireをパラレルに通過させ、ようやくバルーンで拡張することができました。最後には 2.25mm Xience-Prime + 2.50mm Resolute Integrityを植え込んで無事終了しましたる

三例目は左冠動脈回旋枝の慢性完全閉塞でした。一度PCIが試みられていましたが、不成功だった方です。閉塞部の少し遠位にかつて10年ぐらい前にステントが入っており、そこの部分も慢性完全閉塞であり、閉塞長は30 mmぐらいで、しかもその部分で90度ぐらい屈曲している、というこれまた大変な症例でした。

この症例は IVUS-guideを見越してTFI 8Frで入りました。Fielder-XTなんかは全く歯が立ちません。Miracle 3も全く歯が立ちません。そこで、Confienza-pro 9を用いました。方向を何回も修正しながら、大きなOMの解離腔に入りました。大変でしたが、1.20mm balloonで閉塞部拡張してから EagleEye IVUSで確認すると、少なくともかなりの部分は真腔を通過していましたので、このワイヤーをFielder-XTに置換し、再度Confienza-Pro 9でパラレルに行いましたが、同じ解離腔にしか行きません。こで、Finecrossを入れて、ワイヤーを Fielder-FCに置換して、真腔を探しました。一部ひっかかりを感じたのでそこでワイヤーを操作すると今度は大きな OMの真腔に抜けてくれました。最後は2.5 x 38mm, 3.0 x 38mmの薬剤溶出性ステントを植え込んでこれも大成功に終了しました。

この時点で時刻は13:00ぐらいでした。ここでPCI院内ライブは終了し、その後近くの SUSHI Barに行き、昼食を食べたのです。アメリカの病院で日本人医師が手技をするのはものすごく敷居が高く、色々な手続きが必要です。それをアレンジして下さった山崎先生には感謝です。

また、この日ミシガン小児病院から小林 大介先生という2001年防衛医大卒業の先生が見学に来られていました。彼は現在小児科Fellowの5年目で、来年 Pediatric Interventional Cardiologyに進まれるとても優秀な先生です。僕は初めてお会いしたのですが、その日発表となった山中伸也先生のノーベル賞受賞と同じように勇気づけられました。

この日の夜は、デトロイト川沿いの洒落たメキシコ料理のレストランで歓迎会および、松陰先生、舛谷先生、吉町先生による slender PCIの講演があり、僕が司会をさせて頂きました。なかなか盛り上がり、楽しかったのです。その後、山崎先生のご自宅に戻り、11:00 PM頃まで日本酒を飲みながら歓談しました。

翌朝10日(水曜日)の 7:00AMからは St. John Hospitalでの Cardiology Ground Roundでの1時間の講演がありましたので、その準備のために 4:30 AMに起床しました。

Ground Roundをアメリカで行ったのは、数年前の Harvard University Brigham Women’s Hospitalでのこと以来ですが、流石に緊張しました。でも最後に名前が今分からないのですが、Gruentzigと一緒にアメリカにわたって来られ、今はカテをされていない先生から、「君の講演はすばらしい、スライドと話の内容がとても皆の注意を惹くことができる。」と、褒めて頂こきました。これはとても嬉しいことでした。

この後、病院内をご紹介して頂いてから、解散となり、山崎先生にもお別れを告げて、それから Coney Islandという名前の Detroitで有名な100年以上の歴史があるアメリカ食の店に行き、Hot Dogを朝食として食べました。少しデトロイトの街を観光してから、空港に行き、僕だけ一人成田に向けて帰国したのです。

素晴らしい体験をさせて頂きました。山崎先生ありがとうございます。

Detroitでの有意義な三日間

Detroitで Interventional CardiologyのDirectorをされている京都大学ご出身の山崎先生に招かれ、St. John Hospitalを訪問しました。今回、松陰くん、吉町くん、舛谷くんも一緒でした。宿泊はSt. John Hospitalから車で10分足らずの山崎先生のご自宅でした。

10/08 13:30頃にDetroit Metropolitan International Airportに到着し、山崎先生の運転される Priusに乗り、ご自宅に伺いました。暫しご自宅で休憩させて頂いてから、その日は、 Fellow向けに慢性完全閉塞についての講演を40分ぐらいで行い、その夜は山崎先生の奥様がご用意された夕食を皆で頂きました。とてもおいしく頂いたのですが、やはり時差ボケで 10:00 PM頃には皆眠くなり、早めにベッドに入りました。

時差ボケに弱い僕にしては珍しく、その日は間欠的ではありましたが、9日火曜日の6:00 AM頃まで眠ることができたのです。朝、ご自宅で朝食を頂き、St. John Hospitalに 8:00 AM前に到着しました。

今回、山崎先生、上司の先生、秘書さん達の多大なお計らいにより、私自身はSt. John Hospital゛での temporal medical licenseを取得しましたので、手技をデモすることができました。これでアメリカ国内で実際に手技を行い、デモをしたのは、St. Vincent’ Catholic Medical Center (New York), Columbia University Hospital (New York), Wake Medical Center (South Carolina), Washington Hospital Center (Washington DC), Scrips Clinic (San Diego), Mercy Hospital (Scranton)についで、7つ目の病院です。

Detroit到着

成田空港から吉町先生、舛谷先生、松陰先生と一緒に DELTA直行便で Detroit Metropolitan空港に着きました。フライトは快適で、5時間ぐらいの睡眠もとれました。

St. John病院で循環器医師をされている京都大学の山崎先生が空港まで迎えに来られていて、そのままご自宅までご案内して頂き、今は山崎先生ご自宅の庭で Wi-Fiでインターネット接続しています。気温は10度ぐらいでしょうか、しかし日差しが温かく寒くはありません。

日本時刻 4:45AM、デトロイト時刻 3.45PMです。5:00PMから St John HospitalでFellow に対する講演会があり、明日は朝からPCIです。