市販後初の BVS植え込み実施

本日認可後、そして PMS (市販後調査)開始後初めての BVS (薬剤溶出性生体吸収性スキャフォルド)の植え込みを行いました

BVSに関しては、未来に向けた夢のあるディバイスではありますが、まだまだ未解決の問題が残されていて、そのためにその植え込みに関しては、施設の要件、あるいは術者の経験に関して非常に厳しい制約が設けられています そして、植え込んだ患者さんのデータは匿名化された状態で全例 NCD (National Clinical Database)に登録されることが必須条件なのです しかも、その植え込みに際しては、可能な限り OCT (光干渉断層検査)による精密な病変計測が必要であり、また植え込みに際しては除外基準が非常に多い、というものなのです

本日植え込みを施工した患者さんは未だお若い患者さんで、限局性の単純病変を有する方でした しかも、金属アレルギーを有することが事前にわかっている方であります 金属の中の特にニッケルに対してアレルギーがあると推察されますが、幸いなことにプラチナに対しては大丈夫です

BVSの両端には非常に小さなプラチナ・マーカーが四個ついていますが、そのプラチナは大丈夫なので、この患者さんは BVS植え込みの良い適応、と言っても良いでしょう 最初に OCTにより病変の計測を行い、BVS植え込み適応あり、除外基準に抵触しないことを確認しました そして、前拡張の後、再度OCTにより計測し、やはり除外基準に抵触しないことを再確認し、いよいよ BVSを一個植え込み、後拡張の後で再度 OCTによる観察を行い、BVSがきちんと冠動脈内膜に接していることを確認し、手技を終了しました

実際に僕自身は5年以前よりこれまでに 40症例ぐらいの患者さんに対して臨床試験の中で植え込みを実施してきましたが、日本国内市販後は初めてでしたので、少し緊張しました 結果はとても良く患者さんに対して良いことをしたと思います

このような解釈で良いと思いますよ

冠動脈インターベンションのより精緻な測定において、IVUS(冠動脈内超音波断層検査)と OCT(光干渉断層検査)はなくてはならないものです 特に、これから臨床使用が日本でも本格的に始まる BVS (生体吸収性薬物溶出ステント)の植え込みにおいては、必要不可欠なものです

ただ、これらに関して、その測定値が互いに異なるという問題点が指摘されてきました そして、その原因について各種の書物ではあまり明確な回答が為されていなかったのが実情です

これについて最近結構勉強している物理学や数学の知識を持ってきて自分なりに納得する解釈を得ましたのでここに記載しておきます

この和歌山県立医科大学より出された素晴らしい論文(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoron/22/1/22_22.15-00018/_pdf)を読むと
Phantom modelにおいて、IVUSはOCTよりも9%と大きく計測され、angioは5%小さく計測される、ということですそんなもん内腔計測してどうしてそうなるか? 色々考えましたが、ここは
解析力学で有名な「最小作用の法則」を持ち出せば良いと思い至りました
そもそも光は空気から水に入る時にどうして屈折するのでしょうか?
これを解析した あの有名なフェルマーは 「光はあたかも目標に到達する
時間が最小になるように、その進路を境界面で変えるのだ」ということに
気づきましたでもこれは変です なぜならば 「光」がそんな意志決定できる訳がありません そこで、18世紀の人々はそこに「神」の存在を見たのです

しかし、これも20世紀に否定されました 確かに「最小作用の法則」というのは真実です これは、最小値あるいは最大値というか微分をご存知の方であれば、極値において、その作用量が最小になるように作用を変更するということです つまり光は空気から水に入る時に、水の中での光の見かけ上の速度は空気中よりも遅いので、進行方向に向かって下向きに、水の方向に曲がるのです
ここで、見かけ上の速度といいましたが、相対性理論で有名なように、光速度は常に一定です 水の中で光の速度が遅くなるのはあくまでも見かけ上のものですので誤解の無いように・・・

つまりこれらは全て量子力学の世界なのです 量子の二面性、波と粒子という
性質を同時に有するのです そして、これらの要素は光量子が波の性質を有するから派生するのです

さて、OCTとIVUSですが、要するに光も超音波もレントゲンも波だから、と考えればわかりやすくなりますまずひ、レントゲン線ですが、波長が非常に短く物を透過する力があります、その結果起こることは、チューブという血管を突き抜けて像を作る時に、その辺縁で像がぼやけるのです
結果的に、内腔は判断する部分は内側になり、内腔が小さく測定されます
次に、超音波ですが、これは波長が光やレントゲンに比べれば非常に長い、この結果、波長の一つの単位は非常に大きくなり、その反射面は必然的に実際よりも奥に入り込みます
この結果、反射面は奥になり、内腔計測は大きくなります
しかるに光OCTでは、人間の見たもの それが人間にとっては真実なのですが、その反射そのもので計測します したがってOCTが何時も正しい計測値を戻することになります

ぼちぼち って素晴らしい

大船駅界隈には「お好み焼き」屋さんは二軒しかありません 一つは「キャベツ畑」、もう一つは「ぼちぼち」です キャベツ畑はカウンターのみのお店で、お母さんと、若い男の子の二人でやっています ご両人ともとても良い人であり、いかにも「良い人」という雰囲気があります ここは広島風お好み焼きなのですが、たっぷりのキャベツが使われ、とてもおいしく 何時行ってもお客さんで満席であり、しばしば30分ぐらい外で待たねばなりません それだけ人気のある理由は安くて美味しいからです

一方「ぼちぼち」は大阪風+昭和レトロ風を売り物にしたチェーン展開しているお好み焼き屋さんです 飲み放題3時間一人1,500円に代表される cost performanceの良さ、そして大阪風に味付けされたお好み焼き、そして豊富なメニューと、そして何よりもとっても良くキビキビと働かれるお店の人たち、これらの理由によりやはりとても人気があるのです

さて、昨日は大船にある「鎌倉芸術館会議室」において、研究会(勉強会)が開催され、横浜栄共済病院の野末先生、そして当院の山中先生をお招きし、僕が座長で開催させて頂いたのです 今回は鎌倉、横浜、藤沢から何と45名ぐらいの先生方がお集まりされ、野末先生より虚血性心疾患患者さんに対するLDLコレステロール管理について、そして山中先生よりTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)についてのとてもわかり易くためになるご講演を賜りました この勉強の部分を 21時前に終了し、鎌倉芸術館一階にあるレストラン「パウゼ」を貸し切り、情報交換会を開催しました ここにも多くの先生方に集まって頂き、色々な先生方と歓談することができました

この交換会は 22:00前に終了し、山中くんと、参加された技師さんや看護師さんと総勢6名で「ぼちぼち」に行ったのです この店の店員の方々はとても感じが良く、しかもものすごくキビキビと働かれるのでとても気に入り結構頻回に訪れています 昨日は、三宅クリニックの三宅 省吾 先生も研究会の後合流されました 三宅君はもう 20年ぐらい前僕の下で2年間以上働いて頂いたとても優秀な先生なのです 現在は藤沢で、当院からもそんなに遠くない場所に開業されており、とても流行っていますが、その三宅先生とこんなふうに飲み交わすのは何年もたってから初めてのことでありとても楽しく過ごしました

そして、日にちも変わる頃タクシーで自宅に戻り、バタンと意識不明となり朝起きました そして、例によって病院に 7:00AMには出勤したのですが、何と 何と 財布が無い!!!

昨日は僕が支払いしたので、その時には財布があったのです タクシーはチケットでしたので、財布は触っていません うーん と考えた結果、ぼちぼちにある筈と思いました

そして、11:00AM頃に秘書の岩本 理枝さんから電話してもらったのです 店長さんが丁度仕込みのために出勤されたところだったそうですが、すぐに探して下さり、見事何事も無いかのようにお財布が出てきました 運転免許証、各種学会会員証なども入っており紛失したならば、とてもややこしいことになっていました 本当に「ぼちぼち」さんには感謝です

昨日は ARIAのため日帰りで久留米へ

火曜日にはTAVIを行いました 非常に難しいケースでしたが、何とかやり遂げました

そして、昨日水曜日は 7:30AMに鎌倉の自宅を出発し、9:00AM発の ANA福岡行きに搭乗し、そのまま福岡へ、そして空港に着くなりタクシーでそのまま九州自動車道を西に移動し、久留米に行きました 福岡空港は滑走路拡張工事のためここ数年間はずっと工事で毎日のように入り口が変更になります

この日はタクシーに乗り、高速で久留米市に そして、12:00丁度ぐらいに久留米駅近くまで到達しました そこでまず、「ふぢ井」という行きつけの鰻屋さんに行ったのです

この「ふぢ井」の名物は「うなわさ」丼です 鰻の蒲焼きを小さめに刻んでそこにわさびをピリリと混ぜ、それをごはんの上にまぶした丼なのです

ふぢ井
ふぢ井
うなわさ丼
うなわさ丼

まあ久留米を訪れることがあれば、一度は味わって下さい ピリリと美味しいですよ

そして、12:40頃には、やはり久留米駅の近くにある「新古賀病院」を訪問しました 今年で二回目です この日は、福岡国際会議場でこの日から開催された ARIAというインターベンションのライブデモンストレーションに術者として参加するためでした この日は新古賀病院からライブデモンストレーションを福岡まで飛ばしたのです

僕の役目は 13:20からのライブデモンストレーション術者でした 病院に到着し、着替えてから初めて症例のシネを見ました 症例は左冠動脈前下行枝の慢性完全閉塞でした 逆行性アプローチはまず無理、と予想される症例でした

実際の手技開始は 13:15より始め、13:20の開始時刻ギリギリでした 初めにそれ以前の症例の結果紹介があり、僕自身の放映開始は 13:40頃からでしょうか 何しろ閉塞部の断端が何処にあるかなかなかわからず かといって固いワイヤーで強く刺せば途端に血管外に出てしまいそうな雰囲気で敗色濃い雰囲気濃厚でした

でも頑張りました 何しろ慢性完全閉塞は二段階だったのですが予想に反して近位部慢性完全閉塞はとっても固く、結局ワイヤーは真腔を通過していたのですが、ワイヤー全体が慢性完全閉塞部分の線維性組織に完全にトラップされ、しかも石灰化部分で弾かれる、というとてもワイヤーのコントロールに技量が必要なものでした

それでも一歩一歩着実に自分の領地をかせぎながら最終的には Ultimate Bross 3により左冠動脈前下行枝の真腔を完全に捉え、最後は 2.5 x 38mm + 3.0 x 28mmと二つの薬剤溶出性ステントを植え込みきれいな出来で仕上がりました

この間、福山循環器病院の竹林先生が IVUS commentatorとして有益な情報を下さりましたし、川崎先生はご自分の手技を終えられ、何かと励まして下さいました 感謝です

川崎先生(左)と竹林先生(右)
川崎先生(左)と竹林先生(右)

今回は我ながら神がかり的にこの難しい慢性完全閉塞を成功することができました 終了後、すぐに病院を出発し、とんぼ返りで福岡空港から 16:40発の ANA便で羽田空港まで戻り、そのまま鎌倉に戻ったのです うまくいって良かった

Story of Your Life (あなたの人生の物語)

Scientific Fictionの中の名作と言われている Ted Chiang原作の「あなたの人生の物語」英語題名 Story of Your Lifeが既にアメリカでは映画化されました 題名は Arrivalです

そして日本では2017年に公開されるということであり、その時の題名は「メッセージ」というものになるそうです 公開が待ち遠しいものです

この中で出て来る大きな命題は、因果論 vs 目的論 とでもいったものであり、光の直進と屈折で出てくる「フェルマーの原理」が引用されます そして、以前このブログで紹介させて頂いた、「数学は最善世界の夢を見るか?――最小作用の原理から最適化理論」という本がその内容に近いものです 是非とも御覧ください

ちなみに「あなたの人生の物語」は同じ題名の短編集の一つとして掲載されており、Kindleでも読むことができます 楽しみですね

さあ off-lineでブログを書き始め

MarsEditという MacOSのアプリを導入しました これは Macで off-lineでのブログ投稿を可能とするソフトなのです

そもそも Windows上の Wordでは 2007以降、そのような機能が Wordに内包されていたのですが、残念ながら MacOSで走る WOrdにはその機能がありません さあ実際にどの程度使い物になるのでしょうか?

スーパー北斗

札幌駅と函館駅を結ぶ特急気動車が スーパー北斗です この気動車 (いわゆるディーゼル車)は歴史的に有名なのですが、その理由というのは、JRで初めての「振り子電車」なのです

函館線は噴火湾に面しカーブが多く、通常の車両であれば、脱線の危険があり速度を出せません そこで考えられたのが「振り子電車」なのです 車両が重心を下にするようにカーブでは台車に対して移動し、重心の位置を変えていくのです

振り子電車誕生 というニュースを知ったのは僕が未だ 20歳ぐらいの時ではないでしょうか そのテクノロジーに胸踊りました でも事実はわかりません 今少し調べるとどうやら 1970年頃のニュースですので、僕はその時 20歳でしたね 既に大阪大学医学部学生でした

今日は何れにしてもこれから函館です

今日も順調にTAVIを終えて

本日は一例しかありませんでしたが、TAVI SAPIN3を行いました

Deviceの進化によるところが多いと思います それに加えて経験に基づく技術の進歩 それも大きいでしょう さらにはチームとしての成熟度 それらがあいまってTAVIがより安全になるのですね

あっという間に終了し、侵襲も極小であり、患者さんが眠っている間に全て終了 目が醒めれば今までの心臓からすっかり良くなった心臓にかわっているのです 素晴らしいですね

数学は最善世界の夢を見るか?――最小作用の原理から最適化理論

「数学は最善世界の夢を見るか?――最小作用の原理から最適化理論」という本があります この本、実は 2010年に購入し、読みかけたのですが途中で敢え無く挫折したのです

昨日は一日日曜日時間が本当に類稀なことなのですが、とれました そこで自らの精神を開放すべく この本に再び取り組みました

その内容は、現代数学の発展、そして物理学への応用、そして「そもそも神が存在するのか?」「神は世界をどうして今の形に作ったのか?」そのような歴史的に色々な人々が持ってきた疑問に数学が応えることができるのか? そんなことがテーマとなっています

正直未だに難しくてよくわからないというのが実態です それでも頑張って一冊読み切りました 本を一冊読み切るなんて何十年ぶりのことでしょう

皆様も挑戦されるならば是非とも Amazonの URL書いて起きますね ここですよ

まあ本を読まないとしても、以下の Amazonの紹介文、これがこの本のそして、本に書かれている思想を表しています それは

 

光はどのようにして自らの行くべき最善の道筋を知るのだろう?
最小作用の原理を発見したモーペルテュイは、
それを「神の叡智」によると信じた。
ライプニッツの「可能世界」の概念とも結びつき
18世紀に自然哲学上の議論を呼んだこの原理は、
解析力学が成熟するにつれ、形而上学的意味を失っていく・・・・・・。
本書は、最も合理的な解の解法をめぐる400年の物語だ。

オイラー、ハミルトンらによる解析力学の数学的発展、
「力学を幾何学の領域へ連れて行った」ポアンカレ。
数学によって世界の新たな見方を切り拓いた
天才たちの離れ業には、魅了されずにいられない。
著者はビリヤード球の運動を例に、
可積分系から非可積分系への移行、
計算から幾何への移行やカオスをわかりやすく描出している。

さらに同じビリヤードを使ってグロモフの
「古典力学の不確定性原理」が解説されるのも、
偉大なパズルが解けていくような驚きと痛快さがある。
力のある読者はぜひ、ガリレオの夢を実現するという
シンプレクティック幾何への道のりをより詳しく語っている
付録3に立ち寄ってみてほしい。

最適化問題として「最善世界」の条件を解くことは可能なのか?
末尾の数章は、最適化の科学は
神のごとき全知とは異なるという諌めでもあり、
同時に、合理性への希求への
ゆるぎない支持表明といえるだろう。

というものです この中でいくつかの key wordsが出てきます まずは、モーペルテュイ(Pierre-Louis Moreau de Maupertuis)という天才です この天才が発見・主張した「最小作用の原理」というのが全ての始まりだったのです

この意味するところは、「神」は色々な可能性の中からもっとも無駄がない、つまり良い選択をする、その証拠に光が空気と水の間で屈折して進む時、光はその通過時間が最小になるルートを自ら進む、そのように述べたのです そもそも光に意志があるのか? ある訳無いから、そのようなルートを進むのは何か全知全能の存在がそのように仕向けているからだ そのように考えたのです そして、この考えはその後数百年間支配的であったのです

ということで皆様方も興味が湧いたならば是非 当該の本を読んで下さいね

本日は伊勢志摩ライブ

昨夜 三重県松阪に入りました 毎年この時期には「三重ハートセンター」西川 先生主催の「伊勢志摩ライブ」が開催され、ここ何年間も連続して術者および演者として招聘されてきました

僕に用意されてきた症例はこれまで異所性オリジンの右冠動脈にある慢性完全閉塞というのが続きました 異所性なのでガイディング・カテーテルもなかなか入らず困難の極みでしたが、毎年何とか成功させてきました

さて今年は二年前に慢性完全閉塞が確認されている右冠動脈近位部の慢性完全閉塞でした 当初の予想では「これは今年は初めて不成功に終わるかな」と考えていたのです しかし、 8:15AM頃より開始するとあっという間にワイヤーが通過し、ロータブレーターをしたりしてライブ開始の9:00AMより10分も早く薬剤溶出性ステント植え込んで終了してしまいました ラッキーという感じです

これから Luncheon Seminarで講演があり、その準備をしています そして鎌倉に戻ります